アニメ 「少女終末旅行」 監督:尾崎隆晴 星3つ

少女終末旅行
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1. 少女終末旅行

2017年の10月から12月にかけて放送された全12話のアニメシリーズ。大きな戦争の後の荒廃した世界を旅する2人の少女が主人公で、様々な意味で深夜アニメの主流派とは一線を画しています。

絵柄が異端とはいえ、結局「少女」を起用せざるをえないという点はもちろん「深夜アニメ」といえますが、静かな世界で2人だけの会話劇で進む(EDにおける声優クレジットの衝撃的な少なさ!)ことや、生や死について旅すがら自然と考えるというストーリーはなかなか良いもので、こういった作品がアニメ―ション業界に一石を投じて欲しいと思うような作品でした。

2. あらすじ

舞台は激しい戦争の末に回復の見込みがないほどに荒廃した世界。人類は僅かに生存しているのみで、集団を形成するほどの人口さえ残っていない。

そんな世界を旅するのが、チトとユーリの二人組。半装軌車ケッテンクラートを繰り、食料と燃料を求めてあてもない道程を進んでいた。

時に生き残っている人間と出会って彼らの生きざまを見届け、時には文明の残り香漂う工場や墓地と出会い、かつての人類社会の面影を新鮮な驚きとして受け止める。

荒廃した巨大都市の最上層を目指す彼女たち。旅路の果てにたどり着く場所とは......。

3. 感想

冒頭にも書きましたが、基本的にチトとユーリという二人のキャラクターの会話劇で物語が進みます。ある程度教育を受けていて真面目で憶病なチトと、能天気で度胸のあるユーリ。荒廃した世界は基本的に静かなのですが、何も知らない二人にとっては過酷かつ新鮮な出来事や光景ばかりが立ち現れるわけで、その一つ一つに対処し感動していく姿を見るというのがこのアニメの実質的な趣旨になっています。

深夜アニメとはいえある程度のリアル志向があるため、ふんわりとした絵柄に目をつぶれば、NHKの半分ドキュメンタリーな旅番組を見ているような気分になります。賑やかしの安っぽいBGMもなく、ナレーションも淡々としている番組。そのうえ、旅するのは架空の世界なのですが、「大きな戦争とその後の荒廃」という世界観から考えると「確かにあるかも」と思わせるだけの、壮大で荒涼とした雰囲気を醸し出しています。

ノルウェー放送協会がひたすら薪を燃やすだけの映像を10時間以上流したり、ある鉄道の始点から終点までの旅行を何日にも渡って連続生放送するなど、「スローテレビ」な番組で高視聴率を獲って話題になりましたが、このアニメにはそれに近いものがあります。もちろん、盛り上がりどころやシリアスな場面は多く存在し、視聴者を引きこむためにテンポよく話は進んでいきます。しかし、どこか遠い世界を旅する二人の姿を見ていると、日常の騒乱から一歩距離を置いたような、子供のときにじっと星空を眺めていたときのような、そんな気持ちになれるのです。

最終回付近で唐突に出てきた謎の生物はやや余計かなと思いましたが、カメラの中身が一斉に映されるというラストの演出は見事。あからさまな盛り上げ方をするのではなく、少しだけ胸を締め付けるような演出は素敵でした。

いつか原作漫画も読んでみたいですね。おすすめのアニメです。

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