現実あるあるをひたすら上手く描いているだけで、そういう視点があるのか、といった驚きについては不足を感じます。
2点目は各エピソードの本質的な違いが見出しにくいという点です。
本作はジョーンがこれまでの家庭生活の中で起こった様々なエピソードを回想するという形式をとっており、それぞれのエピソードが彼女の偏狭な性質を炙り出す効果を持っています。
だからこそ、一つ一つのエピソードが、大枠で見れば似通ったものになってしまっています。
どれもジョーンの「常識」から外れた、けれども非常に人間的で魅力的な行動を登場人物がとり、それをジョーンが頭ごなしに批難して、夫のロドニーがジョーンの機嫌を取りながら何とかする(あるいはジョーンに隠れて本当の「正解」を示す)という形で決着します。
中盤はほとんどこの性質のエピソードの繰り返しに使われているので、やや単調に感じられました。
こんなにも多くのエピソードを挿入するのならば、もっと毛色の異なるエピソードを持ってきて、ジョーンという人物の愚かさをもっと多角的に炙り出すような構成になれば面白いのにな、惜しいな、と感じます。
そんな欠点も考慮して、評価は3点(平均以上の作品・佳作)といたします。
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