2020-10

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☆☆(映画/アニメ)

アニメ映画 「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」 監督:石立太一 星2つ

1. 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン京都アニメーションが手掛ける同名テレビアニメシリーズの映画版で、2020年9月18日に公開されました。既に100万人近い動員数と10億円以上の興行収入を記録しており、十分に大ヒットだと言えるでしょう。しかし、個人的にはやや凡庸な映画だったという印象を受けました。もちろん、美麗なアニメーションや音楽は流石の高品質だったのですが、欠点として、戦争描写の非現実性や、物語の最終目的が「愛している」の意味を知るという点が鼻につきます。手紙の代筆を通じて家族や恋人を繋ぐ役割を果たす代筆屋の物語、という比較的リアル路線の部分が感動への訴求点となっている作品だったので、なおさら、時おり露呈するいかにも「深夜アニメ」や「ラノベ」的側面が本作の足をかなり引っ張っているように思えたのです。2. あらすじ4年間に渡る大陸戦争が終結してから幾何かの時間が経過し、世界には久方ぶりの平和が訪れていた。ライデンシャフトリヒ国の首都ライデンに住む18歳の少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデンもそんな平和を享受して暮らす人物の一人である。戦時には陸軍の女子少年兵として従軍し、...
学習漫画・世界の伝記

「ジャンヌ・ダルク フランスを救ったオルレアンの乙女」木村尚三郎・高瀬直子 評価:3点|神に愛された最強の英雄物語【学習漫画】

集英社から発売されている「学習漫画・世界の伝記」シリーズ。世界史上で活躍した様々な人物の生涯を漫画で紹介するというシリーズの中から、今回はたまたま興味を持って読んだ「ジャンヌ・ダルク」のレビューをいたします。小学生向けに書かれた学習漫画だけあって非常に読みやすく、(おそらく本作の狙い通りに)ジャンヌ・ダルクの生涯について知見を深めることができました。それにしても、本当に奇跡のような生涯で、時おり起こるまさに漫画のような展開はそれが歴史的事実であるという点において驚愕させられます。あらすじ1412年1月6日、フランス東部ドンレミ村の農家に一人の少女が生まれた。ジャンヌと名付けられたこの赤子こそ、後にフランスの英雄となるジャンヌ・ダルク。このとき、フランスはイギリスとの百年戦争を戦っており、戦況は劣勢。パリを中心とする北部はイギリス側についたブルゴーニュ公の手に落ちており、フランス側を率いるシャルル王太子はシノンという町でひっそりと身を隠している有様だった。そんな戦争の渦中で育っていたジャンヌだったが、13歳のある日、神からのお告げとして「天使の声」を聞く。「王太子シャルルに会い、彼を国王...
住宅・土地政策

【空き家問題を考える】教養書「老いた家、衰えぬ街」野澤千絵 評価:2点【住宅政策】

明治大学政治経済学部の教授で、都市計画やまちづくりを専門とする野澤千絵氏の著作です。近年は報道番組等でも取り上げられることも多い「空き家」の問題について、その現実的な弊害と解決の難しさ、講じられている方策、そして、一人一人が住まいの「終活」をする重要さが説かれています。各論的な項目が多く、包括的な枠組みに欠ける点がやや難だとは思いましたが、空き家が解消されない要因と、関係ないと思っていても思わぬきっかけから当事者になってしまう可能性についての言及、そして、日本や世界で行われている様々な解決策についての紹介など、この分野における多様な知識を得るのにはそれなりに有用な新書でした。目次第1章 国民病としての「問題先送り」症候群第2章 他人事では済まされない相続放棄第3章 世界でも見られる人口減少という病第4章 空き家を救う支援の現場から第5章 さあ「住まいの終活」を始めようはじめに住宅政策は本ブログが継続的に関心を持っている分野であり、これまでも「住宅政策のどこが問題か」や「新築がお好きですか? 日本における住宅と政治」といった著作を取り上げてきました。こうした著作の中でしばしば指摘されてい...
古橋秀之

「冬の巨人」古橋秀之 評価:1点|真冬のような虚無が広がる何もない小説【ライトノベル】

「ブラックロッド」で第2回電撃ゲーム小説大賞を受賞してデビューした、古き良きライトノベル作家である古橋秀之さんの作品。本作の人気は非常に根強く、2007年に徳間デュアル文庫から刊行されたのち、2014年には富士見L文庫から新装版が発売されております。フジテレビの「世にも奇妙な物語」で映像化もされた、「ある日、爆弾が落ちてきて」と並ぶ著者の代表作といえるでしょう。そんな「冬の巨人」ですが、全体的な感想としては、あっさりし過ぎ、薄味すぎといったところです。冒険SFファンタジーの定番要素がこれでもかと並べ立てられるのですが、それぞれの掘り下げ方があまりにも浅く、心に引っかかる箇所が何もないからこそすらすらと読めていける作品になってしまっています。あらすじどこまでも極寒の雪原が広がる世界で、黒い塔のような巨人が背を曲げて歩き続けている。そんな異形の巨人"ミール"の背の上に、人間たちは都市を築いて生活していた。主人公であるオーリャも都市の住民であり、神学院でディエーニン教授の助手を務めることで生計を立てている。ある日、野外調査のため気球で上空へと飛び立ったオーリャは、そこで空を舞う謎の少女、レー...
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