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メディア
【社会評論】国民同士の利害が激しく対立する、テレビ局にとって非常にやりづらい時代が到来している【メディア論】
テレビを点けると連日のように「コロナ!コロナ!」の報道をしていて、コロナ自体は重要な事柄だから仕方がない、と思いながらもついげんなりしてしまいます。NHK-BSで海外のニュース番組を観ていてもそんな感じなので、日本に限らず、いまは世界中の報道がコロナに染まっているのでしょう。やや偏見も入った見方かもしれませんが、テレビ関係者は社交的で外交的な人々が多いので、私生活でもコロナの影響を露骨に受けており、その弊害を大きく感じているのかもしれません。さて、そんなテレビのコロナに対する報道姿勢ですが、SNS等を見ているとダブルスタンダードだという批判が散見されます。つまり、緊急事態宣言や学校を休校にする等の規制を行えば「飲食店が可哀想」「子供たちが可哀想」と批判し、逆にそういった措置を行わなければ「コロナの蔓延が拡大する中で政府の無策が目に付く」と批判するというものです。スタンスが一貫しておらず、何をやってもやらなくてもデメリットにばかりに焦点を当てて悪口を言うような報道は全く生産的でないし、こんな報道をしたって日本全体のためにならない、というわけです。言いたいことは分かるのですが、いまさらそん...
【メディア論】おすすめメディア論雑記3選【雑記まとめ】
商業主義と価値観社会テレビもニコニコ動画も敗北した公共放送の将来おすすめ社会学本ランキング当ブログを訪問頂きありがとうございます応援クリックお願いします!
【偽物の世界から脱出せよ】映画「トゥルーマン・ショー」ピーター・ウィアー 評価:3点 【アメリカ映画】
1998年公開のアメリカ映画。ある凡庸な男の人生が本人には知らされることなく全世界に放映されている、という突飛な設定が関心を惹く作品です。監督は「いまを生きる」等の作品で知られるピーター・ウィアー。“Yes Man”の主演等で知られるジム・キャリーが主人公のトゥルーマンを演じています。全体的な感想としては、初期設定の面白さはよく効いていたものの、その突飛な設定から展開される面白さ以上の工夫がやや薄く感じられました。あらすじ主人公の名前はトゥルーマン・バーバンク。離島に存在する小さな町、シーヘブンで保険会社に勤務する30歳の男性である。凡庸ながら幸福な日常を送る彼の人生には、他の人の人生とは決定的に異なっている点があった。それは、このシーヘブンという街自体がリアリティ番組のセットであり、彼の人生は30年に及ぶリアリティショーとして世界中に放映されているという点。トゥルーマンは30年間この事実に気づかないでいたが、番組側のミスが重なり、トゥルーマンは徐々に世界の「おかしな」在り方に気づいていく。真実を知ろうと敢えて奇行を繰り返すトゥルーマン。数奇な人生を送る彼が最後に導き出した答えとは……...
【メディア論】なぜYouTubeだけがテレビを突き放すことができたのかを考える
一年ほど前のことになりますが、電通が発表した「日本の広告費」という資料によりますと、2019年にはついに「インターネット広告費」が「テレビメディア広告費」を超えたそうです。「インターネット広告費」が凄まじい勢いで伸びているのに対し「テレビメディア広告費」は伸び率さえマイナスですから、この差はもっと拡大していくでしょう。目下、劣勢に立たされている「テレビ」という媒体。その影響力の低下はSNS等でも盛んに言及されており、特にYouTubeとの対比で語られることが多いように思われます。そこで今回は、なぜYouTubeのような媒体がテレビを突き放しつつあるのかということを「広告」という側面から検討していきたいと思います。そもそもテレビの強みとは何だったのかテレビ番組はとても面白くて、学校や職場で話題になることが当たり前のコンテンツである。インターネットが広く普及する以前の状況を知っている方々ならば、かつて存在したこの感覚をよく理解して頂けると思います。それでは、なぜテレビは面白かったのでしょうか(あるいは、なぜ、いまでもある程度面白いのでしょうか)。番組のテーマや企画自体が面白い、という側面も...
差別をテーマにしたNIKEのCMがなぜ放映されたのかを考える【メディア論】
NIKEといえばスポーツ関連製品やスニーカーで有名なグローバル企業ですが、2020年の11月末、NIKEが製作した自社製品のコマーシャル映像がSNSで話題となりました。YouTubeでも公開されておりますので、リンクを貼っておきます。ご覧の通り、CMのテーマは「差別(に立ち向かって自分らしく生きる)」であり、在日韓国・朝鮮人や黒人、あるいは女性全体に対する、とりわけ日本における差別が少女たちの視点を通じて表現されています。「差別」は様々な意味で世論を二分する繊細なテーマであり、SNS上でも「マイノリティに対する差別を告発し、それに立ち向かう勇気を貰える良いCMだ」のような書き込みもあれば「まるで日本に不合理な差別があるかのような表現であり、NIKEは嘘を放映している」「(マイノリティを過度に優遇する)逆差別のほうが酷いのに」のような書き込みもあり、論争の種になっておりました。本稿では、このCMが日本における差別の実態を反映しているか否か、あるいは、このCMが道徳的・倫理的に正しいか否には立ち入りません。その代わり、なぜ、いまこのタイミングで、どのようなプロセスを経てこのCMが放映される...
【メディア論】NHKが生き残るには、今後どのような番組を製作するべきなのか
より「公共」な存在であるべき「NHKから国民を守る党」の台頭や武田総務大臣のNHKに対する厳しい姿勢など、昨今、公共放送として長くメディア界に君臨してきたNHKに対して逆風が吹いております。個人的には、一部の重厚なドキュメンタリーであったり、社会問題を取り上げる特集などは、他のメディア媒体がなかなか実行することはできないながらも世の中全体にとって重要なことであり、このような番組に対して国民全体で料金を支払えというのは分からなくもありません。しかし、一部のバラエティ番組や歌番組、スポーツ中継など、明らかに「公共」の問題について焦点を当てていない番組も多く見られ、近年、その割合は増加しているように感じます。加えて、ニュース番組の中でもそういった「軽い」話題の放送時間が増加傾向にあるようです。NHKの「バラエティ重視」「バラエティ化」についてはメディアでもその傾向が言及されています。百歩譲って、過去の時代には、民放の放送が少ない地域に歌番組やスポーツ中継を届けることにも一定の公共性があったのかもしれません。しかし、時代は変わりました。NHKにお金を支払う代わりに、インターネット回線やケーブル...
新書 「世論」 W・リップマン 星2つ
1. 世論20世紀を代表するジャーナリストの一人、ウォルター・リップマンによって著された評論エッセイで、タイトル通り「世論」について取り扱っております。華々しい経歴を持つリップマンですが、「ステレオタイプ」という言葉を世に根付かせたと書けばその偉大さが伝わるのではないでしょうか。新聞・ラジオ・テレビという近代型メディアの登場と民主主義の組み合わせが人々の世界に対する「見方」をどのように規定していくのかという箇所に論の重点がおかれ、人々が抱いてしまうバイアスの傾向について現代にも通じる鋭い指摘を行っております。「評論エッセイ」と表現しました通り、かなり散漫で体系だっていないのが決定的難点ですが、それでも1922年という発表年を考えるとその叡智は驚くばかり。「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」という警句の示す通り、社会に対する考え方が纏まってきた時期に読むと「自分の考えなど車輪の再発明にすぎないなぁ」と思ってしまうこと請け合いです。2. 目次<上巻>第1部 序第2部 外界への接近 第3部 ステレオタイプ 第4部 さまざまの関心 <下巻>第5部 共通意志の形成第6部 民主主義のイメージ...