物語の展開として、もはや真中が東城とくっつく余地は残されておらず、よもやの正ヒロイン敗退という結末を迎えます。
ここからどうやって東城とくっつけるんだろう、と思うくらいに真中と西野が良い感じの関係を築いていた中での終盤戦突入だったので、ある意味ではさもありなんといったところなのですが、それでも、当時のラブコメ界に走った衝撃は大きかったことを記憶しています。
けれども確かに、好意を露にしながらあの手この手でアピールする「学年一の美少女」を差し置きつつ、奥手な少女が主人公に惚れられるという筋書きに説得性を持たせるのは難しいですよね。
現実的に考えると、どう足掻いてみても前者のほうが魅力的であり、「一緒にいて楽しい」と「一緒にいて楽ちん」を両立できる存在なのですから。
真中に告白するも振られ、教室の扉越しに泣き崩れる東城の惨めな姿。
その姿には却って、どこまでも積極的な行動ができない現実の読者自身が重ね合わされるのではないでしょうか。
また、ヒロイン選択以外の点では物語を上手く纏めている作品であり、最後の大団円ぶりは見事だと言えるでしょう。
夢に向かって積極的に行動し、ひたむきに努力する過程で逞しくなっていく魅力的な「真中淳平」が帰ってきた場面には迂闊にも感動してしまいました。
2000年代前半にラブコメの覇権を握った本作。
「いちご100%」世代にとって、色々な意味でお世話になった、忘れられない作品です。
といっても、物語の文学性において優良とはいえないため、本ブログでの評価は2点(平均的な作品)としておきます。
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