小説作家名「た」行

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辻村深月

「オーダーメイド殺人クラブ」辻村深月 評価:2点|女子中学生が抱く思春期ならではの葛藤と奇妙な「殺人」依頼【青春小説】

メフィスト賞からデビューし、吉川英治文学新人賞、直木賞と、エンタメ作家成功の王道を驀進する辻村深月さんの作品。集英社のナツイチ(夏の百冊)にも選ばれている、定評のある小説です。ただ、タイトルのインパクトから想像していたよりも地味な話でありまして、中学生のありがちな葛藤や悩みの話に過ぎなかったのではないか、というのが正直な感想です。あらすじ主人公、小林アンは中学二年生。母親譲りの恵まれた容貌の助けもありクラスの中心的グループに所属しているが、実は猟奇的な事柄に興味があり、町の本屋にある怪我をした人形の写真集「臨床少女」が彼女の愛読書。恋愛がらみの人間関係で急に態度が変わる友人たちや、甘ったるくて何も考えていない母親との生活にうんざりしていたアン。ある日、河原で地味なクラスメイトの徳川勝利がビニール袋を蹴っている姿を目撃する。彼が去ったことを見届けた後、ビニール袋を掴むアン。その中身は「肉」のようなものだった。自分と同じ嗜好を持つ徳川に惹かれ、アンは彼に接近する。そして、アンは徳川にアン自身の殺害を依頼するのだった......。 感想物語の筋は大きく二つあり、アンが友人である芹香や倖との関...
武田綾乃

小説 「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部ヒミツの話」 武田綾乃  星1つ

1. 響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部ヒミツの話吹奏楽部に所属する高校生を描いた人気シリーズの番外編短編集。元は宝島社のウェブサイトに掲載されていたもので、それを纏めて出版という運びだそうです。前巻のレビューはこちら。無料で公開されていた作品とはいえ、これはちょっと、と思うようなクオリティでした。【TVアニメ化】響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話 (宝島社文庫)posted with ヨメレバ武田 綾乃 宝島社 2015-05-25AmazonKindle
武田綾乃

【吹奏楽スポ根】小説 「響け! ユーフォニアム」 武田綾乃 星1つ

第1巻の感想1. 響け! ユーフォニアム京都アニメーション制作のアニメ「響け! ユーフォニアム」の原作小説です。著者は刊行当時現役大学生だった武田綾乃さん。吹奏楽経験者だからこそという表現や瑞々しい感性という点では良い面も見られたのですが、ストーリーや文章力といった作品の幹となる部分がイマイチという印象でした。アニメ版は非常に良かったために意外な残念さを感じてしまいます。2. あらすじ主人公は高校一年生の黄前久美子(おうまえ くみこ)。京都府立北宇治高校に進学した久美子は中学校に引き続き吹奏楽部に入部するか迷っていたが、同じクラスになった友人たちの勧めもあり、流されるままに入部する。そんな久美子を待っていたのは、新しく顧問になった滝昇(たき のぼる)による厳しい練習。元々はぬるま湯だった北宇治高校吹奏楽部。当初は部員たちも彼に反発するが、上手くなっていく楽しさに気づき、吹奏楽部はコンクールに向け奮い立っていく。そんな中、花形であるトランペットのソロパート決めで波乱が起こる。部内オーディションの結果、三年生の中世古香織(なかせこ かおり)ではなく、一年生の高坂麗奈(こうさか れいな)がソ...
トルストイ

「イワンのばか」トルストイ 評価:1点|ロシアの文豪が著したシンプルな勧善懲悪寓話【海外文学】

「戦争と平和」「アンナ・カレーリナ」等の作品で有名なロシアの文豪トルストイが著した寓話。富を求めることや暴力による解決に疑義を呈し、素朴な信仰に基づく生活がよいという直截なメッセージが印象的な作品です。しかし、物語の内容があまりにも単純な勧善懲悪に過ぎ、もうすこし工夫がないと楽しみようがないと思ってしまう作品でした。あらすじとある国のとある場所には、軍人の長男セミョーン、商人の次男タラース、ばかの三男イワン、啞の妹マルタがいた。ある日、悪魔が遣わした二匹の小悪魔のために、セミョーンとタラースは軍隊と財産を失い、イワンのもとへ身を寄せることになった。一方、イワンに遣わされた小悪魔は、腹痛中でも農作業を続けるイワンの真面目さに太刀打ちできずたイワンを不幸にしてしまう目論見が破綻。それどころか、三匹の悪魔はイワンの純真さのために捕らえられ、イワンに贈り物をして消えていく。兄たちはイワンにその贈り物を使って軍隊や財産をつくるように要求し、そのおかげで王様となる。しかし、イワンだけは農民として朴訥とした生活を送るのだった。やがて、イワンたちが住む国の王女が病気だという噂が立ち......。感想純...
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