【政治学】おすすめ政治学本(その他)ランキングベスト4【オールタイムベスト】
☆(映画/アニメ)
「流浪の月」李相日 評価:1点|誘拐犯と少女が育んだ不思議な愛のかたち。十五年後の再会は二人を不思議な運命へと導いていく【恋愛映画】
2022年5月13日に公開された邦画で、主演は広瀬すずと松坂桃李。脇役も横浜流星や多部未華子といった著名な俳優で固められており、力の入っている作品だといえるでしょう。原作は凪良ゆうさんの同名小説であり、第17回本屋大賞受賞作にして累計発行部数80万部突破の人気作。かつて誘拐犯と誘拐された少女という立場だった二人が十五年後に再開を果たし、友情とも恋情とも違った関係をあの頃と同じように取り結んでいくという不思議な物語の大枠自体は原作準拠のようです。そんな本作ですが、少なくとも映画の方はイマイチな出来だったと言わざるを得ないのではないでしょうか。いわゆる「盛り上がる」ような題材の作品ではなく、たおやかな雰囲気にならざるを得ない作風とはいえ、さすがに映画鑑賞体験として「盛り上がり」を感じられる場面が皆無に近く、だからといって「ぐっとくる」ような場面もなかったというのが正直なところです。一般的には理解を得づらいはずの二人の関係を、いかに「あり得る」魅力的な関係として描き出すかというのが本作の肝となり得るはずですが、そこの説得力には欠けるばかりで、誰が本作に共感するんだろうと思ってしまいました。も...
【駄作への急落】映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」庵野秀明 評価:1点【アニメ映画】
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の感想はこちらあらすじエヴァ初号機と第10使徒との交戦により発生したニア・サードインパクトから14年が経過。葛城ミサトは反NERV組織WILLEを率い、NERVによる人類補完計画を阻止するべく戦いを続けていた。そんな中、14年振りに目覚めた碇シンジはWILLEの旗艦Wunder内部で葛城ミサトや式波・アスカ・ラングレーと再開する。ところが、二人がシンジに向ける言葉や行動は非常に冷たく、シンジは異常を感じ取る。WILLEの艦隊がNERVによる強襲を受けると、シンジは綾波レイ搭乗のエヴァ初号機と接触。初号機に連れられてWunderを脱出し、レイとともにNERVへと向かうのだった。NERVでレイとも顔を合わせ、新しい友人である渚カオル(なぎさ かおる)とも親しくなったシンジ。ようやく元気を取り戻しかけたシンジだが、4年前に起こったニア・サードインパクトとその後の顛末を知ることになり……。感想何もかもぶち壊しにしてしまったという印象です。シンジがエヴァンゲリオンのパイロットという経験を通じて大人になっていく物語としての、ヒューマンドラマとしての魅力に溢れた物語か...
「ジョゼと虎と魚たち」タムラコータロー 評価:1点|名作邦画のリメイクアニメは非常に残念な凡庸恋愛映画【アニメ映画】
2020年12月25日に公開されたアニメーション作品。1984年に著された田辺聖子さんの短編小説が原作で、映画通のあいだでは2003年の実写映画版が名作として知られているようです。とはいえ、印象的なベッドシーンやヒロインが抱える障がいに独特の焦点を当てたことで評判になった実写版とは異なり、アニメ映画はクリスマスに相応しい清らかな純愛ものに仕上がっています。加えて、主人公とヒロインの声を俳優の中川大志さんと清原果耶さんが務め、お笑い芸人である「見取り図」の二人もチョイ役で参加しているところからも、大衆受けを狙ったのだろうなという感じは拭えません。そして、そういった大衆受け純愛路線が結果的に奏功していたかと問われれば、かなり失敗していたのではないかと感じました。著しく退屈というわけではないけれども、どうにも底の浅い凡庸な映画に仕上がってしまっていたというのが感想の大枠です。あらすじ主人公は男子大学生の恒夫つねお。大学では海洋生物学を専攻しており、趣味は海に潜ること。メキシコ留学に向けた資金を貯めるため、ダイビングショップでのアルバイトにも励んでいる。そんな恒夫がダイビングショップから帰る途...
「月光の囁き」塩田明彦 評価:1点|極端な性癖を持った高校生男女が結ぶ歪んだ愛の物語【日本映画】
原作は週刊ヤングサンデーに連載されていた同名漫画ですが、私が本作の名前を知ったきっかけは、小説家の綿矢りささんが本作をかつて好きな映画に挙げていたという情報を得たことです。1999年公開と20年以上も前の映画で、おそらく当時においても無名な映画だったでしょう。近所のTSUTAYAには置いていなかったため、DMMの郵送レンタルサービスを使って視聴したほどです。さて、そんな本作の感想ですが、あまりの超展開についていけなかったというのが正直なところ。特異な性癖を持った高校生男女の一風変わった恋愛物語なのですが、全体的にかなりニッチなところを突いた映画になっていて、いわゆる映画好きの人たちには受けるのかもしれませんが、尋常の感性で楽しめる作品ではないでしょう。あらすじ高校生の日高拓也(ひだかたくや)と北原紗月(きたはらさつき)は剣道部に所属する同級生。お互いに惹かれあっていたもののなかなか進展を見せない二人の仲だったが、紗月が拓也の友人からラブレターを貰ったことを契機に好意を打ち明けあい、二人は付き合うようになる。当初は真っ当な恋人同士としての生活を楽しむ二人だったが、拓也の秘めたる嗜好は紗月...
アニメ映画 「パプリカ」 監督:今敏 星1つ
1. パプリカ2006年公開のアニメ映画で、監督は「PERFECT BLUE」や「千年女優」、「東京ゴッドファーザーズ」を手がけた今敏さん。筒井康隆さんの同名小説が原作で平沢進さんが主題歌を手がけるなど、この手の作品が好きな人には好まれる面子が揃っているといえるでしょう。「千年女優」は当ブログでもレビュー済みです。そんな濃密な面子によって製作された本作ですが、過度にマニア向けだったというのが妥当な評価でだと思います。映像表現の技術的な面には見るべきものがあるのかもしれませんが、普通の人が普通に見てエンタメとして楽しめるような映像表現にはなっておりません。さらに、物語という点に目を向けると全体的に稚拙な部分が多く、まるで自意識過剰な学生が急ピッチで撮影しましたとでもいうようなちぐはぐ感が目立っておりました。2. あらすじ主人公、千葉敦子(ちば あつこ)はサイコセラピストとして働いている。「DCミニ」という装置を使って患者の夢の中に入り、精神治療を行うことが彼女の仕事だ。そんなある日、「DCミニ」の開発元であり敦子の勤め先でもある精神医療総合研究所から「DCミニ」が盗まれてしまう。当初、犯...
【真夏のファンタジィ冒険譚】映画「ペンギン・ハイウェイ」石田祐康 評価:1点【アニメ映画】
人気小説家である森見登美彦さんの同名小説を映画化した作品。「台風のノルダ」(文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞、2016年地上波放送)や「陽なたのアオシグレ」(第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品)で頭角を現してきた新進気鋭の石田祐康氏が監督を務めています。制作も2011年設立のスタジオコロリドが手がけるなど、インディーズ色の濃い布陣。こういった映画が大手から配給され、上映館数もそれなりに確保できるのは近年のアニメ映画ブームによるところが大きいのでしょう。そんな本作、全体的な感想としてはイマイチだったというのが正直なところです。とはいえ、そもそもジブリや人気版権もの(ポケモン、ドラえもん、コナン、クレしん、アンパンマン)ではないアニメ映画なんてこんなものである、といったところでしょうか。あらすじアオヤマ君は非常に研究熱心な小学4年生。気になったことは何でもノートに書き留め、観察と探求を怠らない。そんなアオヤマ君にも気になる人がいて、それは同級生のハマモトさん、ではなく、近所の歯科医院に勤める「お姉さん」。歯科医院に通うアオヤマくんとの仲は、喫茶...
「赤線地帯」溝口健二 評価:1点|かつて存在した合法売春地域を舞台に娼婦たちの人生を描く【社会派映画】
1956年公開のモノクロ映画。監督はヴェネツィア国際映画祭で2度のサン・マルコ銀獅子賞に輝いた往年の巨匠、溝口健二さんです。いまはなき「赤線地帯」のリアリティを上手く描いているという点では(とはいえ、私は赤線がなくなった後の生まれなので本当にリアルなのかは分かりませんが)良いと思いましたが、フィクションゆえ、映画ゆえの物語性にあまりにも欠ける作品だと感じました。2. あらすじ物語は吉原(=赤線地帯)のとある売春宿「夢の里」。売春防止法が国会で審議され、赤線地帯の存続が脅かされているなか、今日も「夢の里」では娼婦たちが客の相手をしていた。この時代も娼婦は堅気の商売だとは見なされておらず、彼女たちはそれぞれ、暗い事情を負ってこの場所で働いていた。ハナエには病気で働けない夫と小さな子どもがおり、彼女が家計を支えている。ゆめ子は身体を売りながら女手一つで一人息子を育てたが、その一人息子とは疎遠になっている。やすみは客に結婚詐欺を仕掛けて金を貯め、この生活からの脱出を夢見ている。ミッキーは家出娘であり、親に頼れないために「夢の里」で稼いでいた。そんななか、普通の結婚生活に憧れるより江が堅気の男性...
映画 「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」 監督:岩井俊二 星1つ
1. 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?以前に記事を書いたアニメーション映画の原作です。岩井俊二監督の名声を一気に押し上げた作品で、現在でも映画ファンには人気があるようです。綺麗な映画ではあるのですが、ストーリーがあやふやで、玄人向けすぎる作品という印象でした。打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? posted with カエレバREMEDIOS ビデオメーカー 1999-08-07Amazon楽天市場
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」 新房昭之 評価:1点|青春恋愛SF要素をそれっぽく詰め合わせただけの意味不明作品【アニメ映画】
1993年に岩井俊二監督が手掛けた同名テレビドラマを原作としたアニメ映画。広瀬すず、菅田将暉、松たか子と、有名女優・俳優が声優として起用されています。宣伝を含め、出版社やテレビ局が本腰を入れて予算を投入したのは分かるのですが、結果的に意味不明という評価を受けても仕方がない作品になってしまったと思います。あらすじとある海辺の町に暮らす中学一年生、島田典道(しまだ のりみち)。夏休みの登校日、クラスメイトの男子達は「花火は横から見たら丸いのか、平べったいのか」という話題で盛り上がっていた。そう、この日はお祭りで打ち上げ花火が上がる日でもあった。そんな中、典道はクラスメイトの女子である及川なずな(おいかわ なずな)から「かけおち」に誘われる。しかし、これは典道が導いた結果だった。当初、なずなは典道の友人である安曇祐介(あずみ ゆうすけ)を誘っていたのだが、典道は手に入れた「もしも」の力で運命を変えたのである。母親の再婚に伴う引っ越しに抵抗したいなずな。典道となずなは逃避行のなかで何度も両親や友人に捕まってしまうが、そのたびに「もしも」を使ってやり直す。そして、やり直すたびに歪になり、現実感を...
アニメ映画 「きみの声をとどけたい」 監督:伊藤尚住 星1つ
1. きみの声をとどけたい「キミコエ・オーディション」という新人声優発掘企画から生まれた映画。メインキャラクター7人のうち6人をオーディションに合格した新人声優が務めます。「湘南でミニFMラジオ」というテーマや絵柄からして、食傷萌えアニメではなく正統派のストーリーアニメかと期待したのですが、なんというかその中間の、どっちつかずで魅力に乏しい作品でした。きみの声をとどけたい 通常版 posted with カエレバ片平美那 KADOKAWA / 角川書店 2018-05-25Amazon楽天市場
映画 「櫻の園」 監督:中原俊 星1つ
1. 櫻の園1990年製作の映画で、その年のキネマ旬報ベスト・ワンに輝いた作品。原作は吉田秋生さんの同名漫画です。女子高の演劇部における人間関係や心理が主題ですが、一言で言い表すならば「雰囲気」の作品。ストーリーを重視したい私の趣味ではありませんでした。櫻の園【HDリマスター版】 posted with カエレバ中島ひろ子 オデッサ・エンタテインメント 2012-03-30Amazon楽天市場
映画 「生きる」 監督:黒澤明 星1つ
1. 生きる黒沢監督のヒューマニズムが頂点に達したとされる映画作品です。癌を宣告された市役所職員が人間として目を覚まし、命を削って最後の仕事を全うするという王道ストーリー。21世紀の視点だからかもしれないですが、やや凡庸で物足りなかったです。 2. あらすじ市役所で市民課長をしている渡辺勘治が主人公。住民の意見をキャッチするために作られた市民課だったが、実態はお役所仕事な部署間のたらい回しを行うだけ。渡辺はすっかり職員としての情熱を失っていた。ある日、渡辺は癌を宣告される。息子夫婦からも冷たくされ、自分は何のために生きてきたのかと迷う渡辺。そんな渡辺は、偶然居酒屋で出会った小説家に連れられ、街を遊んでまわる。さらに、市役所をやめ、おもちゃ工場に転職した女性、小田切とよとの親交も深めていく。人間として生きる実感を欲しはじめた渡辺。住民たちの要望を前に、市役所組織相手に立ち上がる。3. 感想冒頭の「この男は死んでいる」は余計ですね。そこは映画表現で表さないとしらけてしまいます。また、ストーリーも凡庸で、人間は余命が数か月になったら必死になるというありきたりさ。しかし、主人公を演じる志村喬の...
【おもひでぽろぽろ】郷愁感は十分だが物語としてはイマイチなスタジオジブリの駄作 評価:1点【高畑勲】
高畑監督によるスタジオジブリの映画作品。その他の作品と比べればマイナーですが、テレビ放送は8回を数えます。主人公が少女時代を振り返るパートでは頷けるところもありましたが、全体の筋書きは首をひねってしまうものでした。あらすじ1982年の夏、タエ子は有休をとって姉の夫の実家に行くことにした。都会の喧騒を離れ、田舎暮らしをしてみたかったのだ。山形に向かう新幹線に乗り込むと、タエ子の心に小学五年生の頃の思い出が浮かび上がってくる。帰る田舎のない夏休み、初恋の相手、不味いパイナップルの味、演劇で活躍したこと、生理の話、父親に殴られたこと、貧乏な転校生の「あべくん」。ありし日の姿と、東京のOLとして働く自分と、田舎の風景。山形の農家としてタエ子を迎えるトシオとの関係。タエ子の明日はどちらに......。感想小学生の頃の記憶は良いですね。家族の理不尽な感じがとても懐かしく感じます。特に、パイナップルを食べるシーンで「不味い」と言いずらい雰囲気や、年少の者が押し付けられてたくさん食べる羽目になるのは辛い想い出が蘇りました。分数ができなくて人格まで否定され、得意な演劇の道は諦めさせられたりと、ああ、親っ...