海外映画

フォレスト・ガンプ

「フォレスト・ガンプ」ロバート・ゼメキス 評価:3点|激動の戦後アメリカを駆け抜けた、実直で不器用な男の人生【アメリカ映画】

1994年のアメリカ映画で、大ヒットを記録してアカデミー賞の作品賞を受賞、いまなお古典として人気を誇るハリウッド映画の王道的名作とされる作品です。 知能指数が低く、足も不自由に生まれた少年がその実直な性格を梃子に激動の人生を歩んでいく、というまさに王道を往く物語であり、ベトナム戦争や公民権運動、ピンポン外交といった戦後アメリカ激動の歴史を重ね合わされ、ケネディ大統領にニクソン大統領、ジョン・レノン、そしてアップルといった、当時の時代を象徴するような実在の人物や企業が登場することで、主人公の人生という小さな流れと、戦後アメリカの歴史という大きな流れが相互に影響を与えている点が特徴となっております。 そんな本作ですが、もちろん、粗を探そうと思えばたくさんあるのですが、物語のダイナミックさと「人生」の不思議さといった大奔流の要素がそれらの粗による悪さを超える魅力を形成しており、総合すれば佳作と呼べる映画となっております。 その評価も、今日に鑑賞すれば佳作といったところで、きっと、時代の流れによりマッチしていた当時に鑑賞すればその感動もひとしおだっただろう、ということは容易...
ガタカ

「ガダカ」アンドリュー・ニコル 評価:2点|「遺伝子操作なし」で生まれてきた男が抱いた宇宙飛行士になるという夢物語【アメリカ映画】

1997年に公開されたSF映画。 遺伝子操作によって優秀な子供を意図的に授かることができるようになった時代に、遺伝子操作なしの「不適正者」として生まれてきたヴィンセント・フリーマン。 彼が本来は「適正者」しか就くことできない職業である宇宙飛行士を目指し、宇宙へと旅立つそのときまでを描いた作品になります。 人間に対する遺伝子操作の技術が実用化するのはまだまだ先のことかもしれませんが、出生前診断による選別や、人工授精を行う際の父親の経歴に対する選別など、実質的には「遺伝子(の組み合わせ)を選ぶ」ことが実現されている現在、1997年に本作が描いた「適正者」と「不適正者」から成る社会とそこにある差別の状況はいまなお時機を得ているといえるでしょう。 また、結婚についての社会的流動性が少なくなりつつあり、資産家であり高収入者であり高学歴者である者が同じく資産家であり高収入者であり高学歴者である者と結婚する傾向が頓に強くなっているという傾向も、一種の遺伝子選別強化だと見なせるのではないでしょうか。 自分に「相応しい」「見合う」人間を選んで結婚する、その循環が資産・美貌...
帰ってきたヒトラー

「帰ってきたヒトラー」ダーヴィト・ヴネント 評価:2点|現代ドイツ人の心を鷲掴みにする独裁者【政治風刺映画】

2015年に公開されたドイツ映画。 世界的ベストセラーとなった同名小説が原作で、タイトルの通り、アドルフ・ヒトラーが2014年のドイツにタイムスリップするというお話です。 2014年のドイツといえば、移民排斥運動が勃興し、国家民主党やドイツのための選択肢といった極右政党の勢力が伸長していた時期でもあり、そういった機運への警鐘として製作された映画でもあります。 とはいえ、ヒトラーへの画一的な批判一辺倒ではないのが面白いところ。 ヒトラーが巧みな弁舌で聴衆からの支持を調達する様子、そして、警戒感の薄さからヒトラーを易々と受け入れてしまう大衆の様子がリアルに描かれ、そのポジティブな言葉遣いから良心的な存在だとさえ見なされるようになる過程が印象深く描かれています。 ただ、そうした手法でドイツの政治的現状を描くことには成功している一方、物語としての面白さにはやや欠ける面があると思いました。 準ドキュメンタリー的な学習映画としては優秀だと感じられたのですが、演出や伏線の張り方、どんでん返しの技術等に特筆すべき点がなく、観客の興奮を搔き立てるには至らなかった映画...
自転車泥棒

【貧困と誇りと惨めな哀愁】映画「自転車泥棒」ヴィットリオ・デ・シーカ 評価:2点 【イタリア映画】

1948年公開のイタリア映画。 猥雑で混沌とした終戦直後のイタリアを舞台に、父子が盗まれた自転車を探すという物語です。 写実性(つくりものっぽくなさ)を重視した「ネオ・レアレズモ」という当時の潮流を代表する作品の一つで、アカデミー賞の名誉賞(現:アカデミー国際長編映画賞)を受賞しています。 とはいえ、普通の映画だった、というのが率直な個人的感想です。 ようやく仕事にありついた男が仕事道具である自転車を盗まれ、それを必死に探して回るというやりきれない筋書きや、哀愁溢れるラストシーンなどは良かったものの、ひたすらにローマの街中をうろうろするだけの部分はやや退屈でした。 あらすじ 舞台は終戦直後のローマ市街。 失業中のアントニオ・リッチだが、ついに役所のポスター貼りという仕事を得ることができた。 仕事道具として自転車が必要だと言われたアントニオは、何とかお金を工面して質屋から自転車を取り戻し、意気揚々と仕事を始める。 しかし、開始早々、アントニオの自転車は泥棒に盗まれてしまう。 慌てて追いかけるも泥棒の姿を見失ってしまい、...
トゥルーマンショー

【偽物の世界から脱出せよ】映画「トゥルーマン・ショー」ピーター・ウィアー 評価:3点 【アメリカ映画】

1998年公開のアメリカ映画。 ある凡庸な男の人生が本人には知らされることなく全世界に放映されている、という突飛な設定が関心を惹く作品です。 監督は「いまを生きる」等の作品で知られるピーター・ウィアー。 “Yes Man”の主演等で知られるジム・キャリーが主人公のトゥルーマンを演じています。 全体的な感想としては、初期設定の面白さはよく効いていたものの、その突飛な設定から展開される面白さ以上の工夫がやや薄く感じられました。 あらすじ 主人公の名前はトゥルーマン・バーバンク。 離島に存在する小さな町、シーヘブンで保険会社に勤務する30歳の男性である。 凡庸ながら幸福な日常を送る彼の人生には、他の人の人生とは決定的に異なっている点があった。 それは、このシーヘブンという街自体がリアリティ番組のセットであり、彼の人生は30年に及ぶリアリティショーとして世界中に放映されているという点。 トゥルーマンは30年間この事実に気づかないでいたが、番組側のミスが重なり、トゥルーマンは徐々に世界の「おかしな」在り方に気づいていく。 ...
映画/アニメ特集

【実写映画】おすすめ実写映画ランキングベスト4【オールタイムベスト】

本ブログで紹介した実写映画の中からベスト4を選んで掲載しています。 私の好みもあり、ヒューマンドラマをテーマとした作品が多くなっております。 第4位 「ローマの休日」ウィリアム・ワイラー 【決して色褪せない恋愛映画の世界的名作】 ・あらすじ ヨーロッパ某国の王女アンは公務でのヨーロッパ周遊中にローマを訪れていた。 しかし、あまりに束縛が激しく自由がない公務生活に辟易していたアンは、監視の目をくぐり抜けて夜中のローマへと逃亡する。 そんなアンに街中で出会ったのは新聞記者であるジョー・ブラッドレイ。 アンが王女であることを見抜いたジョーは、アンとの一日デートを取り付け、その様子を密かに撮影することで大スクープを狙うことにする。 デートが始まり、意気揚々とアンにローマを案内するジョー。 どう考えても、ジョーの陰謀は全て順調に進んでいた。 二人が恋に落ちる、そのときまでは......。 ・短評 誰もが名前くらいは聞いたことがあるであろう恋愛映画の古典的名作です。 激務に耐えかねた王侯貴族が監視の目を盗...
いまを生きる

【青春学園】映画 「いまを生きる」 監督:ピーター・ウィアー 星4つ

1. いまを生きる 1989年のアメリカ映画で、第62回アカデミー賞で脚本賞を受賞した作品でもあります。 厳格な進学校に赴任してきた型破りな教師の授業から、生徒たちが「人はどう生きるべきか」の本質を学び、実践していくという内容。 テーマの普遍性から今日でも人気の衰えない作品であり、元サッカー日本代表で現在はJ1ガンバ大阪の監督を務めている宮本恒靖さんが座右の銘に「いまを生きる」を採用するなど、まさに多くの人々の生き方に影響を与えた作品になっております。 いまとなっては古典となった本作をこの令和の時代に鑑賞してみたのですが、やはり感動はひとしおでした。 規則や形式に囚われず、物事を様々な側面から捉え、なにより自分のやりたいことを大切にしながら生きる。 そんなメッセージが激動のドラマ的展開によって鮮烈に表現された、まさに「映画」の見本となるような作品です。 2. あらすじ 舞台は全寮制の名門進学校ウェルトン・アカデミー。 「伝統」「名誉」「規律」「美徳」の四柱をモットーとする厳格なこの学校に、一人の英語教師が赴任してくる。 ...
天使にラブソングを

【場末の歌手と厳格な教会】映画「天使にラブソングを」エミール・アルドリーノ 評価:4点【アメリカ映画】

1992年に公開されたハリウッド映画で、大ヒットしたために日本でもよく知られているタイトルとなっております。 金曜ロードショウでも合計6回放送されており、最新の放送は2020年の5月と、近年でもその人気は衰えておりません。 そんな本作を今回初視聴したのですが、非常に満足できる映画でした。 テーマもテンポも物語の起伏も素晴らしく、常にわくわくしながら観ていられる作品です。 あらすじ ナイトクラブで歌手をしているデロリスはマフィアのボスであるヴィンスの愛人でもあった。 ある日、ヴィンスから貰ったコートにヴィンスの妻の名前が入っていたことにデロリスは激怒する。 怒り心頭のデロリスがヴィンスの部屋を訪れたとき、マフィアの下っ端が裏切りの濡れ衣を被せられてヴィンスとその側近に始末される現場をデロリスは目撃してしまう。 必死の逃亡を図って警察署に駆けこんだデロリスは警察の保護下に置かれることになったものの、殺人現場の目撃者としてマフィアから狙われているデロリスを匿う場所を選ぶのは難しい。 そんな中、デロリスの警護担当となったサウザー警...
ロミオとジュリエット

映画 「ロミオとジュリエット」 監督:フランコ・ゼフィレッリ 星3つ

1. ロミオとジュリエット 1968年公開の映画で、言わずと知れたシェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の映画化作品です。近年流行りの「新解釈」などではなく、原作に忠実な脚本となっているのですが、それでいて当時は大ヒット。 アカデミー撮影賞、アカデミー衣装デザイン賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞など様々な賞を受賞しました。 そんな作品を2020年に鑑賞してみたわけですが、なかなか良かったというのが率直な感想です。 シンプルでハイテンポな恋愛劇というまさに古典王道を感じさせる作風で、しらけるような場面もなくずっと見ていられます。 凝った作品が見せる深い感動はありませんが、ハラハラ、ドキドキ、いちゃいちゃ、そして胸を衝く悲しみという要素が揃ったエンタメの良作でした。 2. あらすじ 部隊は中世イタリアの都市ヴェローナ。 この街では、モンタギュー家とキャピュレット家という二つの名家が長年にわたって抗争を繰り広げていた。 そんなある日、モンタギュー家の嫡男ロミオは、友人たちとともにキャピュレット家のパーティーに忍び込む。...
アナと雪の女王

「アナと雪の女王」クリス・バック 評価:4点|巧みな比喩表現で語られる「真の愛」【ディズニー映画】

2013年に公開されたディズニー映画。 世界中で大ヒットした超有名作です。 日本でも興行収入歴代3位となる255億円を記録しており、2019年現在でさえ本映画の名前を知らないという人の方が少ないでしょう。 松たか子さんが歌った劇中歌の"Let it go"(の日本語訳版)もブームになりました。 私は今更ながらに初視聴してみたのですが、評判に違わずいい映画だったというのが正直な感想。 シンプルに「愛」や「勇気」についての物語として観ても面白いですし、これまでのディズニー、あるいは旧い社会の固定観念を振り払うためのメタ社会的な物語としても深みがあります。 表面をさらっても楽しむことができ、それでいて真理や深遠さも備えている。そんな作品の一つです。 あらすじ 舞台はアレンデール王国、主人公は二人の王女アナとエルサ。 姉であるエルサは幼少の頃から氷の魔法に長け、その魔法を使ってアナと一緒に遊ぶことが多かった。 しかしある日、エルサは誤って氷の魔法をアナに命中させてしまい、アナは意識不明の重体となってしまう。 トロール...
ボヘミアン・ラプソディ

「ボヘミアン・ラプソディ」ブライアン・シンガー 評価:3点|「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーの情熱と悲愴を描いた伝記映画【海外映画】

1970~1980年代に活躍したロックバンド、「クイーン」のボーカルだったフレディ・マーキュリーの生涯を描いた伝記映画。 現在も日本全国で公開中ですが、既に2018年を代表する大ヒット映画と呼べるほどの興行収入を挙げている作品です。 公開後にSNSで大きく話題になったことから、公開から日を重ねるごとに観客が増えていくという現象が起きているらしく、まさに二十一世紀型の大ヒットだと言えるのではないでしょうか。 平成最後の年だから思うのかもしれませんが、インターネット隆盛時代だからこそのヒットコンテンツなのかもしれません。 というのも、本作はストーリーよりもライブシーンに強く惹かれるタイプの作品であり、まさに「臨場感」が売りの作品だといえるからです。 消費が「モノ」から「コト」に移っているとも評される今日ですが、実際、音楽業界でもCDの売り上げが落ちならがらもライブの売り上げが伸びているようです。 伝統的な祭りが衰退し、日常でも空気感による抑制で羽目を外しづらくなったいま、「集まって騒ぐ」という機会が希少価値として高まっているのかもしれませんね。 ...
ローマの休日

【永遠不朽のデートムービー】映画「ローマの休日」 ウィリアム・ワイラー 評価:4点【海外映画】

1953年の公開以来、世界的名作としてその名を轟かせているビッグタイトル。 オードリー・ヘプバーンの初主演映画としても有名で、この作品でいきなりアカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得しています。 他にも、最優秀衣装デザイン賞や最優秀原案賞を獲得するなど、大きなセンセーションをもたらした作品です。 いま観るとベタにも見えるストーリーなのですが、それは本作が新しい「ベタ」をつくりだした作品だから。 「『ローマの休日』的物語」という王道を編み出した元祖作品であり、そのベタさは称賛に値すべきなのです。 そして、物語だけでなく役者たちの演技も超一流。 常に視線を釘づけにされ、画面から目が離せなくなってしまいます。 色褪せない新しいスタンダードを築いた輝かしい古典作品。 必見の一作と言えるでしょう。 あらすじ ヨーロッパ某国の王女アンは公務でのヨーロッパ周遊中にローマを訪れていた。 分単位のスケジュールと、決まりきった形式的対応を迫られる生活に辟易するアン。 ローマ滞在初日の夜、我慢ならなくなったアンは、監視の目をくぐり...
街の灯

「街の灯」チャールズ・チャップリン 評価:2点|切ないラストシーンが印象的なチャップリンの代表作【コメディ映画】

1931年に発表された映画で、映画好きの間では定番の作品だそうです。 チャップリンの代表作の一つということで見てみました。 筋書きは面白いのですが、やはり全体的に表現が冗長だと感じます。 あらすじ チャップリン扮する浮浪者の男は、おふざけばかりの生活で日常を過ごしていた。 そんな男はある日、花売りの少女に一目惚れしてしまう。 本来ならば見込みがない恋だが、花売りの少女は盲目であり、ひょんなことから男のことを別の大金持ちと取り違えてしまう。 貧しい盲目の女性に献身しようと男は身を粉にして働くようになるのだが、男は大富豪の家に入った強盗として逮捕されてしまい....... 感想 もうちょっと圧縮できるのに、というのが正直な感想です。 テンポの良い現代の作品と比べてしまうとかなり冗長に感じてしまいます。 各コメディシーンも、当時は斬新だったのかもしれませんが、いまとなってはややグダグダ感があり、一般の視聴には堪えないでしょう。 映画好きは細かいところをいろいろ褒めるのかもしれませんが、フィクション作品である以上、気づか...
スポンサーリンク