「教育行政の政府間関係」青木栄一 評価:2点|教育行政において地方政府が中央政府に隷属しているという通説に対する挑戦【政治学】
現在、東北大学で准教授を務めておられる著者の博士論文に改稿を加えたもので、中央政府―地方政府の関係性から教育行政においてどのように政策決定がなされているかを研究した本です。私にとって新たな発見もありましたが、全体的に著者の主張の重要性が十分に論証されていたとは言い難いと感じました。概要先行研究において、教育行政は中央政府(=文部省)が機関委任事務や国庫負担金といった制度を通じて地方政府(=都道府県、市町村)を統制してきたと考えられてきた。しかし、実際には地方政府にも一定の自律性と裁量があり、独自政策を実行する余地がある。それゆえ、中央政府も、そういった地方政府独自の取り組みや、地方政府による様々な要望を加味したうえで政策を決定している。そのため、地方政府も教育行政の政策形成に影響を及ぼしており、また、中央政府と地方政府の力関係は一方的なものではなく、双方向的に影響を与え合う類のものとなっている。目次第Ⅰ部 制度分析第1章 第Ⅰ部の課題設定第2章 戦後日本における公立学校施設整備政策の変遷第3章 国庫支出金制度の変容――時系列分析第4章 市町村公立学校施設整備事業の財政統計分析第5章 財...
2016.10.13
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