【社会学】おすすめ社会学本ランキングベスト5【オールタイムベスト】

社会学

インタビューに基づいた世界各国におけるブルシット・ジョブが紹介されたのち、サービス業の中でも「情報労働」が増加しているという現代経済の傾向と、ブルシット・ジョブ・ワーカーが高給であり、エッセンシャル・ワーカーが低給である理由の分析、そして、ブルシット・ジョブ撲滅のための解決策が示されます。

私自身も事務職員ですので、インタビュー部分は深い共感をもって読めましたし、ブルシット・ジョブが持つ虚無感と欺瞞性がもたらす精神的苦痛を著者が強調していることにも納得感がありました。

また、著者のグレーバー教授が社会人類学者ということもあり、「雇用」についての著作でありながら、政治学や経済学的な枠組みとは少し違った観点で分析がされている点も面白かったです。

日々「ブルシット・ジョブ」に悩まされながらも、なぜ「ブルシット・ジョブ」が発生してしまうのだろうという客観的な疑問も持ち合わせている方々にはお薦めの書籍です。

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「ブルシット・ジョブ」デヴィッド・クレーバー 評価:3点|無意味な仕事ばかりが増大していく背景を社会学的に分析 【社会学】
イェール大学准教授やロンドン大学教授を歴任した社会人類学者、デヴィッド・グレーバー氏の著書。社会人類学者としてはもちろん左派アナキストの活動家としても知られている人物であり、“Occupy Wall Street ”[ウォール街を占拠せよ](※)運動でも主導的な役割を果たしたことで一躍有名になりました。※リーマンショックの直後、金融機関の救済にのみ奔走し、若者の高い失業率等に対して有効な対策を打てなかったアメリカ政府に対する抗議運動。本書の他にも「負債論──貨幣と暴力の5000年」や「官僚制のユートピア──テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則」といった著作があり、刺激的な理論を通じてアカデミズムと現実社会を積極的に繋ごうとしていた学者でもあります。そんなグレーバー教授が2018年に著したのが、本作「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」。原題は“Bullshit Jobs”のみですが、邦題では「クソどうでもいい仕事の理論」という副題が付されています。さて、この「クソどうでもいい仕事」ですが、事務職の労働者であれば誰も...
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第2位 「健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて」熊代亨

いわゆる昭和の時代とは対照的に、極めて「清潔で健康で道徳的な秩序」に溢れた社会になった令和の現代社会。

ゴミも異臭も浮浪者もいない清潔な街並み、喫煙や暴飲暴食が嫌悪され、健康が美徳にまで昇華された価値観、あらゆる行為にハラスメントか否かのチェックが入り、暴力的行為が抑制されるようになった世界。

一見、素晴らしいように見えるこの世界ではあるが、こういった「秩序だった」世界から零れ落ちる人々の存在(その中には「子供」も含まれる)や、迷惑を極端に忌避することによって生じる繋がりの希薄化があまりにも簡単に見逃されているのではないか。

小奇麗かつ小器用に振舞わなければ「生き残れない/生きづらい」この社会に内在する「不自由さ」に着目し、精神科医の立場からその社会を淡々と描写しながら静かに警鐘を鳴らす著作となっております。

現代社会を取り巻く価値観や道徳が、言葉にしづらいけれど、どこか過激なまでに「良質」で「潔癖」なのではないか、それが人間社会の大切な何かを衰退させていたり、却って多くの人々を不幸の廉に追い込んだうえで見捨てているのではないか。

そんな疑問に対する答え(解決策としての答えではなく、状況説明の手法としての答え)になるかもしれない作品として非常に面白く読んでいくことができます。

見栄えはよくても、どこか空虚さを感じるような雰囲気。

そんな令和時代の幕開けにふさわしいメタ社会学の作品です。

・感想記事はこちら

「健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて」熊代亨 評価:4|無菌ゆえに息苦しい社会に適応することの困難【社会学】
精神科医ブロガーである熊代亨氏による現代社会評論。非常に個性的で長いタイトルは、令和時代を覆う雰囲気への違和感を言語化するという本書の試みを見事に表現していると言えるだろう。令和時代の、清潔で健康で道徳的な秩序にすっかり慣れた私たちから見て、高度経済成長期の日本社会はおよそ我慢できるものではなかったはずである。本書の「はじめに」に記載されている文章であるが、高度経済成長期まで遡らずとも、最近の社会が妙に潔癖であると感じている人は少なくないと思う。街は異様なほど綺麗になり、痰を吐いたり立小便をしたりする人はいない。浮浪者のような恰好をした人物を見かけることもいよいよ稀になってきた。人々はどこまでも整然と歩き、公的な空間では異様なくらい静かであることに努めていて、喧嘩や体罰、ハラスメントのようなカジュアルな暴力は滅びつつある。どんな店に入っても店員の態度は概ね良好で、横柄な接客という概念も姿を消し始めた。かつてに比べ、あらゆるコミュニケーションが丁寧になっている。良い世の中になりつつある傾向じゃないか。そう思...

第1位 「孤独なボウリング」ロバート・パットナム

ロバート・D. パットナム (著), Robert D. Putnam (原著), 柴内 康文 (翻訳)

私が本記事で取り上げるまでもない社会学の超有名本ですが、ランキング1位から外すわけにいきませんので掲載いたします。

「社会関係資本」という言葉を現代学術界の主役級に押し上げた古典的名著であり、人々の繋がりが希薄化していく中で観光当初よりも更に一層の輝きを放っている著作となっております。

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