第3位 「中国経済講義」梶谷懐
既に中国のGDPが日本のGDPを抜いて久しく、世界の名目GDPの16%を占めるまでになった中国経済。
インバウンドで観光客として来日する姿を見ると、立場は明確に逆転したのだなぁと感じてしまいます。
中国経済の存在感は外交の舞台でも強く発揮されておりまして、現在進行中の米中貿易協議などはまさに象徴的。
アメリカに負けず劣らずの存在感を見せるIT企業群の動向やそれに対する西側諸国の反応、一帯一路を合言葉として世界中にばら撒かれる投資マネーなど、中国経済ニュースを目にしない日はありません。
しかしながら、他の国の経済が好調とあらば粗探しをしたくなるのが人間の性というもの。
隣国であればなおさらという訳なのか、インターネット上では中国を一方的に見下す論調の記事が溢れかえっておりますし、書店でも中国経済「崩壊」などの文字が躍る本が平積みされています。
そんな中、中国経済の「現在」について、特に世間的注目が高い分野を中心にそつなく説明しているのが本書の特徴。
統計の正確性、金融システムのリスクや不動産バブルの今後、中国国内の経済格差や、国営企業を中心とする国家主導経済の効用と限界、一党独裁による経済運営の持続性といった、イデオロギーも影響しながら賛否や意見が分かれる論点を満遍なく抑えている良書です。
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