小説 「【映】アムリタ」 野崎まど 星1つ

【映】アムリタ
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1. 【映】アムリタ

いわゆる「ライト文芸」隆盛の火付け役の一つになったメディアワークス文庫。その新人賞に当たる「メディアワークス文庫賞」の第一回受賞作です。

評判が良いようなので購入してみたのですが、ううん、これはきっと評価が分かれる作品で、あまり私の好みではありませんでした。

2. あらすじ

大学の映画学科に通う主人公、二見遭一は大学のアイドル的存在である画素さんに映画出演を頼まれる。その映画は映画学科では天才と名高い最原最早の監督作品であった。最初は噂程度にしか最早のことを知らなかった二見だが、彼女のコンテを読むとたちまち引きこまれ、なんと二日以上ぶっ通しで読み続けてしまっていた。このことを契機に、二見もまた最早のことを天才だと確信する。

そして撮影は順調に進み、映画はつつがなく完成すると思われたのだが、実は、映画の撮影そのものが最原最早による壮大な仕掛けに過ぎなかった.....。二見の運命やいかに。

3. 感想

これは受け入れがたいですね。「ライト文芸」ですが間違いなく「ラノベ」寄りで、しかもそのラノベ的設定がそのままミステリのトリックになっているという仕様です。この最原最早は「映画で人の心を操ることができる」という特技を持っているのですが、これを彼女が「天才」だからというだけで普通の読者が受け入れるのは難しいでしょう。いわゆる、「ラノベ的文脈」受け入れられる読者であるか否かが問われてしまいます。

しかも、二見がホテルで映画を見るシーンなど、仕掛人が最早だと気づかないわけないだろうと突っ込みを入れたくなるような場面が多く、読者がどこまで「ご都合」を受容できるかをたびたび試してきます。

もうちょっと青春感を入れつつ、ささやかなミステリにしておけば丸く収まったのではないかと思うのですが、トリックが壮大過ぎて作者が操りきれていない印象です。

あまり文芸界の主流になって欲しくないなぁと個人的には思う作品でした。

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