御伽原江良の引退に捧ぐ

御伽原江良

2021年3月をもってVtuber事務所「にじさんじ」からの卒業を発表したバーチャルユーチューバー「御伽原江良」。

YouTubeチャンネルの登録者数は50万人を突破し、一時は「にじさんじ」内でも2位につけるなど、看板ライバーの一人でした。

2020年4月にはNBCユニバーサル・エンターテイメントからメジャーデビューを果たし、まさに成功者への道を歩んでいた途上における突然の引退。

Vtuberファン界隈が騒然としたのも不思議ではありません。

「あーゴミカスゥ、〇ね」のような小気味の良い暴言。

「我にじさんじぞ」のような独特の罵り文句。

3Dお披露目配信における「ギバラギバラ高収入」という掛け声。

同じく3Dお披露目配信における昆虫食のような捨て身の企画とそれに対するリアクション。

ゲーム実況の技量や歌唱力というより、その純粋なエンターテイメント性で人気を博していた点が私好みなVtuberだったこともあり、個人的にも喪失感はひとしおです。

4月にはチャンネル及び全アーカイブの削除が行われ、インターネットの伝説となった御伽原江良。

しかし、この引退事件に私が驚嘆した理由は、単に私が「御伽原江良」というキャラクターのファンであったという点だけではありません。

Vtuberファン界隈では避けるべき話題ともされておりますが、当たり前の事実として、Vtuberは「中の人」がアニメ絵のキャラクターを演じています。

50万人もの登録者を抱えるエンターテイナーとして第一線で活躍している。

年収も相当程度あったことでしょう。

そんな地位を彼女はやすやすと捨てたわけです。

アニメ絵の権利は事務所が保有しているわけですし、メジャーデビューだってVtuberとしてのデビューなわけですから、当然、Vtuberを卒業して事務所を離れてしまえば御伽原江良として活動することはできません。

(女優に転身するアイドルの"卒業"とはここが違います)

やりたいことのために、卒業という選択をした。

彼女はそう言い残して引退したわけですが、これほどの地位を完全に捨ててまで目指したいものとは何なのでしょうか。

兼業であってもVtuberは続けられるわけで、配信が月一回とかでも良いわけです。

そういったことさえもせずに、完全にVuberを引退した。

よほど理想的な相手と結婚でもしたのでしょうか。

もしかしたら、出産を機に引退だったのかもしれません。

(堀北真希さんの芸能界引退はそんな感じでしたよね)

しかしながら、もしそうでなかったとしたら。

何かの専門学校に入学したり、資格勉強をして別の道に歩みだすため。

普通の企業に就職して、普通の生活者に戻るため。

そうやって、もう一度まっさらな自分としてやり直すため。

そこまで「まっさら」でなくても、芸能関係のオファーがあり、退路を断ってそちらに専念するため。

そんな理由だったとしたら、なんて清々しいんだろうと思います。

承認欲求全盛の時代。

誰もがインフルエンサーになりたがっているご時世です。

「好きなことで生きていく」

そんなキャッチコピーが隆盛し、そんな生き方こそが理想とされ、その体現者としてVtuberをはじめとするYouTuberが脚光を浴びる世の中。

もうこれだけのファンを抱えたならば、ゆるゆると活動していたって巨額の収入が毎月のように振り込まれるでしょう。

そんな地位と名誉と金銭を自ら断って、別の道に進んだのだとしたら。

御伽原江良の「中の人」に対して、私は熱烈な尊敬の念を抱かざるを得ません。

Vtuberとして大活躍しているのに、さらりと引退してスターの座から降り、別の道に邁進する。

その清らかさ、潔さに胸をうたれます。

名誉と金銭ばかりが持て囃される時代において、これほど「漢らしい」生き様もないのではないでしょうか。

まぁ、そんなこと言ってみたところで、実はもう余生を気ままに過ごせるくらいお金があって、趣味に生きるだけなのかもしれませんが。

それでも、おそらく若いであろう「中の人」がこんな光り輝く大舞台から自ら降りるなんて。

もうVtuberとしてやり残したことがなく、次の道に進みたいから卒業する。

そんな理由で引退するなんて。

世俗的な欲求にまみれたインフルエンサーが跋扈する世の中で、なんだかとても良いものを見た気がするのです。

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