それらをどう料理して独自性を持たせるのか、その点こそが各個別作品の良しあしを決定づける分水嶺となるはずなのに、ただ単にそれらの要素を、ぽん、と放り出して「重大ですね」でお終いになってしまっています。
さらに、強姦対策として為されるのが、和彦の友人で柔道部に所属する関鷹志が翔香に対して付け焼き刃の護身術を教えることであり、しかも、その護身術を翔香がいきなり使えてしまうのですから、安っぽさは底抜けです。
全体的に、タイム・リープからの脱出というSFギミック以外の部分があまりにも粗くて雑であり、物語を読んでいるというよりは、作者が自作パズルを自分で解いている様子を見せつけられているだけのような、無味乾燥な光景だけが眼前に広がる感覚に陥る作品となっております。
想像力をもって小説を読もうとしている人を馬鹿にしているとしか言いようがありません。
高評価を与えている人々はこの「パズル性」に対して高い評価を与えているようですが、それならば小説など読まずにパズルをすればよいのでは(あるいは他人がパズルを解く動画でも見ていればよいのでは)と思ってしまいます。
こういった類の小説が好きなSF・ミステリマニアもいるのでしょうが、少なくとも、小説に物語性を期待している人は読まない方がよい作品です。
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