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【出版業界】電子書籍が本の中古市場を一掃する現象について考察する

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電子書籍
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このあたりの工夫は「拝啓、本が売れません」という書籍で手軽に知ることができます。

(本記事の内容も「拝啓、本が売れません」のレビュー記事を大幅に加筆修正したものです)

【小説を売る工夫の数々】教養書「拝啓、本が売ません」額賀澪 評価:2点【ビジネス書】
タイトルからは内容が判りづらい本なのですが、発行部数の伸びない作家が編集者と一緒に「本を売る」ことを得意とする人々にインタビューをして回るというもの。そのインタビュー記録とそこから著者が得た気づきが載っている、いわばインタビュー集&著者エッセイのような本です。そんな本を書く著者のプロフィールなのですが、こんな人が「本が売れない」ことに悩むなんてという経歴を持つ作家さんです。私立の中高一貫校から日芸(日本大学芸術学部)の文芸学科に進学。卒業後の就職先は広告代理店で、在職中に若くして松本清張賞と小学館文庫小説賞という二つの新人賞を別々の作品で受賞してデビュー。翌年発売した「タスキメシ」は高校の課題図書に選ばれるという、まさに文芸の王道を進んできた人物。高校在学中にも全国高等学校文芸コンクール小説部門で優秀賞を受賞しているなど、まさに「野良育ちとは違う」感のある小説家だといえるでしょう。しかし、こんな黄金ルートを歩んできた作家でも「拝啓、本が売れません」を書かなければならないほどの窮地にあることが本書の序盤で明らかになります。それでは、どうやったら「本」が売れるのか調べましょう、という流れで...

非常に個人的な意見ではあるのですが、ブックフェアを乱発したり、装丁に妙なこだわりを出していくという方向で書籍を無理矢理売ろうとする試みには昔から抵抗がありました。

それらが全く重要ではないとは言いませんが、やはり、読むために存在する「書籍」という商品の本質からは外れているのでしょう。

ただ、書店で売られている本も、中古市場で売られている本も「内容」が同じで、なおかつ価格は中古市場の方が安いのですから、定価の新品本はそういった周縁的な要素で勝負せざるを得なかったのだと思います。

値付けが自由で、中古市場が存在しない電子書籍。

そんな電子書籍が出版業界の中心となる世界が訪れたとき「書籍にはその内容の好悪に即した価格が付き、その価格から得られる利益が出版社や著者に還元される」という仕組みがようやく整うのではないでしょうか。

そんな仕組みが、ブックフェアの巧拙や付録の良し悪しに出版社が注力する状況を変えてくれれば良いなとも思います。

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