1996年に「ポケットモンスター 赤・緑」が発売されて以来、世界的な人気を拡大し続けているゲームシリーズの2022年最新作です。
派生作品が大量に発売されているシリーズではありますが、完全新作としては第9作となっており、シリーズで初めてオープンワールドを取り入れていることが宣伝文句となっております。
私がプレイしたことがあるのは「赤・緑」「金・銀」「サン・ムーン」の三つですが、確かに、オープンワールドゲームになることによるヴィジュアル的な一新はかなり新鮮でした。
しかし、見た目のリッチさに対して内容はやや退化しいるように感じられ、特に、ポケモンというゲームが持っていた世界観、少年・少女が未知の世界に飛び込んでいくという冒険物語としての魅力が相当に薄れていたように思われます。
もはや別のゲームに変貌しており、それこそが現代のポケモンなのだ、と言われてしまえばそれまでですが、それでも文句を垂れ流したくなるのが老害というもの。
完全なる懐古厨の感想となりますが、興味のある方はお付き合いください。
目次
①オープンワールドゲームとしての評価
②戦闘面での評価
③ストーリー面での評価
④その他の不満点
オープンワールドゲームとしての評価
近年のゲームにおける一大流行といえばやはりオープンワールド、これに尽きるでしょう。
「ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ザ・ワイルド」の例を引くまでもなく、広大な3D空間をシームレスに移動できるというゲーム体験は、ハード面における大きなゲーム革新となり人気を得ております。
本作もその流行に逆らわず、ポケモンシリーズ初のフルオープンワールドという触れ込みで発売され、確かに、個人的にもオープンワールドとなったことによる爽快感を楽しむことができました。
「ポケモン」が存在する世界において、野山や水上を自由に駆け回る感覚はやはり新鮮なもので、ゲームが空中を飛んだり岩壁を登ったりできるようになるのも躍動感が増して素晴らしかったです。要はリアルな「なみのり」だとか「そらをとぶ」をするわけですから、憧れの世界が現実に(ゲームですが)なったのだなという感触です。
また、このオープンワールドゲームという特性を活かすために、ライドポケモンに乗るということを主な移動手段としたことも良かったですね。
ポケモンにおける主な移動手段としては、初代(赤・緑)から存在する自転車が定番ですが、草木の生い茂る道や雪山、断崖絶壁の細道を自転車で行くというのはやはり興が削がれます。
その点、四足歩行のポケモンに跨って駆け回るという手法はワイルド感も増していて興奮しました。
もちろん、処理落ちの多さや自分やポケモンが地形にめり込んでしまうといった不満点もなくはなかったですが、それほど本質的な欠点とは感じませんでした。これ以上の質が必要なのは、よほど「美麗なグラフィック」を推しているゲームくらいのものでしょう。
ただし、これはオープンワールドであるという特性だけを切り取った評価であり、このオープンワールドであるという点が「ポケモン」というゲームの特性と上手く組み合わさっていたかというと、その点は微妙だったかなと思います。
「見えるところには全部行ける」というオープンワールドゲームが持つ基礎的な魅力が本作には存在している反面、本道から逸れて行けるところに何が存在しているかというと、結局はアイテムとNPCのポケモントレーナーだけとなっております。
すると、最初の頃は探索も楽しめるのですが、単なる散歩の楽しさが無くなってくると、汎用アイテムや単なるポケモンバトルをするために道なき道をぐるぐると回遊するのが面倒になってしまっているんですよね。
また、本作では伝統的なランダムエンカウントではなくシンボルエンカウントが採用されており、加えて、トレーナー戦も「目が合ったら」ではなく「話しかけたら」始まる仕様ですので、街道であれダンジョン的な場所であれ、やろうと思えば全ての戦闘を回避できてしまいます。
つまり、ポケモンのHPやPPの残値を気にしながら連戦を行い、それと並行して次の街へと至る道を探究するというRPG的な緊張感が従来作と比べて少なくなっているのです。
全滅するのが先か、次の街に辿り着くのが先か、面倒でもポケモンセンターまで戻るのがよいのか、あるいは、リスクを取ってでも先に進むのが良いのか。
ある程度ダンジョン内を進んでしまってから手持ちポケモンがピンチに陥った場合は、このまま突き進んでダンジョン先にあると期待されるポケモンセンターを目指した方が長路を引き返すよりも安全かもしれないという決断もあり得るでしょう。
そうした冒険という営みが孕んでいるリスクやピンチという愉しみがないのです。
最初から地形まで含めてほとんど完璧に記された地図を持ってスタートするので、オープンワールドでありながら新しい風景を開拓する楽しみもあまりなく、地図から予想できた通りの施設や風景があるといったところにも、オープンワールドゲームとしての欠点があるでしょう。
次の街にようやく到着した、という達成感や安堵感もやや乏しいものになってしまいます。
というわけで、オープンワールドの原始的な喜びを感じることはできつつも、それを「ポケモン」という作品の良さに結び付けられているかといえばそれは微妙で、オープンワールド化が却って冒険面の楽しみを押し下げている側面もあったのではないか、というのが個人的な感想でした。
さて、こう批判ばかりしていると代案を求められるのが最近の世の中なので、いくつか案を練ってみました。
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