「今日の仕事は楽しみですか」というキャッチコピーを掲げた広告がSNSで大炎上したのは最近のことです。
広告会社が批難され、広告が撤回されるという結末を迎えたわけですが、日本社会が抱える諸問題の結実として、目の前の一日が多くの人にとってあまりにもつまらないという現実があるのではないでしょうか。
ギャラップというアメリカの調査会社によると、熱意溢れる社員の割合において、日本は139か国中132位とあまりにも低い数字が叩き出されているようです。
原因はいろいろあるのでしょうが、やはり、大企業では無意味なくせに複雑で難易度の高いペーパーワークや調整作業が蔓延っており、一方、中小零細企業や介護・外食・アパレルといった職種においてはブラック労働が蔓延っていることが原因なのでしょう。
大企業や公務員は年功序列賃金制が要因で、中小零細企業等や非正規・派遣労働は利益の薄さやその構造的な要因によって給料が上がりづらいことも、この「熱意」に関係しているのかもしれません。
また、多くの大企業が採用しているジョブローテーションと全国転勤も人生に対する自己決定権を奪うという意味で熱意の低下に紐づいている可能性があります。
社員の熱意がこんな調子だからか、日本の労働生産性(2019年・就業者1人当たり)はOECD加盟37か国の中で26位。
日本の下に存在しているのはバルト三国に加え、東欧諸国(ポーランド・ハンガリー・スロベニア)、イタリアですらない南欧諸国(ギリシャ・ポルトガル)、南米諸国(チリ・メキシコ・コロンビア)という面子。
経済産業省によると「OECD(経済協力開発機構)はヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関です」(※)とのことですが、日本はどちらかというと「ギリギリ先進国」組にいるわけです。
※「https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/oecd/index.html」より引用。
なお、2021年にコスタリカが加盟して38か国に拡大したようです。
日本の労働者の生産性はもはやその程度であり、これでは一人当たりGDPの順位が落ち続けるのも納得といったところですね。
2020年のIMF推計によると、日本の一人当たりGDPはドル換算の名目GDPベースで世界24位、購買力平価ベースでは33位となり、後者では韓国に抜かれています。
2000年には世界4位だったことを考えると隔世の感があります。
(https://www.env.go.jp/council/06earth/y060-135/mat03_3-2.pdf)
とはいえ、2000年当時の生活水準を思い出してみると、あれで世界4位か、という気分にもなりますが。
コメント
筆者って、あんまり人が良くない?