・ミステリックサイン
こちらも「涼宮ハルヒの退屈」と同じく日常編であり、キャラクター同士の掛け合いや挙動を楽しむ話となっております。
敢えてシリーズ全体の流れが意識される箇所を取り上げるならば、無口無表情な長門有希の感情にキョンが関心を向ける場面が最後に用意されていて、その場面が「涼宮ハルヒの消失」に向けた仄かな伏線だと言えなくもないかもしれません。
物語性や作品の情緒を重視する立場からすれば毒にも薬にもならない話でした。
・孤島症候群
古泉一樹の所属する「機関」に焦点を当てたミステリ的な中編です。
学園要素もSF要素もなく、全体的にかなり純粋な「ミステリ」編となっており、登場人物たちを「キャラ立ち」させれば、あとはスポーツをやろうがミステリをやろうがキャラクターの魅力で引っ張れるのだな、と思ってしまうエピソードとなっております。
ただ、ミステリとしてのオチは「涼宮ハルヒ」シリーズの文脈あってこそというものとなっており、結構上手いというか、そうするのが「涼宮ハルヒ」シリーズの魅力や品位を保ちつつ「殺人事件」をエンタメに昇華するやり方なのだろうなというオチになっております。
というわけで、事件が起きてから解決するまではまずまず面白いのですが、前半部分はSOS団員たちの孤島における楽しい日常が描かれるだけとなっており、「キャラもの」としてはともかく、「ストーリーもの」としてはあまり魅力的でないのが欠点ですね。
結論
冒頭でも述べた通りですが、「涼宮ハルヒ」シリーズのファンとしては楽しめる、キャラクターたちの日常を描いた中短編集+次回作以降の伏線張りという作品であり、必然的に可もなく不可もなくという位置づけに収斂しているという印象です。
というわけで、評価はもちろん2点(平均的な作品)となります。
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