本ブログで紹介した政治学系の書籍からベスト4を選んで掲載しています。
政治学を本格的に学びたい人のための学術書が中心となっております。
4位 「二大政党制の崩壊と政権担当能力評価」山田真裕
2009年の総選挙(旧民主党が政権交代を果たした)を中心に、なぜ政権交代が起き、その後、なぜ政権交代が起きる気配さえなくなったしまったのか。
有権者に対するアンケート結果をもとに、その要因を統計的アプローチによって分析した学術書です。
本書では特に、選挙ごとに投票先を変更した「スウィング・ボーター」に着目し、彼らこそが政権交代の鍵になったとして「スウィング・ボーター」の属性や政策選好、各政党への支持態度の変遷を提示しております。
本書を読めば、当時民主党を支持した人々、政権交代の起爆剤となった有権者たちの実像を理解することができます。
菅政権の支持率が下がる中で野党連合は政権交代へと意気込みを高くしている状況ですが、本書を読めば「政権交代」が起こりうる状況についての学術的な造詣を深めることができるでしょう。
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3位 「福祉資本主義の三つの世界」エスピン=アンデルセン
先進国(=福祉国家)の政治体制を「脱商品化」と「階層化」の二つの視点から3分類した政治学の古典。
社会保障や社会福祉の在り方から先進国を「保守主義」「自由主義」「社会(民主)主義」に分類し、それぞれの体制の特徴やそこに至るまでにどのような歴史的分岐があったかということが述べられます。
アングロサクソン諸国、大陸欧州諸国、そして北欧諸国でなんとなく政治経済システムに違いがある、ということを感じておられる方々は多いと思われますが、その違いが緻密なデータと画期的な分類方法で表現されており、当時の学術界に衝撃をもたらしたことも納得の一冊です。
福祉国家論や国家ごとの「レジーム」の違いに興味があるならば必読の学術書だといえるでしょう。
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2位 「現代日本の政党政治」濱本真輔
中選挙区制から小選挙区比例代表制への歴史的移行を果たした1990年代の政治制度改革。
そんな政治制度改革が政党や政治家の行動にどのような影響を与えたのか(与え続けているのか)を検証した学術書となっております。
中選挙区制の結果として生じていた派閥中心人事や族議員化、利益団体の強い影響は果たして取り除かれたのか。
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