小説 「鏡の国のアリス」 ルイス・キャロル 星2つ

鏡の国のアリス
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1. 鏡の国のアリス

「不思議の国のアリス」に並ぶルイス・キャロルの代表作。「不思議の国のアリス」については以前に記事を書きましたが、その続編たる本作も面白おかしいナンセンスジョークに満ちています。

☆☆(小説)
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感想としてはほとんど「不思議の国のアリス」と同じなのですが、社会風刺が多かった印象の前作と比べ、こちらは純粋なジョークに特化している印象です。アリスと登場人物たちとの滑稽なやりとりはそれそのものの面白さもさることながら、数々の作品の「引用元」になっていることに思いを馳せながら読むと興味深いものです。

2. あらすじ

いつものように暖炉のある部屋で猫と戯れていたアリス。気まぐれに「鏡のおうちで暮らす」ことについて猫に話しながら飾り棚の上に登ると、そこにあった鏡を通り抜け、いつのまにか「鏡の国」に来てしまうのだった。

鏡の向こう側の部屋でアリスは赤のクイーンと赤のキングと出会う。小さな二つの駒を救出するのもそこそこに部屋を飛び出し、「鏡の国」の探索を始めるアリスだったが......。

3. 感想

チェスをモチーフにしているだけあって、クイーンやナイトなど、駒を象ったキャラクターが多数登場します。それ以外にもトゥィードルダムとトゥィートルディや、ハンプティ・ダンプティなど、アリスの世界を代表するキャラクターが無茶苦茶な理屈でアリスをからかうのが可笑しいですね。彼らの言うことはめちゃくちゃなのですが、そのめちゃくちゃな言動通りに世界が動いてしまってアリスが慌てるというのがお決まりのパターン。大人がつくり出す「まともな理屈」に支配された退屈な世界を一掃する痛快さは、それこそいまよりも自由が少なく抑圧的な社会だった当時のイギリスでヒットしたのも理解ができます。子供向けアニメや漫画、ギャグによくある、「大人は眉を顰めるだけだが、なんでも『真に受ける』ことができる子供は笑える」という現象が起こる絶妙な境界を突いたジョークになっているのだと思います。

言いたいことはだいたい「不思議の国のアリス」の感想で言っていますし、(ナンセンスジョークに満ちた)内容については考察する方が無粋というものでしょう。本作は「当時における最高の風刺」であり、現代において古典性を意識せずに読むには厳しい側面もありますが、本好きであれば「アリスの原作」の片割れである本作を手に取ってみるのは悪くないかもしれません。

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