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【最優先事項以外は不要】教養書「エッセンシャル思考」グレッグ・マキューン 評価:3点【自己啓発】

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エッセンシャル思考
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残るは「選抜」の章ですが、この章は面白かったですね。

最も厳しい基準「90点ルール」を採用して自分がやるべきことを決める。

「絶対にイエスだと言いきれないなら、それはすなはちノーである」。

確かに、こうでもしてやるべきことを絞り込まなければ大事なことを実行するための時間を確保できませんよね。

「大多数のものは無価値である」の話にも通じますが、私自身が一番できていないことだと身につまされます。

ちょっとだけ安い製品を探すのに膨大な時間をかけたり、ちょっと良いかもしれないと思った作品を「いつか読む/観る」リストに入れてしまって「いつか読む/観る」リストの管理時間ばかりが多くなってしまうんですよね……。

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PART3 捨てる技術

PART3では「捨てる技術」が紹介されます。

「目標」「拒否」「キャンセル」「編集」「線引き」という章立てになっておりますが、このうち「目標」以外はやや似通った内容かなと感じました。

エッセンシャルでない仕事を上手く「拒否」して、サンクコストや現状維持バイアスを振り払って物事を躊躇なく「キャンセル」し、何事も本質はごく僅かな部分に宿っているという精神のもと削除と凝縮による「編集」を通じて仕事の質を向上させ、自他の仕事に明確な「線引き」を行うことで余計な仕事を背負いこまないようにする。

「拒否」「キャンセル」「編集」「線引き」の内容はこのように纏めることができます。

そして前述の通り、「目標」の章だけはやや異質でありまして、具体的で本質的な目標を持つことで組織における各人の行うべき事柄を明確化させ、判断の回数を減らすことが重要だと説いています。

本書の文章では個人的な生き方論と組織運営論が混在して主張されがちなのですが、「目標」の明確性は個人の生き方にせよ組織運営論としてもしばしば言及される重要なポイントですよね。

とはいえ、「とにかく削れ」と「目標を明確に」しか書いていないPARTでしたので、読んでいてやや退屈に感じられるPARTでした。

PART4 しくみ化の技術

PART4で紹介されるのは「しくみ化の技術」です。

章立ては「バッファ」「削減」「前進」「習慣」「集中」「未来」の6つに、最終章である「エッセンシャル思考のリーダーシップ」が付随しております。

「バッファ」の章では仕事における準備の重要性が、「削減」の章では物事を改善する際に手当たり次第やろうとするのではなくボトルネックを見極めてそこを集中改善することの重要性が説かれます。

どちらも重要なことであるという点では頷けますが、「エッセンシャル思考」の要素というより、一般的な仕事術の話であるという印象を受けました。

また、「前進」の章では早く小さく始めて小さな成功を積み重ねることの大切さが、「習慣」の章では正しいルーティーンを身につけることでエッセンシャルな行動を無意識化することの大切さが、「集中」の章ではいま優先すべきことを見極めてそれに集中することの大切さが、「未来」の章では人生の目標を見定めて行動し、余計な行動を削ぎ落とすことの大切さが説かれます。

これらも、自己啓発系の本の中ではよく言われていることだと思います。

そういった意味で、PART4の内容はありきたりな自己啓発本の内容と被る部分が多く、初めて読む自己啓発本が本書であれば良いのですが、そうでない人にとってはいつか聞いた話が多いと思われます。

結論

タイトルに違わず「シンプル」で「エッセンシャル」な事柄に集中できるような人生の素晴らしさと、その実践方法についてよく説明できている本だと感じました。

他のビジネス書や自己啓発本等で主張されている一般的な「仕事を上手くやる方法」や「人生を幸福に生きる方法」と被る内容も多いですが、上手く凝縮して記述されておりますので、ビジネス書や自己啓発本を多く読んできた方々にとっても鬱陶しくは感じられないでしょう。

言い換えれば、スタンダードな自己啓発本の要素が上手く凝縮されておりますので、初めて手に取る自己啓発本としては優秀な本になると思います。

そのうえで、敢えて本書独特の美点を挙げるとすれば、重要なことを絞り込む際に用いる心理的な基準として「大多数のものは無価値である」や「絶対にイエスだと言いきれないなら、それはすなはちノーである」を用いることを推奨している点だと思います。

ちょっとしたお得さや刹那的享楽に釣られて時間を浪費してしまったり、「やりたいことが多すぎる」ことが悩みだという人には深く刺さるのではないでしょうか。

総合的な評価としては、こういう本を読むために生きているんだ、となるような重厚さや濃密さがあるわけではなく、濃い読書や深い思索が好きな人のための本とは言えませんので、本ブログの基準では4点や5点をつけることはできません。

ただ、人生を生きるためのより良い「手段」を得るための参考となる、平均以上の本だと思いますので、点数は3点(平均以上・佳作)とします。

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