映画 「ティファニーで朝食を」 監督:ブレイク・エドワーズ 星2つ

ティファニーで朝食を
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1. ティファニーで朝食を

オードリー・ヘップバーン主演の有名な古典映画で、1961年に公開されています。監督のブレイク・エドワーズは映画「ピンク・パンサー」シリーズを手がけた人物。原作小説の著者であるトルーマン・カポーティは村上春樹が影響を受けた作家として知られています。

内容は王道のロマンティックラブストーリーですが、個人的にはそのカテゴリにおける凡作以上の作品にはなっていないと感じました。 1961年という時代を考えれば、 田舎出身の美人娼婦と無名作家の都会的で悪戯な恋愛模様という物語はもしかすると当時画期的で、「都会のはぐれもの同士の恋愛」という枠組みをつくったのかもしれません。しかし、さすがに展開が一本調子すぎて退屈な部分がありますし、かっこよさの演出もベタすぎて(もちろん、この古典こそがベタさ(=現在のスタンダード)の先駆者だったのかもしれませんが)今日の視聴においてとりわけ良いと感じることはできないでしょう。

出演(吹替キャスト):オードリー・ヘプバーン(池田 昌子) 、ジョージ・ペパード(野沢 那智)

2. あらすじ

ホリー・ゴライトリーはニューヨークのアパートに住み、娼婦として生計を立てていた。しかし、いくら稼いでも浪費ばかりで少しもお金は貯まらず、大金持ちとの結婚で玉の輿を夢見る日々。

そんなある日、ホリーの住むアパートに新たな入居者がやってくる。彼の名前はポール・バージャク。短編集を1つ出したきりの売れない小説家で、年配富豪のヒモとして生活しており、アパートの部屋すら彼女に斡旋してもらったのだった。

転入初日、間違った部屋の鍵を渡されたポールがホリーの部屋に電話を借りに来たことで二人は出会う。ポールはホリーの生活、とりわけ、収監中の麻薬密売人であるサリー・トマトと面会し、彼の話すでたらめな「天気予報」をとある弁護士に伝えることで多額の報酬を得ていることに驚きながらも、彼女の奔放な生活に惹かれていく。

しかし、ホリーと親交を深めるポールのもとに、あるとき一人の男が現れる。彼はドク・ゴライトリーと名乗り、うら若きホリーとはあまりにも年の差が離れているにも関わらず、ホリーの夫であると言うのだ。疑念を抱くポールだったが、ホリーが14歳で結婚させられたという話は本当らしい。

ドクとの邂逅をホリーに話したところ、ドクと別れることを手伝って欲しいとポールはホリーから頼まれる。彼女に付き添ってドクの待つ駅に向かうポールだったが......。

都会で自由と富を追い求める若き女性と、彼女に惚れた若き無名作家。二人が到達する愛の意味とは......。

3. 感想

全体的に設定や脚本に強引なところがあり、そこがまず好きになれません。

単なる娼婦が麻薬密売人のメッセンジャーをしているというのも不自然ですし、人脈がやたらに充実していて狭い部屋で金持ちを呼んだパーティを開催できるということも不可解。終盤になって突然、ブラジル人の大富豪に求婚されるというのも伏線に乏しく説得力を持ちません。

さらには、ホリー自身の性格に魅力が不足しています。ホリーに寄ってくる男はヒーローであるポールも含め誰もがホリーの容姿に惹かれているようにしか描かれないのです。奔放な美人に惚れるのは男の性なのかもしれませんが、その要素だけがむやみに強調されることで、「美人が奔放に生きていたら美人さゆえに男が寄ってきて、数ある選択肢の内から彼女は金持ちとの愛のない結婚を選択しようとしたけれども、自身の愚行により断念せざるを得なくなり、代わりに熱心に言い寄る貧乏だけどイケメンな男性と結婚した」という身も蓋もない、当然、魅力もない物語になってしまっているのです。最後の最後まで逃した金持ちに未練たらたらな態度ではヒロインが物語の質を落としてしまっているといえるでしょう。視聴者がこのラブストーリーに感情移入して心から応援するようになるには、二人が内面から惹かれ合っていることが分かるようなエピソードが欲しいところです。

演出面に目を向けると悪くはないですがやはり凡庸というところでしょう。愛し合う二人が都会を悪戯に(本当の悪事の実行も含めて)、まるでこの街が彼らにとってはテーマパークに過ぎないかのように、他人を困らせながら颯爽とデートするというシーンは典型的なアメリカ映画という印象を受けます。アパートでのどんちゃん騒ぎや図書館での蛮行、万引きの場面などはもう一息の工夫がないと感動には至りません。唯一、粋なシーンといえるのがティファニー店員の親切ですが、これではティファニーの株を上げているだけで、メインカップルである二人の人格や関係性の魅力に加点はできていないと思います。

終盤の急展開も、ポールの「アイラブユー」連発は捻りがなさすぎますし、ホリーがブラジルのお金持ちと自らの意志で別れるのではなく強制的に金持ちから振られるという展開では二人のあいだの愛の深さが表現しきれていません。ポールがタクシーの中で放つ最後の長台詞は好印象ですが、そこまで言われないと他人と深い関係を築こうとしない人間のどこをポールが好きなのだろうと思ってしまいます。あんな台詞を言える人にならもっと良い人ができでもよさそうですが......。中盤の「彼女には俺がいないとダメなんだ」という台詞で説明しているつもりなのでしょうけれど、そんな理由で人を好いているようではヒーローであるポールの株が下がるだけです。

4. 結論

肩の力を抜いて鑑賞できる恋愛映画ですが、上述したような陳腐な要素も多くあり、有名さに反して凡作だという印象を受けました。あまりハードルを上げずに手に取れるなら見てもいいかもしれないという程度のお薦め度合いです。

出演(吹替キャスト):オードリー・ヘプバーン(池田 昌子) 、ジョージ・ペパード(野沢 那智)

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