「タコピーの原罪」 タイザン5 評価:2点|凄惨な環境で過ごす少女と、救済を図る無能な異星人、皮肉な展開と仄かな希望【短編漫画】

タコピーの原罪

集英社が運営しているweb漫画サイト「ジャンプ+」に連載されていた作品。

全16話の短期連載ながらインターネット上で好評を博して多数のPVを獲得、上下巻にて単行本化された漫画です。

いじめられている少女の前に、宇宙から来た「タコピー」というマスコットキャラクターのような生き物が現れ、少女を助けようと奮闘するという物語。

そう紹介すると聞こえがよいのですが、実態は真逆で、少女たちが抱える背景の陰惨さと、「タコピー」の無能ぶりによって悪いほう悪いほうへと事態が進行していくというサスペンス調の展開が特徴となっております。

全体的な評価としては、発想は面白いと感じたのですが、いかにも漫画的な「ベタ」さが多く、とりわけ深刻に描かなければならないはずの、登場人物たちの家庭環境の酷さがステレオタイプだった点が惜しいと感じました。

物語の枠組みは悪くないのですが、細部に工夫がないために凡庸だと言わざる得ない作品です。

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あらすじ

小学四年生の久世しずか(くぜ しずか)が公園で出会ったのはタコのような形をした謎の生き物。

しずかによって「タコピー」と名付けられたその生き物はパンを恵んでくれたお礼をしたいと申し出るが、タコピーが取り出す「ハッピー道具」の性能は微妙なものが多く、しかも、タコピー自身が日本の小学校における常識を理解していないため、ほとんど成果を挙げられない。

タコピーが解決しようとする、しずかが抱える課題、それは学校におけるいじめだった。

凄惨ないじめにひたすら耐え続けるしずかと、いじめっ子の筆頭格である雲母坂まりな(きららざか まりな)の仲をなんとか取り持とうとするタコピー。

しかし、いじめの原因は複雑で、単純な思考しかできないタコピーの手に負えるものではない。

しずかの母親がまりなの父親と不倫しており、母子家庭の久世親娘がその生活資金をまりなの父親に依存しているうえ、まりなの父親がお金も愛情もしずかの母親に注ぐせいで雲母坂家の家庭環境が崩壊しており、そのあてつけとしてまりながしずかをいじめている、これがいじめの構図なのである。

過去に戻れる力を持ったハッピー道具を使うことで、タコピーは何度もしずかとまりなの関係性を修復しようとするも、まりなが暴力を振られるうえ、まりなの飼い犬であり唯一の親友であるチャッピーが保健所に連れ去られるという運命を変えることができない。

何度やり直したって、いつもまりなに暴力を振るわれるばかりのしずか。

その運命に我慢ならなくなったタコピーは、まりなに立ち向かう「勇気」を振り絞ってしまい......。

愛憎劇の泥沼を無能な異星人がかき乱す、その先に待ち受ける未来とは......。

感想

面白くなりそうな要素はたくさんあるんですよね。

いじめられている少女の前に異星人が現れる、という設定はベタながらまぁまぁ心惹かれる導入ですし、両親同士の不倫が原因で子供同士が憎みあっている、というのも安っぽいですが怖いもの見たさ的な面白さはあります。

また、タコピーがまりなを殺してしまったあとに起こる殺人隠しの偽装工作と、その過程でしずかに翻弄される東くんが抱える捻くれた承認欲求の過剰さも、漫画の設定としては受け入れられるものです。

しずかやまりなが受けている母親からの仕打ちの酷さや、万能の兄と劣った弟という関係性の中でねじ曲がったコンプレックスを抱いている東くん、という設定もありがちですが、まぁ、いいでしょう。

最終盤、タコピーが抱えることになる「しずかを殺さなきゃ」と「しずかを救わなきゃ」という感情の葛藤も、唐突にタコピーの過去設定が挟まれるところに安直さがありますが、悪くはありません。

登場人物全員が「タコピーがそこにいた微かな記憶」をもとにちょっとずつ繋がり始める、という終わり方も綺麗と言えば綺麗です。

このように、ベタ、凡庸、安直だけれども、受け入れることはできる、という設定と展開がどこまでも続くのが本作の特徴であり、最後まで本作ならではのこれといった良さが出てこないところに問題があります。

全てがどこかで見た設定や展開の繋ぎ合わせのようで、読み切れないほど面白くなくはないのですが、本作独自の面白さとはなにか、と問われると押し黙らざるを得ない、というのが本音のところ。

インターネット上での話題作としてあっさり短期間に消化される程度の漫画だった、という評価として、点数は2点(平均的な作品)です。

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