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【経済学】 「ゲーム理論はアート」 松島斉 星2つ

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ゲーム理論はアート
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一般人には全く馴染みのない「全体主義」の話をしておきながら、「全体主義」とは何かについて読者が快適に飲み込めたかのように話を進め、時おり、「どう?語り口が柔らかくて易しいでしょ?」という文章を挿入してくるのは嫌気がします。

加えて、居酒屋談義的な「日本人は~あるべき」という精神論に行数を割きすぎです。

そんなところに力を入れるくらいならば ゲーム理論が応用されている日常例のうち数ページであっさりと解説が終わってしまった部分(インターネット検索など)をもっとアカデミックに掘り下げて欲しいと感じてしまいます。

極めつけは、第12章冒頭の「なのに、政府も国民も、こんな経済学の可能性を認知してくれない」という文章。

第11章では「やさしい感情といじわるな感情」という節を設けて人間の不合理な感情的側面までも理論に織り込むべきだということを解説していたのに何を言っているでしょうか。

そういった問題意識があるのならば、人々が経済学の可能性を認知してくれるような制度デザインを考えることこそがゲーム理論家の仕事であるはずです。

4. 結論

総合的に見れば、ゲーム理論を最初から知っている(囚人のジレンマ及び繰り返し囚人のジレンマ程度)人がもう少し理解を深めるために読む本といえるでしょう。

それでも、語り口の分かりにくさや掘り下げの浅ささからすればその目的を達成できるかは疑わしいところです。

星1つをつけるほど中身がないわけではありませんが、あまりにその表現技法が拙いため、ぎりぎり星2つといったところです。

なお、あとがきで「結果的には、とても平易に書かれたというほどでない」と著者自ら述べているのは潔いと思いました。

著者も最初は分かりやい解説本にしようとしたのかもしれませんが、自分自身がもはや普通の人間というものを理解できていないことに途中で気づいたのでしょう。

ただ、それでは本書は誰のために書かれたのでしょうか。

出版社もよくお金をかけて出版しようと思ったものです。

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