「夢をかなえるゾウ」などで有名な作家、水野敬也さんが記した恋愛指南本「LOVE理論」の漫画版です。
非モテの大学生、屋良畑寛二を恋愛体育教師「愛也」が指導し、モテる男子へと導くという物語。
各章で「〜理論」と称した水野流モテ理論が一つずつ紹介され、その実行を通じて屋良畑はモテる男子の話法や行動を身に着けていきます。
全体的な感想としては、そこそこ面白かったといったところ。
紹介される理論は納得できるものから首をかしげるものまでありますが、それを忠実かつコミカルにこなしていく漫画のテンポが良く、飽きずに読むことができます。
また、どこか「いちご100%」を思わせるような絵柄でパンチラも多用されるため、往年のラブコメ読みにとってもニヤニヤできる漫画になっています。
あらすじ
主人公、屋良畑寛二(やらはた かんじ)は20歳の大学生。
彼女いない歴=年齢の童貞であり、バイト先の可愛い同僚、吉野咲(よしの さき)にも禄に話しかけられないくらい女性が苦手な性格。
そんな寛二のもとに現れたのは「愛也」と名乗る謎の幽霊。
彼は寛二の祖父が天国から送り込んできた恋愛体育教師であり、1年以内に寛二に彼女ができなければ屋良畑家が途絶えてしまうという運命を変えに来たのである。
そんな愛也が寛二に授ける恋愛理論、その名前は「ラブ理論」。
寛二は無事、彼女をつくることができるのだろうか……。
感想
ハウツー本の漫画化でありながら、ラブコメとしてもそれなりに笑えてニヤニヤできるのが美点となっている漫画です。
女性との会話の相槌には「大変じゃない?」を使うべきという「大変じゃない?理論」から始まり、合コンでのテクニックやナンパによる自己鍛錬、告白から童貞卒業に至るまで、女性に好感を持たれるための理論が目まぐるしく紹介されていきます。
合コンやナンパはともかく、日常生活で使える系のノウハウは概ね納得できるもので、彼女をつくりたいという動機がなくとも、女性と接するときに少しでも意識してみようかなと思える内容です。
漫画化を担当した佐藤まさきさんが本作連載中に彼女をつくって結婚したことがあとがきで明らかにされているのですが、そこでは【大変じゃない?理論】や【うわっつらKINDNESS理論】、【ホーム理論】に【わらしべ理論】が役に立った述べられております。
これらは全て「日常使い」できる理論ですので、臆せず使ってみようかな、なんて思いました。
また、ラブコメとしても秀逸で、2000年代前半の少年誌ラブコメのノリが濃く、キャラクター造形は画風も性格も「いちご100%」を意識しているのではないかと思えるほどです。
ハウツー本を漫画化した場合、いまいちストーリーにキレがないことも多いように思われますが、本作においてはその心配もありません。
「こんな女の子と付き合いたいな」と男子(少年?)が思うような女性ばかりが登場し、そういった女性と付き合うために試行錯誤する姿は思わず応援したくなります。
高校の頃、リア充から馬鹿にされた経験の生々しさなどもよく書けていて、非モテの逆転劇として十分に良いエンタメ作品になっております。
さすがに深い感動とまではいきませんが、それなりの実用性とエンタメ性を兼ね備えた漫画として2点(平均的な作品)では低すぎるような気がいたしましたので、2点寄りの3点(平均以上の作品・佳作)として評価することにします。
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