朝日新聞が森友学園問題を最初に報じたのは2017年の2月、同じく加計学園問題を報じたのは2017年の5月、週刊文春が河合夫妻の贈賄問題を最初に報じたのは2019年の10月です。
下のグラフを見ていただくと分かる通り、モリカケ問題発覚直後には内閣支持率が下落しておりますが、2、3ヶ月もすれば元の水準に戻っています。
また、河合夫妻の贈収賄では支持率がほとんど動くことはなく、内閣支持率が下がり始めるのはコロナウイルスに起因する緊急事態宣言が発令されるあたりからです。
モリカケ問題には様々な見方があるとは思いますが、自民党にやましいことが一つもなかったと考えている人は流石にいないでしょう。
森友学園問題に関しては公文書改竄も為されていたようで、財務省の職員が自殺しているという事実もかなり衝撃的です。
そして、河合夫妻の問題についても、程度の差こそあれ自民党が悪いことをしたんだろうという認識は多くの人々が共有するところだとは思います。
それではなぜ、それなりの問題にも関わらず、内閣支持率は決定的に下がらないのでしょうか。
その理由はおそらく、自民党なんだからこういう不祥事をやらかすだろうと誰もが予想しているからだと思います。
公共工事等を巡る汚職や、選挙絡みの贈収賄といえば昔から自民党のお家芸であり、安倍・菅内閣や自民党を支持している人でさえ、これが自民党の良くない側面であるという意識は胸のうちに抱いているでしょう。
つまり、内閣を支持している人は、最初からそれなりの汚職があることを予期したうえで、それでもなお内閣を支持しており、だからこそ、多少の汚職問題では支持を取り下げないのではないでしょうか。
そもそも、わざわざ選挙に行ったり、内閣支持率の調査に「分からない」ではない回答をする人は政治への関心が強いでしょうから、自民党という政党の特性をある程度理解しているはずです。
多少の汚職をしても、それでもなお、他の選択肢よりは良い。
自民党だからやってくれることがある、あるいは、それらの汚職癖を超える美点を自民党に見出している。
だから、多少の汚職は予想通りですらあり、支持の根拠となる期待への裏切りではない。
クリーンな政治をして欲しいから自民党を中心とする内閣を支持している人なんていないわけです。
そう考えると、緊急事態宣言直後に内閣支持率が急落、首相交代まで下げ続けた理由も分かる気がします。
つまり、コロナのような緊急事態への対応は、自民党に「期待」されていたことの一つだったのではないでしょうか。
そして、このような前提を置いて考えると、野党が自民党の何を叩くのに時間をかけるべきか、もしくは、自民党に対してどういった点で差をつけに行くべきかも自然と浮かび上がってくるような気がします。
自民党は汚職をするからダメ、という主張は真っ当ですが、それは誰もが知っていることであり、有権者から見える政治の景色を変える結果にはならないでしょう。
それよりも、コロナ禍で傷ついているもの、炙り出されている問題に対してもっと真剣になった方が良いのではないでしょうか。
それは、経済の脆弱さであったり、エッセンシャルワーカーの労働環境であったり、IT化の遅れであったり、少子高齢化だったりするはずです。
日本社会が従前から抱えていた傷を深堀りしてしまうような言動が自民党に見られたから、コロナ禍の端緒において支持率は急落したあと慢性的に下がるような動きを見せ、なにより不支持率が急上昇したのではないでしょうか。
とは言いつつも、直近ではコロナ禍の中で内閣支持率が回復してきているようなので、政治というものは分かりませんね。
もしかしたら、なんだかんだで野党からも良い案が出てこない(ように感じられる)ため、自民党のダメなところを認めつつ消去法的に支持するという感覚の懐が広がったのかもしれません。
コロナ禍はまだまだ続きそうですが、これからも頑張っていきましょう。
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