純文学

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【海外純文学】おすすめ海外純文学小説ランキングベスト4【オールタイムベスト】

本ブログで紹介した海外の純文学小説の中からベスト4を選んで掲載しています。 「純文学」の定義は百家争鳴でありますが、本記事では、社会や人間について深く考えさせられる作品や、人間関係の機微を描いた作品、という緩い定義のもとでランキングを作成いたしました。 第4位 「夜間飛行」サン・テグジュペリ 【「飛行機」の黎明期を生きたパイロットたち】 ・あらすじ まだ夜間飛行が非常に危険な任務であり、その規制さえ議論されていた時代。 ある夜、パタゴニアからブエノスアイレスに向かっていた郵便飛行機が嵐に突入してしまう。 真っ暗な視界、途切れがちな地上からの連絡。 嵐からの脱出を試みる操縦士ファビアン、飛行機の到着を待つ郵便飛行会社支配人のリヴィエール、そして、リヴィエールの部下ロビノー。 不安と緊張のなか、三者三様の長い夜が幕を開ける......。 ・短評 まるで「プロジェクトX」を見ているような気分になる小説です。 危険を顧みず夜間飛行に繰り出すパイロットたちと、人類の未来のため断固とした姿勢で郵便飛行事業を営む経営者...
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【純文学】おすすめ純文学小説ランキングベスト3【オールタイムベスト】

本ブログで紹介した純文学小説の中からベスト3を選んで掲載しています。 「純文学」の定義は百家争鳴でありますが、本記事では、社会や人間について深く考えさせられる作品や、人間関係の機微を描いた作品、という緩い定義のもとでランキングを作成いたしました。 第3位 「細雪」谷崎潤一郎 【零落する旧家の娘、恋愛と婚活の悲哀】 ・あらすじ 時代は1930年代、蒔岡家の次女幸子は芦屋に暮らしていた。 同居するのは夫であり婿養子でもある貞之助と、一人娘の悦子、そして蒔岡家の三女である雪子に、四女の妙子。 幸子の祖父の代には大阪の船場に店を構えて隆盛していた蒔岡家も、代替わりとともに凋落。 いまは店も知人に引き渡し、主に残った財産を頼みに生活している。 三女の雪子も四女の妙子も30歳を超えて未婚であるが、それは訳あって縁談がないということではなく、かつて栄えた「蒔岡」の名前を鼻にかけ、身の丈の縁談を断り続けてきたからというのがその理由。 しかし、貞之助と幸子、そして、蒔岡家の長女であり本家筋の鶴子、その夫の辰雄も徐々に自分たちの身の程が...
ヘルマン・ヘッセ

【優等生の哀しい青春】小説 「車輪の下」 ヘルマン・ヘッセ 星3つ

1. 車輪の下 ノーベル文学賞作家、ヘルマン・ヘッセの作品。 短編小説「少年の日の思い出」が中学校の国語教科書に長年掲載されているため、ヘッセという名前を聞いたことがないという日本人はあまりいないのではないでしょうか。 そんなヘッセの作品の中でも、「車輪の下」は特に日本で有名な作品になっております。 「新潮文庫の100冊」に長年選ばれ続けていることがその理由でしょう。 聞いたことがある作家で、本屋でも夏になると平積みされる。 だからこそよく売れているのだと思います。 そんな本作の内容は、「少年の日の思い出」を想起させるような暗くて救いのない話。 思春期特有の感情がもたらす興奮と絶望に苛まれ、一人の優等生が人生という重い車輪にゆっくりと押し潰されていく様子が描かれています。 2. あらすじ 田舎町の少年ハンス・ギーベンラートは幼少の頃から勉学でその才能を発揮しており、周囲の大人たちから将来を嘱望されていた。 その期待に応え、ハンスは神学校の入学試験を2位という好成績で合格する。 しかし、神学校で待っていたの...
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☆☆☆☆(小説)

小説 「老人と海」 ヘミングウェイ 星4つ

1. 老人と海 「武器よさらば」や「誰がために鐘は鳴る」などの作品で知られるアメリカの小説家、アーネスト・ヘミングウェイの代表作で、ノーベル文学賞受賞のきっかけとなった作品だとされています。 新潮文庫の100冊に何十回も選出されるほど日本でも親しまれている作品であり、名実ともに人気を博している古典文学だといえるでしょう。 「老人を主人公とした武骨な冒険小説」という類例は現代文学に至ってもなかなか類似例がなく、文学界においていまなお稀有な立ち位置を維持しております。 そんな「老人と海」ですが、評判に違わず傑作といえる作品でした。 広漠とした海を舞台に、人間とカジキマグロが情熱的な大勝負を闘う。 その迫力と余韻の素晴らしさに、思わず感嘆のため息が出てしまいました。 2. あらすじ 舞台はキューバ、主人公は老漁師のサンチャゴ。 大型魚の一本釣りで生計を立てていたサンチャゴだったが、ある日を境に数か月もの不漁に陥ってしまう。 いつも漁を手伝ってくれていた弟子の青年マノーリンも、両親の指示によって別の漁船に乗ることになってしま...
☆☆☆☆(小説)

小説 「悲しみよこんにちは」 フランソワーズ・サガン 星4つ

1. 悲しみよこんにちは 20世紀後半に一時代を築いたフランスの小説家、フランソワーズ・サガン。その代表作が処女作である「悲しみよこんにちは」です。1954年に出版されるとたちまち世界的なベストセラーとなり、サガンをしてデビュー作でいきなり一流作家の仲間入りを果たさせた名作となっております。 そんな高い前評判に違わず、素晴らしい小説でした。非の打ちどころのない情景描写と心理描写に魅了されます。河野真理子さんの翻訳も絶品で、小説における美しさや切なさ描写の極致を極めた作品の一つと言っても過言ではないでしょう。 2. あらすじ 主人公のセシルは17歳。父親であるレエモンとの父娘家庭育ちである。といっても、レエモンは実入りの良い職業についていて、もう40歳を超えるというのにパリの社交界で女性をとっかえひっかえしている奔放な男性。そんな父に連れられ、セシルも遊びばかりを覚えてこの年まで育ってきた。 17歳の夏、セシルは父とともにコート・ダジュールの別荘を訪れている。父の愛人であるエルザとの仲は良好なうえ、海岸ではシリルという大学生と出会って恋仲になった。...
安部公房

小説 「他人の顔」 安部公房 星2つ

1. 他人の顔 ノーベル文学賞の有力候補だったと言われているほか、芥川賞、谷崎潤一郎賞、さらにはフランス最優秀外国文学賞を受賞するなど、国内外で評価が高かった小説家、安部公房の作品。「砂の女」「燃え尽きた地図」と並んで「失踪三部作」の一つに位置付けられています。「砂の女」は本ブログでもレビュー済み。名作です。 圧倒的感動に打ちのめされるという経験をさせてくれた「砂の女」と同系列の作品という評価に期待を寄せて読んだ本作。悪くはありませんでしたが、その高い期待に応えてくれたわけではありませんでした。 「砂の女」と同様、都市化・資本主義化していく社会の中で人々の自己認識や他者との関わり方が変化していくというテーマそのものは面白かったのですが、「砂の女」が見せてくれたような冒険的スリルやあっと驚く終盤のどんでん返しがなく、主人公の思弁的で哲学的なモノローグがあまりにも多すぎたという印象。もう少し「物語」としての起伏や展開による面白さがあれば良かったのにと思わされました。 2. あらすじ 主人公の「ぼく」は高分子化学研究所の所長代理として研究に...
志賀直哉

小説 「暗夜行路」 志賀直哉 星1つ

1. 暗夜行路 「小説の神様」とまで称され、近代日本文学を代表する作家とされている志賀直哉。「城の崎にて」などの中短編で有名ですが、長編も一作だけ書いていて、それが本作「暗夜行路」。 日本文学を語るうえで避けては通れない作品ということで期待していたのですが、その期待は見事に裏切られました。典型的な拙い私小説という印象で、近代小説「黎明期」に、比較対象が少なかったから評価された作品なのだと思います。現代にも通じる普遍性はなく、現代の小説技術と比べて明らかに劣後しているため、物好き以外は読まなくてもよい作品でしょう。 2. あらすじ 主人公、時任健作は東京に住む小説家。といっても執筆にはなかなか気乗りせず、芸者遊びに興じるなど放蕩生活を送っている。 そんな暮らしから脱しようと、尾道への転居を決意した謙作。尾道での生活の中で、謙作は自分の気持ちを整理し、これまでずっと東京で身の回りの世話をしてくれていたお栄という女性に結婚を申し込むことを決意する。 しかし、兄である信行に結婚申込み依頼を頼んだところ、信行から衝撃的な事実が告げられる。謙作は謙作の...
谷崎潤一郎

小説 「細雪」 谷崎潤一郎 星3つ

1. 細雪 戦前から戦後にかけて活躍した小説家、谷崎潤一郎。いまなお評価が高く、ファンの多い彼の代表作ともいえる作品が「細雪」です。新潮文庫版は上中下巻の構成で出版されておりまして、執筆に4年を費やしたという大作。映画化3回、テレビドラマ化6回という数字が文学の古典ながら世俗にも通じる魅力をもった作品であることを表していますね。 やや冗長な表現や本筋から外れたエピソードなどが多いながら、やはり読みごたえのある作品だったというのが感想です。もちろん、そういった冗長さや寄り道部分を評価する人もいるでしょうから、私の星3つという評価が低すぎると感じる人はいても高すぎると思う人は少ないのではないのでしょうか。凋落しつつある旧家の娘が結婚相手を探すというストーリーは婚活全盛の今日においてむしろ示唆的ですらありますし、人物の描かれ方の今日との対比という点でも深く読み込んでいける作品だと感じました。 2. あらすじ(上巻) 時代は1930年代、蒔岡家の次女幸子は芦屋に暮らしていた。同居するのは夫であり婿養子でもある貞之助と、一人娘の悦子、そして蒔岡家の三女である雪子に、四女...
立原正秋

【猥雑だった昭和の日本】小説「恋人たち」立原正秋 評価:2点【純文学】

1960~70年代にかけて一世を風靡した作家、立原正秋さんの作品です。 1966年に直木賞を獲っておりますが、それまでに芥川賞の候補にもなるなど、純文学も大衆文学もこなす万能の作家でした。 本作は根津甚八さんと大竹しのぶさんの主演でテレビドラマにもなっています。感想としては、現代の感覚からすれば「ありえない」作品です。 一般的に考えれば、この21世紀に純粋な娯楽作品として読んで楽しい作品ではないでしょう。 ただ、この作品・作家が「人気だった」ということを踏まえて読めば昭和という時代への洞察を得られるのではないかと思います。 あらすじ 1960年代前半、鎌倉の街に、三つ子の男兄弟が別々に暮らしていた。 彼らの父、中町周太郎には妻である初子がいたが、彼ら三兄弟は周太郎が結婚する前に交際していた笹本澄子という女性の子供だった。 初子が石女だったため周太郎には三人以外の子供はなく、中町家は三兄弟の長男である周太郎が継ぐことになっている。そんな道太郎だったが、大学を中退して以来、家庭教師と賭博で生計を立てていた。 酒場で娼婦を買い、...
小川洋子

小説 「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子 星2つ

1. 猫を抱いて象と泳ぐ 不思議な世界観と優しく繊細な文体で人気を博す純文学作家、小川洋子さんの作品。小川さんの個性が前面に押し出されており、ファンの間で評価が高いことも頷けます。 しかし、そこが却って普遍性を損なっているような、万民への説得力に欠けているような作品だったと思います。 2. あらすじ 生まれつき唇の上下がくっついていたために、手術により切開し、脛の皮膚を唇に移植した少年。そのため、少年の唇には成長と共に産毛が生えてくるようになってきていた。 学校にも上手く馴染めない少年を惹きつけたのはチェスという競技。廃バスの中で生活するマスターにチェスを教わり、少年はぐんぐんと腕前を上げていく。 そんな少年を変えたのはマスターの死だった。肥満しきった不健康な身体でバスの中を狭苦しそうに生活していたマスター。それは、少年が幼少期に出会ったインディラという象を思い出させる。デパートの屋上で見世物となっていたインディラは成長とともに身体が大きくなり、デパートの屋上から降ろすことができなくなってしまっていたのだ。 少年は「大きくなること」に絶望し、身体の成長を止め...
川端康成

小説 「雪国」 川端康成 星2つ

1. 雪国 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」 非常に有名な一文から始まる、川端康成の長編代表作です。 繊細で心震える省略美、たおやかな視点と形容。それらの評価が高いのは分かりますが、ストーリーが微妙ということもあり読後の感動はそこまで強くありませんでした。 雪国 (新潮文庫 (か-1-1)) posted with ヨメレバ 川端 康成 新潮社 2006-05 Amazon Kindle 楽天ブックス
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