短編集

星新一

【唯一無二の超短編作家】小説「地球から来た男」星新一 評価:2点【ショートショート作品集】

「ショートショートの神様」として知られる星新一さんの作品集。 ショートショートを精力的に発表し続けた異端の作家であり、1957年デビューでありながら現在においてもその作品群は根強い人気を誇っております。 日本経済新聞社が毎年開催している小説新人賞「星新一賞」に名前を冠していることもその証左だと言えるでしょう。 文学賞の受賞こそ2度(日本推理作家協会賞・日本SF大賞特別賞)と少ないですが、刊行された作品集の数は膨大で、漫画化やドラマ化されたメディアミックス作品も枚挙に暇がありません。 そんな星新一さんの作品集の中でも、本作は2007年に角川文庫から発売された比較的新しい作品集です。 SF色の濃い表題作から、ミステリ仕立ての作品、あるいはヒューマンドラマに重きを置いた作品など、バラエティ豊かな内容となっておりました。 あらすじ ・地球から来た男 産業スパイとして活躍していた男だが、ある日、潜入先で産業スパイであることが暴かれてしまう。 口封じのため、特殊な装置を使って遥か遠くの惑星に飛ばされてしまった男。 しかし、男の眼...
ジュンパ・ラヒリ

【たおやかなインド系アメリカ文学】小説「停電の夜に」ジュンパ・ラヒリ 評価:2点【海外文学】

インド系アメリカ人の作家、ジュンパ・ラヒリさんの小説。 「インド系アメリカ人」という点がこの作家の特徴を端的に表しておりまして、アメリカに住むインド移民を主人公とした作品でアメリカ及びインドでも著名な作家となっております。 優れた筆致は確かで、評価は3点をつけようとも思ったのですが、そこに至るにはやはり、小説(=フィクション)としての面白さがやや欠けているように思われました。 描写や題材の選択は巧みなのですが、あくまで人生や日常の印象的な一場面を切り取った以上のものがなく、優れたノンフィクション(伝記・ドキュメンタリー・エッセイ)で代替できてしまう印象です。 あらすじ ・「停電の夜に」 シュクマールとショーバは夫婦であるものの、その間にはすきま風は吹いている。 激しく対立するのではなく、お互いに不穏な空気を抱えながらも、それを口に出さず、上滑りするような会話と日常を過ごしていた。 そんなある日、計画停電の通知が二人の住む家に届く。 電気のない、暗い夜。 二人はテーブルを挟み、少しだけ踏み込んだ会話をする。 ささ...
天人唐草

【幻想怪奇譚】漫画「天人唐草」山岸凉子 評価:1点【漫画短編集】

「日出処の天子」等の作品がある山岸凉子さんの自選作品集。 表題作にもなっている「天人唐草」は彼女の代表作に数えられることが多いようです。 ただ、少女漫画界の古豪的な地位にある著者の作品ということでしたが、私には合いませんでした。 読解力が足りないからか、起伏のない凡庸なストーリーラインに投げっぱなしのオチが付いているだけのように感じてしまいます。 あらすじ 幼いころから厳格で旧い価値観の父に育てられてきた岡村響子。 その教育のせいもあって自分を過度に抑制するようになってしまい、学生時代、そして社会人になっても男性とうまくコミュニケーションをとることができない。 そしてついに、職場で憧れていた男性が自分とは真逆の気質をもつ女性と結婚してしまう。 そんな響子のもとに、父親が倒れたとの一報が飛び込んでくる。 慌てて父のもとへ向かう響子。 しかし、呼ばれた先で響子が目にしたのは、あの表面上は厳格だった父の意外な素顔だった......。(表題作「天人唐草」) その他4つの短編を収録。 感想 全体的に「ベタ」過...
僕らのウォーゲーム

「ぼくらのウォーゲーム!」細田守 評価:3点|情熱と技巧と夏の切なさが詰め込まれたデジモン映画の佳作【アニメ映画】

人気シリーズ「デジモンアドベンチャー」の映画2作目。 いまでは著名となった細田監督が指揮した作品です。 アニメファンからの高評価を聞いて試聴してみましたが、40分と短い中で冒険アニメの良さを存分に引き出した作品だと感じました。 あらすじ デジモンたちと別れ、それぞれの生活を楽しむ太一たち。 しかし、西暦2000年の春休み、ネット上で生まれた新種デジモンがまたたく間に進化。 NTTからアメリカの軍事機関まで、ありとあらゆる場所を侵食していった。 このデジモンの暴走を止めるため、パートナーのデジモンたちと一緒に再び戦いへと身を投じる太一たち。 あまりにも凶悪なデジモンとの戦いは熾烈を極め、そしてついに、謎の新種ポケモンは核ミサイルを発射させてしまう。 ミサイルが着弾されるまでの時間は10分間。 太一たちは世界を救うことはできるのだろうか......。 感想 非常に巧妙で感動的な映画でした。 「大量に送られてくる応援の名を借りた迷惑メール」を最後に武器として活かす展開は意外性がありながら少年向けアニメの王道でもあ...
梶井基次郎

「檸檬」梶井基次郎 評価:2点|詩情溢れる耽美で大胆な短編集【純文学】

詩情豊かな作風で日本文学史に名を残す梶井基次郎の短編集です。 梶井の代表作であり、表題作ともなっている「檸檬」。 人気のライトミステリシリーズのパロディ元にもなるなど引用されることが多い「桜の樹の下には」。 教科書にも採用され、目にしたことのある人も多いであろう「Kの昇天」。 独特な感覚による日常の観察と、清新さと陰翳を併せ持つ文体に酔わされます。 あらすじ 「檸檬」 肺病に苦しみ、借金取りに追われる男は、日常の何もかもを楽しめないでいた。 そんな時、男は果物屋でレモンに魅入られる。 そのレモンを買い、丸善に向かった男がとった行動とは......。 「Kの昇天」 ある日、「私」はK君が溺死したとの手紙を受け取り、かつてK君と過ごした 1ヶ月ほどの期間を思い出す。 K君は砂浜で、下を見ながら行ったり来たりを繰り返していた。 月の夜に自分の影を見ていると、だんだんと影が人格を持ち始め、本当の自分は月へ昇っていくような感覚になるという。 そう、K君はついに月に昇りきったのだ。「私」はそう直感する。 「...
☆☆☆(小説)

「O・ヘンリ短編集」O・ヘンリ 評価:3点|短編の名手が贈る風格と哀愁の作品集【海外文学】

第一巻 19世紀に活躍した短編の名手、O・ヘンリの作品集。 アメリカの都会に生きる人々の哀愁と情緒あふれる生活がシニカルさと人情味をもって描かれている、そんな作品たちでした。 あらすじ 「緑の扉」 ルドルフ・スナイダーは街を歩いているとき、チラシ配りの男から「緑の扉」と書かれたチラシを受け取った。 不審に思いもう一度チラシ配りの前を通ってみるが、やはり他の人とは違い、自分にだけそのチラシは配られる。 周囲を見渡し、緑の扉のアパートを発見したスナイダー。 彼がドアを開けると、そこには女性が倒れていて.....。 「ハーグレイブズの一人二役」 ワシントンのある家に間借りしているのは、南部出身の堅物、トールボット少佐。 そのあまりに古風なふるまいを周囲は嗤うのだが、ただ一人、 ハーグレイブズ青年だけは彼の昔話を熱心に聞いていた。 感心するトールボット少佐だったが、ある日、トールボット少佐が劇を見に行くと、そこにはおもしろおかしく少佐の真似をする役者ハーグレイブズがいて......。 以上2編を含む16編を収録。 ...
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