恋愛漫画

堀さんと宮村くん

「堀さんと宮村くん」HERO 評価:3点|抑制的な作風が笑いと切なさを誘う、天然色系青春恋愛漫画【ラブコメ】

2007年からweb上で連載されている四コマ形式のラブコメディ。 いまでこそ大手出版社によるweb漫画雑誌や漫画アプリが乱立しておりますが、当時は各個人がそれぞれのホームページでweb漫画を公開していた時代でした。 そんな「個」の時代において圧倒的な人気を誇った作品のひとつであり、連載開始から1年に満たない2008年にはスクウェア・エニックスから単行本が発売されているなど、web漫画の単行本化による出版という流れの先駆けともなった作品です。 私も一時期、HERO氏のホームページである「読解アヘン」を毎日覗いていたくらいハマっておりました。 2021年にはついにアニメ化されたこともあり、再度手を伸ばしてみようと思い読んでみた次第。 結論としては、当時ほど熱中しなかったにせよ、やはり他の青春漫画(特に最初から商業出版されることを前提に練られた漫画たち)にはない独特の魅力がある作品で、最終話を読んだ後は切なく優しい気持ちになりました。 あらすじ 学校では生粋のギャルとして通っている堀京子(ほり きょうこ)だが、家になかなか寄り付かない両親に代わって...
砂時計

【物語論】00年代の恋愛漫画「砂時計」から感じる現代の少女漫画から失われたリアリティについて

2000年代前半に雑誌連載され、人気を博した「砂時計」という恋愛漫画があります。 植草杏(うえくさ あん)が小学生のときに東京から島根へと転向して同学年の北村大悟(きたむら だいご)と出会う場面から始まり、社会人になってから杏と大悟が結婚するまでの経緯が描かれる漫画です。 北村夫妻は結婚後島根県で暮らすことになり、杏は介護の現場で、大悟は小学校教員として働きます。 差別や偏見、倫理や道徳の問題に踏み込むような言動かもしれませんが、現実問題として、少女漫画(あるいは恋愛漫画)のヒロインが最終的に介護職員になるのはかなり珍しいのではないでしょうか。 大悟と結婚する以前、杏は東京でも働いていたのですが、そのときも派遣の事務職員として働いていました。 経済的に成功している、という類の職業ではありませんし、いわゆるヒロインが就きそうなキラキラした職業でもありません。 一方、大悟の小学校教員という職業はどうでしょうか。 それなりに社会的地位が認めらている職業ではありますが、決して高給ではありませんし、近年はブラックな労働環境について報道される...
LOVE理論

【ラブコメで学ぶモテ理論】漫画「LOVE理論」水野敬也・佐藤まさき 評価:3点【恋愛指南漫画】

「夢をかなえるゾウ」などで有名な作家、水野敬也さんが記した恋愛指南本「LOVE理論」の漫画版です。 非モテの大学生、屋良畑寛二を恋愛体育教師「愛也」が指導し、モテる男子へと導くという物語。 各章で「〜理論」と称した水野流モテ理論が一つずつ紹介され、その実行を通じて屋良畑はモテる男子の話法や行動を身に着けていきます。 全体的な感想としては、そこそこ面白かったといったところ。 紹介される理論は納得できるものから首をかしげるものまでありますが、それを忠実かつコミカルにこなしていく漫画のテンポが良く、飽きずに読むことができます。 また、どこか「いちご100%」を思わせるような絵柄でパンチラも多用されるため、往年のラブコメ読みにとってもニヤニヤできる漫画になっています。 あらすじ 主人公、屋良畑寛二(やらはた かんじ)は20歳の大学生。 彼女いない歴=年齢の童貞であり、バイト先の可愛い同僚、吉野咲(よしの さき)にも禄に話しかけられないくらい女性が苦手な性格。 そんな寛二のもとに現れたのは「愛也」と名乗る謎の幽霊。 彼は寛二...
スポンサーリンク
砂時計

【00年代の恋愛漫画】漫画「砂時計」芦原妃名子 評価:2点【少女漫画】

2003年から2005年まで小学館の漫画雑誌「ベツコミ」で連載されていた少女漫画。 全十巻ながら発行部数は累計700万部を突破しており、2007年にはドラマ化、2008年には映画化されるなど、大ヒットした作品です。 とはいえ、個人的には凡庸な作品だったという印象。 序盤こそドキドキする恋愛展開が続きますが、その後は特筆すべき場面もなく、淡々と普通の少女漫画が続いていきました。 あらすじ 主人公は12歳の植草杏(うえくさ あん)。 両親の離婚をきっかけに、東京から島根へと引っ越してきた。 田舎の雰囲気に不安と緊張を感じていたちょうどそのとき、杏は同い年の北村大悟(きたむら だいご)と出会い、打ち解けていく。 地元の名家である月島家の子息と令嬢、月島藤(つきしま ふじ) と椎香(しいか)兄妹とも知り合い、杏はこの町に馴染んでいくのだった。 そんな折、杏のもとに凶報が届く。 杏の母、美和子(みわこ)が自殺を図ったのだ。 あまりの衝撃に、美和子に買ってもらった砂時計を遺影に投げつける杏。 そんな杏に対して、大悟...
漫画特集

【恋愛漫画】おすすめ恋愛漫画ランキングベスト3【オールタイムベスト】

本ブログで紹介した恋愛漫画の中からベスト3を選んで掲載しています。 第3位 「Paradise Kiss」矢沢あい 【服飾にかける青春と恋愛、王道少女漫画】 ・あらすじ 進学校である清栄学園高校3年生の早坂紫(はやさか ゆかり)は下校中、ファッションショーにモデルとして出演しないかと声をかけられる。 紫を誘った個性的な服装の3人組は、近隣の専門学校、矢澤芸術学院(通称、ヤザガク)服飾科の3年生。 彼らは学園祭で催されるファッションショーのモデルを探して街をうろつき、スカウトを行っていたのだ。 当初は乗り気でなかった紫だったが、進学校の生徒とは違って自分の道を自分で切り拓いていこうとするヤザガクの四人に憧れを抱き始め、モデルを引き受けることにする。 「進学校の自分」との葛藤、小泉譲二(こいずみ じょうじ)との恋、親との軋轢、モデルという職業への憧れ。 青春がぎゅっとつまった濃密な時間が紫の人生を大きく変えていく......。 ・短評 「NANA」で有名な少女漫画家、矢沢あいさんの作品です。 ファッション誌に...
僕は愛を証明しようと思う

「ぼくは愛を証明しようと思う」藤沢数希・井雲くす 評価:2点|恋愛工学を駆使してモテ男になろう【恋愛ハウツー漫画】

外資系銀行出身で現在は作家として活躍する藤沢数希さん。 そんな藤沢さんは「恋愛工学」と題した恋愛術も発信しており、その技術を纏めた著作として小説「ぼくは愛を証明しようと思う(幻冬舎刊)」があります。 本作はその漫画版であり、藤沢さんが提唱する「恋愛工学」理論が物語に絡めて紹介されていくという作品になっております。 先日紹介した漫画「ピックアップ」が「成長物語」を描くための道具として恋愛技術を用いていたのに対し、本作は「恋愛工学」という恋愛技術を紹介することが漫画の目的であり、そのための道具として物語形式を用いている点が対照的です。 そんな本作ですが、まさに「恋愛工学入門」という位置づけに相応しい漫画であると思います。 一般的な発想ではまず思いつかない「恋愛工学」の理論と技術が次々と紹介され、主人公による実践を通してその具体的な方法と成功までの道筋が描かれていきます。 聞き慣れない用語が心理学的な補足を伴って上手く説明されており、そんなに都合よく「モテ」を解決してしまえるのか、と疑問に思うこともなくはないのですが、それなりに理解・納得しな...
漫画特集

【漫画】ジャンル別おすすめ漫画ランキングまとめ【オールタイムベスト】

ジャンル別のおすすめ漫画ランキング記事の一覧です。 おすすめ学園漫画ランキングベスト5 おすすめ恋愛漫画ランキングベスト3 おすすめ短編漫画ランキングベスト5 高評価漫画一覧 当ブログを訪問頂きありがとうございます。 応援クリックお願いします!
ピックアップ

【ナンパ・男磨き・友情】漫画「ピックアップ」真鍋昌平・福田博一 評価:3点【青年漫画】

「ナンパ」を題材とした全2巻の短編漫画。 「闇金ウシジマくん」の作者として有名な真鍋昌平さんが原作を務めております。 とはいえ、チャラいナンパ師がコリドー街や江ノ島で女性を「ピックアップ」してはセックスする様子を描いた漫画、というわけではありません。 主人公はいかにも「陰キャ」な新卒社会人であり、そのバディとなるのがデキる先輩という構図。 この先輩が主催する「魁ナンパ塾」に主人公が入塾し、様々なナンパ術を学びながら社会を生きる「漢」としての技量を高め、仕事でも成功していくというサクセスストーリーです。 へたれ主人公が「師」の導きで成長し、強さを身に着けながら自立して一人前になっていく。 そんな少年漫画を彷彿とさせる大枠ながら、自由恋愛と「男女平等」が隅々にまで行き渡った現代社会の闇を何でもないことのように描くことで却って生々しく表現しているという面白い作品。 都市部で生きる若手社会人なら共感できること請け合いでしょう。 あらすじ 主人公の南波春海(みなみ はるうみ)は都内の出版社に勤める新卒社会人。 配属希望はマンガ...
漫画特集

【短編漫画】おすすめ短編漫画ランキングベスト4【オールタイムベスト】

本ブログで紹介した5巻以下の短編漫画からベスト3を選んで掲載しています。 第4位 「トーマの心臓 」萩尾望都 【あどけない少年たちの友情と信仰】 ・あらすじ 舞台はドイツのギムナジウム(中高一貫の男子校)。 学園のアイドル的存在だったトーマ・ヴェルナーの事故死した直後、トーマによく似た容姿の転校生が学園へとやってきた。 転校生の名前はエーリク・フリューリンク。 そんなエーリクの姿を見て、ユリスモール・バイハン(通称、ユーリ)は動揺する。 トーマがユーリに対して想いを寄せていたこと。 トーマの死が実は自殺であること。 その事実を、ユーリだけが知っているから。 ユーリへの叶わなかった恋を胸に死んでいったトーマが蘇ったみたいだから。 秘密を知る者ユーリと、数奇な闖入者エーリクの運命が交錯する学園ドラマ。 ・短評 トーマから愛されていたにも関わらず、トーマに対して冷然とした態度で接し続けていたユーリが、エーリクとの交流を通じて自身の過ちに気づいていく過程が本作の見所となっております。 成績優秀で...
電車男

【失敗したコミカライズ】漫画「電車男」原秀則 評価:1点【青年漫画】

あらすじ 主人公は秋葉系オタクの「電車男」。 ある日、秋葉原から帰る電車で「電車男」は暴漢に出くわす。 酔っぱらって女性に絡む暴漢に対して誰もが見てみぬふりをする中、「電車男」は勇気を振り絞って声を挙げ、その女性や乗客たちが助かるきっかけをつくったのだった。 後日、そんな「電車男」の自宅にHERMESのティーカップが届けられる。 送り主はあの車両に乗っていた美貌の若い女性。 伝票には電話番号が記載されており、「電車男」は女性の意図について思い悩む。 パソコンの電源を点け、事の顛末を「2ちゃんねる」に書き込んだ「電車男」。 彼が立てたスレッドへ馳せ参じたのは、お互いに顔も声も本名も知らないインターネット掲示板の住民たち。 ティーカップのブランドにちなんで「エルメス」と掲示板内で呼ばれるようになったその女性へのアプローチを住民たちは「電車男」に勧めるのだが......。 感想 インターネット掲示板「2ちゃんねる」での書き込みをもとにした恋愛物語という触れ込みで話題となった作品。 小説、漫画、映画、そしてテレビドラマと...
☆☆(漫画)

【幼馴染が気になる】漫画「ご近所物語」矢沢あい 評価:2点【少女漫画】

「NANA」「天使なんかじゃない」「Paradise Kiss」など多くの代表作を持つ少女漫画家、矢沢あいさんの作品。 1990年代の中盤に「りぼん」で連載され、同時期にアニメが放映されていたことから、若手社会人世代にとって懐かしい作品だといえるのではないでしょうか。 「天使なんかじゃない」からゲスト出演しているキャラクターがいたり、「Paradise Kiss」が同舞台での数年後の話になっているなど、他の矢沢あい作品とのリンクが楽しめるのも特徴です。 そんな本作ですが、総合的な評価としては凡作だと感じました。 少女漫画の肝である恋愛面、そして、デザイン系の高校を舞台にしているというところから発される夢を追う若者という面。 その両面においてやや盛り上がりに欠けてしまった印象です。 あらすじ 幸田実果子(こうだ みかこ)は矢沢藝術学院に通う高校一年生。 夢はファッションデザイナーとして自分のブランドを立ち上げることで、服のデザインについてはその才能と熱意が学院内でも認められている。 そんな実果子には同学年の幼馴染、山口ツトム...
数学ガール

【数学ガール】数学要素も恋愛要素も中途半端な失敗作 評価:1点【原作:結城浩 作画:日坂水柯】

数学をテーマにした小説「数学ガール」の漫画版。 原作者はプログラミングの実用書で有名な結城浩さん、作画は後に「白衣のカノジョ」を手がけることになる日坂水柯さんとなっております。 原作の購入も検討したのですが、「数学の面白さを伝える」がメインで文芸的な特徴が薄いのであれば漫画版でも同じだろうと考え、漫画版を購入いたしました。 しかし、これが大失敗。 (もしかすると原作もこうなのかもしれませんが)数学については理数系に詳しくない人間を楽しませようという意図が一切ないような説明しかされないうえ、恋愛を軸とした物語にも数学が深く関わるわけではなく、かといってラブストーリーは非常に陳腐。 一般向け数学本としても漫画としても平凡の水準にさえ達していない作品でした。 あらすじ 高校生の「僕」は数学好きで、中学時代は放課後にひとりで数式を展開するほどだった。 そんな「僕」にも、高校では数学仲間ができた。 同学年のミルカさんと後輩のテトラちゃん。 ミルカさんは「僕」よりも数学に長けており、いつも「僕」に問題を出す側。 逆に、テト...
orange

「orange」高野苺 評価:2点|素敵な友情が炸裂するハイテンポな”リア充文学”【少女漫画】

2015~2016年における大ヒット漫画の一つで、名前くらいは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。 「このマンガがすごい!」などでランキング上位入りを果たし、累計発行部数は500万部近くに到達。 アニメ化はもちろん、土屋太鳳さんと山崎賢人さん主演で実写映画にもなっています。 高野苺さんが漫画家としてジャパニーズドリームを掴んだ作品ともいえるでしょう。 おおまかな感想としては、「未来から手紙が届く」というSF要素と王道少女漫画展開を合わるという手法が斬新で(意外にもこれまでなかったんですね)、画力も高く、双葉社版の装丁も魅力的で大ヒットしたのは頷けます。 ただ、主人公二人の魅力と、物語の作り込みという点ではイマイチな点が多く、じっくり読んで味わうには不十分だと感じました。 後世に残る作品というよりはカジュアルに消費されていく作品の成功作という印象です。 あらすじ 舞台は長野県松本市。高校二年生に進級した高宮菜穂(たかみや なほ)は、始業式の日の朝に奇妙な手紙を家の郵便ポストに発見する。 差出人は10年後の自分で、自...
スポンサーリンク