第3位 「スタンド・バイ・ミー 」スティーヴン・キング
【少年時代ノスタルジー小説の代名詞的傑作】
・あらすじ
舞台はアメリカの田舎町であるメイン州キャッスルロック。
小学生の仲良し四人組ゴードン、クリス、テディ、バーンはある噂を聞きつける。
先日から行方不明になっている少年の死体が郊外の森にあるのだという。
死体を見つければ英雄になれる、地元のラジオに出演できるかもしれない。
軽い気持ちで森へと向かった四人だったが、行手には様々な困難が待ち受けていて......。
・短評
「ひと夏の冒険を経て逞しくなる少年たち」というジャンルを代表する小説であり、映画版のヒットもあって今日まで読み継がれる作品となっております。
そんな作品ですから、断崖絶壁に架けられた線路橋を列車に追いかけられながら渡る名シーンを筆頭に、ドキドキワクワク感の演出には卓越したものがあります。
ただ、本作の本当の魅力は別の場所にあります。
それは、少年期のみに成立する友情の熱さと切なさを上手く描いている点です。
主人公のゴードンは平凡な家庭に生まれた秀才ですが、他の3人はそれぞれ家庭や性格、成績に問題を抱えています。
それはつまり、4人はそれぞれ全く異なる進路を選ぶことになり、全く異なる世界でそれぞれの人間関係を築いていくということ。
小学校のときは仲良しだったけれど、もう自分が所属する「クラスタ」にはいない同級生たち。
そんな面々のことを思い出すと、どこか哀愁を感じてしまう人も少なくないでしょう。
この死体探しが四人にとって最後の大冒険になる。
小学校を卒業したら、俺達はみんなバラバラになるんだ。
それを自覚しているクリスが、自覚していないゴードンに「社会の仕組み」を説明するシーンには胸を締め付けられるほどの切なさがあります。
ノスタルジックな小説の王様とでも呼ぶべき作品です。
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