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「エッセンシャル思考」グレッグ・マキューン 評価:2点|絶対にイエスだと言いきれないなら、それはすなはちノーである【生き方】

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シリコンバレーのコンサルティング会社CEO、といういかにもな肩書の人物によって著された自己啓発本のベストセラー。

本書の主張は「エッセンシャル思考」というタイトルに凝縮されており、すなはち、本質的に重要なごく少数の事柄に集中して取り組むことで人生の質が劇的に上昇するというものです。

いかに無駄を削ってやるべきことを絞り込むのか、そのためにはどのような心構えを持ち、どのような思考枠組みで物事を評価し、どのように行動するべきなのか。

様々な事例を引きながら、著者は読者に「無駄」をドアスティックに削りなさいと迫ります。

この「ドラスティックに」という点が本書のミソであり、著者は「90点ルール」つまり評価が89点以下の事柄はやめておけとまで言います。

多少有用である程度のことはやらない、90点以上だと評価できることだけをやる。

そういった主張を支える著者の論理や持ち出される例には説得力があるのですが、著者が「やめろ」と主張することは人間の性としてついついやってしまうことが多く、凡人が人間的性質に基づく誘惑を振り切って、ここまで劇的に生きることはできるのかという点に多くの疑問が残る著作でもあります。

換言すれば、本書は「わかっちゃいるけどやめられない」事柄を集めて「やめろ」というだけの本であり、これまでにない斬新さや緻密さを持っている本ではありません。

人生を劇的に変えるというよりは、分かっちゃいるけどやめられない、を少しでもやめるための励みにするための本という位置づけあたりが妥当でしょう。

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目次

PART1 エッセンシャル思考とは何か

第1章 エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考

第2章 選択ーー選ぶ力を取り戻す

第3章 ノイズーー大多数のものは無価値である

第4章 トレードオフーー何かを選ぶことは、何かを捨てること

PART2 見極める技術

第5章 孤独ーー考えるためのスペースをつくる

第6章 洞察ーー情報の本質をつかみとる

第7章 遊びーー内なる子供の声を聞く

第8章 睡眠ーー1時間の眠りが数時間分の成果を生む

第9章 選抜ーーもっとも厳しい基準で決める

PART3 捨てる技術

第10章 目標ーー最終形を明確にする

第11章 拒否ーー断固として上手に断る

第12章 キャンセルーー過去の損失を切り捨てる

第13章 編集ーー余剰を削り、本質を取り出す

第14章 線引きーー境界を決めると自由になれる

PART4 しくみ化の技術

第15章 バッファーー最悪の事態を想定する

第16章 削減ーー仕事を減らし、成果を増やす

第17章 前進ーー小さな一歩を積み重ねる

第18章 習慣ーー本質的な行動を無意識化する

第19章 集中ーー「今、何が重要か」を考える

第20章 未来ーーエッセンシャル思考を生きる

最終章 エッセンシャル思考のリーダーシップ

PART1 エッセンシャル思考とは何か

304ページの本が21の省に分かれているという、細かい章立てが特徴の本作。

いくつかの章がテーマ毎に「PART」単位で束ねられており、感想はこの「PART」毎に述べていきたいと思います。

PART1のタイトルは「エッセンシャル思考とは何か」。

このPARTを通じて、著者は現代社会を取り巻くある特徴を指摘し、その特徴を持った現代社会だからこそ重要な考え方として「エッセンシャル思考」を位置づけます。

その特徴とは、選択肢が多すぎること。

だからこそ、ほとんどの選択肢は自分にとってノイズであり、その中から優良なものを選択しなければならないということ、そして、選択の際には「トレードオフ」つまり、あちらが立てばこちらが立たないことを意識することが重要であると説くのです。

特に第2章「選択ーー選ぶ力を取り戻す」には刺激を受ける人も多いのではないでしょうか。

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