経済・金融・経営・会計・統計

☆☆☆☆(教養書)

【経済学入門の王道】教養書「マンキュー経済学 ミクロ編」グレゴリー・マンキュー 評価:4点【経済学】

目次 第Ⅰ部 イントロダクション 第Ⅱ部 市場はどのように機能するか 第Ⅲ部 市場と厚生 第Ⅳ部 公共部門の経済学 第Ⅴ部 企業行動と産業組織 第Ⅵ部 労働市場の経済学 第Ⅶ部 より進んだ話題 感想 世界で最も有名な経済学の教科書であり、特にアメリカでは長年に渡り有名大学で採用されてきた入門書です。 近年ではその古典派的な傾向が批判され、より(アメリカ的な意味での)リベラルな教科書への置き換えが進む傾向にあるという記事もありますが、本書こそ伝統的な経済学の考え方を学ぶにはうってつけだという証左でもあるのだと思います。 (よりリベラルな教科書となるとクルーグマンあたりでしょうか) オーソドックスな経済学の思考枠組みが丁寧に語られるという内容のため、経済学についての新しい知見という意味での驚きは少なかったのですが、大変優れた「教科書」であることはひしひしと実感できたため、本記事では本書の「教科書」としての美点を3つ語っていきます。 ①一から十まで論理的かつ丁寧に説明する 社会的な事象に...
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「リサイクルと世界経済」小島道一 評価:2点|国際貿易の中におけるリサイクルの立ち位置【経済学】

リサイクルという言葉が人口に膾炙するようになってからずいぶん経ちましたが、資源の制約や環境問題がクローズアップされる中で、その概念は今日においてますます輝きを増しているように感じられます。 そして、より一体化する世界経済の中で、リサイクルという行為もずいぶん前から国際貿易の中で行われるようになっております。 日本の中古自動車や中古家電が発展途上国で利用されているのは有名な話ですし、紙やプラスチックの再生工場も多くは発展途上国に立地しています。 先進国から廃棄物を輸入し、原料として使用可能な状態にしてから再び先進国に輸出するというサイクルはもはや当たり前のこととなっているのです。 そのような、国際貿易の中でのリサイクル過程がどのように変化し、どのような問題を孕んでいて、どのように解決しているのかということが本書には記されています。 著者はジェトロ・アジア経済研究所の小島道一氏。 肩書は研究者ですが、本書の筆致には実務担当者として国際貿易の規制や促進に携わってきた側面が色濃く現れております。 目次 第1章 国境を越えてリユースされる...
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【経済学】 「ゲーム理論はアート」 松島斉 星2つ

1. ゲーム理論はアート 松島斉東京大学教授によるゲーム理論の紹介本です。 体系的な教科書や専門書ではなく、かといってエッセイ的な本や時事問題解説本でもないため、「紹介本」としておくのが適切でしょう。 近年、社会科学の分野で一大巨頭となりつつあるゲーム理論の考え方が現実とどう関連しているのか、また、ゲーム理論の考え方を現実の状況改善にどう適用しうるのかが事例検討を中心に説明されております。 そんな本書ですが、全体的にとても中途半端な本に思われました。 ゲーム理論に馴染みのない人にもわかりやすく書いていますといった論調にも関わらず、碌な説明もなしに専門用語やアカデミックな言い回しが多用され、事例も社会科学に興味のある人しか関心を抱かないだろうというものばかり。 かといって、体系性や網羅性、専門的な深みがあるかといえばそうではないという本に仕上がっており、ところどころ面白い部分はあったものの、惹きこまれるというよりは購入した義務感で読み進めてしまった本になりました。 2. 目次 第1部 アートとしてのゲーム理論第1章 ゲーム理論は...
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教養書 「法人税入門の入門 2019年版」 辻敢・齊藤幸次 星1つ

1. 法人税入門の入門 「税務研究会出版局」という聞きなれない出版社から刊行されている本書。調べたところ「税務研究会」という会社があるらしく、その業務内容は「税務、経理、会計などの実務情報サービスとして、定期刊行物、書籍、データベースなどを展開」。どうやら税務関係の本を出版する専門出版社のようです。 このような本を手に取った理由を申し上げますと、以前に「日本の税金 第3版」を読んだ際にその中で法人税のことが少しだけ取り上げられておりまして、仕事柄、法人税の知識が必要な場面があるにも関わらず体系的に勉強したことがないなと手に取ってみた次第です。 しかし、結果としては大幅な期待外れに終わりました。 2. 目次 第1章 法人税の基礎第2章 収益の税務第3章 費用の税務第4章 税額計算と申告・納付第5章 連結納税制度第6章 グループ法人単体課税制度 3. 感想 ある程度経理の知識があり、なおかつ税務にも興味があってその入門本を探している、という場合、本書を手に取ることはお薦めいたしません。まさにその2点にこそ本書の欠点が凝縮され...
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【税制】新書 「日本の税金 第3版」 三木義一 星3つ

1. 日本の税金 2019年10月1日から消費税が10%に引き上げられ、軽減税率も同時に導入されました。 最近ではレジで持ち帰りだと宣言して軽減税率の恩恵を受けながら、実際にはイートインスペースで店内飲食する「イートイン脱税」が問題になるなど、前途多難の様相です。 もちろん、「イートイン脱税」は悪いことですが、「制度設計が人々の行動に及ぼす影響」としては典型的で実感しやすい例にもなっておりまして、これを機に政治・政策分野における「制度設計」の対してもっと関心が集まって欲しいと思うところであります。 さて、上述のようにわたしたちの生活に多大な影響を与える「税金」ですが、こういった個別の問題から派生して、そもそも、いったいどのような税金が日本には存在しているのか、そして、それらはどのような制度設計が為されていて、その制度設計はどのような理念に基づくものなのか、ということに興味が湧いてきました。 そこで、今回読んでみたのが本書となっております。 2003年に初版が発行され、2018年に第3版が発行されているロングセラー。 帯には「定番の入門書」と太...
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【政治経済】「平成の通信簿」 吉野太喜 星2つ

1. 平成の通信簿 元号が平成から令和に変わり、様々な「平成総括本」は出版されている今日。 本書もそのバリエーションの一つですが、「識者が平成を語る」という形式ではなく、平成という時代において日本がどう変化したのかを様々なデータをもとに数値で見ようという変わり種。 最近のベストセラーの一つである「FACTFULNESS」を意識していると著者自身が本書の中で著している通り、二重の意味で流行を追った本です。 そんな本書に対する感想としては、面白いが薄いといったところでしょうか。 なるほど、平成元年から現在までというと、ちょうどバブル崩壊直前から令和元年までの期間ですので、様々な指標の数値的変遷には鮮烈なものが多くあります。 そしていまの日本には、高度経済成長を経験した世代から、バブルはもちろん2000年代前半にあった一瞬の好景気すら知らない世代が住んでいるわけで、高度経済成長を経験したことで「強い日本」の幻想をいまでも持っている人々にも、逆にバブル崩壊以降に生まれて「化け物じみ(ているように見え)た日本」を知らない世代にも、非常にいい刺激になる時期の切...
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【制度・制度変化・経済成果】ノーベル経済学賞を受賞した経済学者による新制度派経済学の礎を築いた古典 評価:3点【ダグラス・C・ノース】

1993年のノーベル経済学賞受賞者、ダグラス・C・ノースの著書。 原著は1990年の刊行となっており、ノーベル経済学賞受賞直前までの業績を纏めた内容となっております。 難解な言い回しも目立ちますが(堅い訳だからかもしれませんが)、「制度」を軸に新古典派経済学に対して大きな影響を与えた現代経済学の古典として面白く読むことができる著作です。 目次 第Ⅰ部 制度第Ⅱ部 制度変化第Ⅲ部 経済成果 感想 ノース教授が教鞭を執っていた1970年代から90年代といえば自由競争の価値を重視する新古典派経済学の全盛期でありますが、本書は巻頭からその「自由競争」について重大な問いを投げかけます。 その問いとは「なぜいまだに『競争』が終わっていないのか」という問いかけです。 確かに、人類社会は太古の昔から(太古の昔ほど?)様々なレベルにおける「自由競争」に直面してきたはずです。 その中で優勝劣敗が決まり、より優れた財やサービスだけが生き残っていくとすれば、現代社会時点で誕生から多くの時間が過ぎた財やサービスの市場においてはもう非効率など残ってい...
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新書 「中国経済講義」 梶谷懐 星3つ 第6章・終章

1. 中国経済講義 前稿である「第4章・第5章」の続きです。前稿はこちら。 2. 目次 序章 中国の経済統計は信頼できるか第1章 金融リスクを乗り越えられるか第2章 不動産バブルを止められるか第3章 経済格差のゆくえ第4章 農民工はどこへ行くのか第5章 国有企業改革のゆくえ第6章 共産党体制での成長は持続可能か終章 国際社会のなかの中国と日中経済関係 本記事で感想を述べるのは第6章と終章です。 第6章 共産党体制での成長は持続可能か 大きく出たなぁというタイトルですが、中国崩壊論の極北はここに辿り着きますよね。とにかく、共産党独裁体制が持続するはずもなく、崩壊時のカタストロフィに中国経済は耐えられない、という理論です。 本書でも、「財産権保護」や「法の支配」に欠けていること、「政府による説明責任なき市場介入」などを理由に主流派の経済学者は持続不可能だとする見解をとっていることが冒頭で挙げられます。 そういった社会経済体制では、例えば特許などが適切に保護されなかったり、相互信頼の欠如から取引が滞ったりする...
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新書 「中国経済講義」 梶谷懐 星3つ 第4章・第5章

1. 中国経済講義 前稿である「第2章・第3章」の続きです。前稿はこちら。 2. 目次 序章 中国の経済統計は信頼できるか第1章 金融リスクを乗り越えられるか第2章 不動産バブルを止められるか第3章 経済格差のゆくえ第4章 農民工はどこへ行くのか第5章 国有企業改革のゆくえ第6章 共産党体制での成長は持続可能か終章 国際社会のなかの中国と日中経済関係 本記事で感想を述べるのは第4章と第5章です。第6章以下は次稿に続きます。 第4章 農民工はどこへ行くのか 中国の労働・貧困問題の象徴として取り上げられることの多い「農民工」と呼ばれる人々。低賃金で3K的な労働を行う都市の貧困層、という切り口はステレオタイプ的な分かりやすさもあってドキュメンタリーなんかでもテーマとして採用されることが多いような気がします。日本の高度経済成長期に出稼ぎのため東京や大阪に出てきた人々の姿と被るという点も、文脈を把握できている気になる要因なのかもしれません。 この第4章はそんな「農民工」にまつわる様々な問題が列挙されているため、一言で結論を述...
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新書 「中国経済講義」 梶谷懐 星3つ 第2章・第3章

1. 中国経済講義 前稿である「序章・第1章」の続きです。前稿はこちら。 2. 目次 序章 中国の経済統計は信頼できるか第1章 金融リスクを乗り越えられるか 第2章 不動産バブルを止められるか 第3章 経済格差のゆくえ 第4章 農民工はどこへ行くのか 第5章 国有企業改革のゆくえ 第6章 共産党体制での成長は持続可能か 終章 国際社会のなかの中国と日中経済関係 本記事で感想を述べるのは第2章と第3章です。第4章以下は次稿に続きます。 第2章 不動産バブルを止められるか 最近の「中国崩壊論」の主流といえばこれではないでしょうか。投機にだけ使われる居住者のいない集合住宅。いわゆる「幽霊マンション」などがいかにも悪質なバブルを象徴しているように描かれることが多い気がします。不動産の値上がりのせいで住居をなかなか見つけられない都市部の庶民が抱える不満という切り口もありますね。 もちろん、「幽霊マンション」や「鬱憤を溜める庶民」の実在を否定するつもりなど毛頭ありませんが、本書の良いところは「そもそも不動産市場への過...
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新書 「中国経済講義」 梶谷懐 星3つ 序章・第1章

1. 中国経済講義 既に中国のGDPが日本のGDPを抜いて久しく、世界の名目GDPの16%を占めるまでになった中国経済。インバウンドで観光客として来日する姿を見ると、立場は明確に逆転したのだなぁと感じてしまいます。中国経済の存在感は外交の舞台でも強く発揮されておりまして、現在進行中の米中貿易協議などはまさに象徴的。アメリカに負けず劣らずの存在感を見せるIT企業群の動向やそれに対する西側諸国の反応、一帯一路を合言葉として世界中にばら撒かれる投資マネーなど、中国経済ニュースを目にしない日はありません。 しかしながら、他の国の経済が好調とあらば粗探しをしたくなるのが人間の性というもの。隣国であればなおさらという訳なのか、インターネット上では中国を一方的に見下す論調の記事が溢れかえっておりますし、書店でも中国経済「崩壊」などの文字が躍る本が平積みされています。 そんな中、中国経済の「現在」について、特に世間的注目が高い分野を中心にそつなく説明しているのが本書の特徴。極端な理論にのめり込んでしまっている人にとっては「一顧だにする価値もない」書籍でしょうし、極端に触れないよう心...
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新書 「現代経済学」 瀧澤弘和 星4つ

1. 現代経済学 古くは傾斜生産方式や所得倍増計画、最近ではアベノミクスなど、どの政権でも経済政策は中心的な分野として扱われ、人々の生活に大きな影響を与えてきました。海外でも、例えば最近の米国における大幅減税と財政出動はトランプ大統領の目玉政策の一つです。 そんな経済政策に理論的枠組みを与えてきたのが経済学という分野。共産主義退潮の後は(新)ケインズ主義と新古典派が主要な流派として語られることが多かったのですが、近年になって経済学の捉え方、経済に対する焦点の当て方が多様化しており、経済学の枠組み自体が決定的に変化しつつあります。本書の副題である「ゲーム理論・行動経済学・制度論」がまさにその変革を代表するキーワードと言えるでしょう。本書の序章でも触れられている通り、最近のノーベル経済学賞はこれらの分野の第一人者が次々と受賞しています。そして、入門レベルの経済学の知識を前提に、そういった「現代」の経済学をこれまでの経済学と対比させながら、古今の繋がりとブレイクスルーを過不足ない記述で分かりやすく伝えてくれているのが本書。新しい経済学の流れを概観するのにうってつけの新書です。 ...
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教養書 「ウォール街のランダム・ウォーカー」 バートン・マルキール 星2つ

1. ウォール街のランダム・ウォーカー 1973年の書版発行以来、投資界隈で読み続けられている本であり、2016年発売の日本語最新版が第11版の訳書になります。ネット証券が台頭し、NISAやiDECOといった個人向けの投資制度も充実してきた昨今、投資についての基礎を身に着けておいて損はないでしょう。年金がGPIFによって運用されるようになったことで、年金の現状について一家言持つにはGPIFのポートフォリオを語れる必要が出てきたため、政治学に興味がある立場としても面白いのではないかと手に取りました。 評価としては微妙だった、というところですね。全般的に誤ったことが書いてあるとは思わないのですが、世界史や経済・金融の知識が全くない人向け(大学で学んでいない人)の説明が全般的に目立つ一方で、前半のほとんどを世界史上に起こったバブル事例の説明に消費してしまうなど、レベルの統一感がない構成になっており、どういった層を満足させられるのだろうという疑問を感じてしまいました。 ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理 posted with ヨメレバ バー...
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