第5位 「O・ヘンリ短編集」O・ヘンリ
【アメリカを代表する短編の名手が贈る珠玉の作品集】
・あらすじ
「賢者の贈り物」
粗末なアパートに住む若い夫婦、ジムとデラ。
世間はクリスマスを目前に控えてはいたが、二人にはプレゼントを買うお金がない。
二人が持っている価値あるものはただ二つ。
ジムの立派な金時計と、デラの美しい髪。
そんな二人がお互いのクリスマスプレゼントに選んだものとは......。
「最後の一葉」
ワシントン・スクエアの一角には売れない芸術家たちの集まる町がある。
ジョンジーとスウも漏れなくその仲間であり、毎日せっせと絵を描いていた。
そんなある日、ジョンジーは重度の肺炎を患ってしまう。
医者曰はく、彼女にはなによりも生き続けようという気力が足りないという。
しかし、ジョンジーは窓の外に見える家の壁面に這う蔦の葉を数え、その最後の一枚が落葉したとき自分も死ぬとまで言ってしまう状態。
一方、彼女たちの階下に住むベアマン老人は、いつか傑作を書くと言いつつも酒におぼれる生活を送っていた。
そんな芸術家の町に、嵐の夜がやってきて......。
・短評
あらすじに挙げた二編が特に有名な、19世に活躍したアメリカの短編作家、O・ヘンリの作品集です。
新潮文庫から全三巻が刊行されており、「賢者の贈り物」は第二巻、「最後の一葉」は第三巻に収録されております。
それ以外の作品も、ときに可笑しくときに切なく、そしてしばしば含蓄のある名品ばかりとなっておりますので、是非、全三巻の購入をお勧めします。
全体としては、アメリカの大都会を舞台に、苦しく貧しい状況にありながらも懸命に生きる庶民たちの生活に訪れた温かなエピソードを描いていることが多く、いわゆる人情ものに名作が多い印象です。
アメリカン・ジョーク的なウィットに富みながら、古き良きアメリカの気風を感じさせる作品群に過ぎ去った時代に対する望郷心と見たこともない異国に対する好奇心を刺激されること間違いなしの短編集となっております。
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