小説 「破戒」 島崎藤村 星2つ

破戒
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1. 破戒

明治時代の作家、島崎藤村の小説です。部落差別問題をテーマとした、その時代にあっては斬新な作品でした。

しかし、いま読み返すと、物語そのものはそれほど面白いわけではないと思ってしまいます。歴史的記念碑であることは間違いないのでしょうが、傑作とは言い難いでしょう。

2. あらすじ

小学校教師である瀬川丑松は「えた」であるという素性を隠して生きていた。それは丑松の身を慮る父が丑松に課した重い「戒め」であった。しかし、そんな丑松には密かに尊敬している人物がいる。猪子蓮太郎、「えた」であることを自ら世間に打ち明け、思想家として活動している人物である。

窮屈な日常を送る中で、丑松の身には猪子先生に自らの素性や思いを打ち明けたいという気持ちが募っていた。そんな中、父が死に、「教員の中に『えた』がいる」という噂も広まり始める。心が揺れ動く丑松のもとに、もう一つ、「死」の知らせがやってくる......。

3. 感想

とりとめのない場面が連続する印象です。貧しい老教師や、学校に通っている「えた」の子供。

そんな「可哀想」な人物たちに丑松が同情する場面も、差別的な校長とその取り巻きの言動も、どこかありきたりで、「えた」の物語でなければ読み進められないほど退屈なシーンが多いです。

父の死、猪子蓮太郎の死は劇的ですが、結局、要所要所で人を死なせなければ「盛り上がり」をつくれないところに作者の技量の小ささを感じます。

最後の「テキサスへ旅発つ」というオチもとってつけたようで感動もありません。

ただ、いい場面が全くないわけではなく、「えた」を隠していたことを子供たちに詫びる箇所などは不条理が痛切に滲み出てていて胸に迫ります。

そういった部分を加味すれば星2つでしょう。

部落問題やそれを描いた作品に興味があれば読んでみるのも良いのではないでしょうか。

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