少女漫画

月刊少女野崎くん

「月刊少女野崎くん」椿いづみ 評価:3点|王道の笑いで攻める、少女漫画制作にかける青春学園コメディ【青年漫画】

ガンガンオンラインにて2011年から連載されているウェブ漫画。 今年で連載10周年を迎えた長期連載のコメディ漫画です。 少女漫画のパロディで笑いを取るという独自性を有している作品であり、だからこそ、少女漫画ではあまり見られない「ヒロインが意中の男性の気を引くために頑張る(が空回りする)」という構図が特徴となっております。 サブキャラクターたちも個性豊かな面子が揃っており、テンポの良い4コマの中でオタク的な寒いノリに頼らない王道の笑いを提供してくれる点に本作の良さがあります。 漫画文化に浸ってきた人ならば必ず笑える作品。忙しない日常の息抜きにお薦めです。 あらすじ 舞台は私立浪漫学園高校。 佐倉千代(さくら ちよ)は意中の人である野崎梅太郎(のざき うめたろう)に告白しようとするも、緊張のあまり「ずっとファンでした」と叫んでしまう。 そんな佐倉に、野崎はなぜかサイン入りの色紙を手渡してくれる。 サインとして記されていた名前は「ゆめの咲子」。 野崎の正体は人気少女漫画家である夢野咲子だったのである。 紆余曲折あって野崎の漫...
砂時計

【物語論】00年代の恋愛漫画「砂時計」から感じる現代の少女漫画から失われたリアリティについて

2000年代前半に雑誌連載され、人気を博した「砂時計」という恋愛漫画があります。 植草杏(うえくさ あん)が小学生のときに東京から島根へと転向して同学年の北村大悟(きたむら だいご)と出会う場面から始まり、社会人になってから杏と大悟が結婚するまでの経緯が描かれる漫画です。 北村夫妻は結婚後島根県で暮らすことになり、杏は介護の現場で、大悟は小学校教員として働きます。 差別や偏見、倫理や道徳の問題に踏み込むような言動かもしれませんが、現実問題として、少女漫画(あるいは恋愛漫画)のヒロインが最終的に介護職員になるのはかなり珍しいのではないでしょうか。 大悟と結婚する以前、杏は東京でも働いていたのですが、そのときも派遣の事務職員として働いていました。 経済的に成功している、という類の職業ではありませんし、いわゆるヒロインが就きそうなキラキラした職業でもありません。 一方、大悟の小学校教員という職業はどうでしょうか。 それなりに社会的地位が認めらている職業ではありますが、決して高給ではありませんし、近年はブラックな労働環境について報道される...
砂時計

【00年代の恋愛漫画】漫画「砂時計」芦原妃名子 評価:2点【少女漫画】

2003年から2005年まで小学館の漫画雑誌「ベツコミ」で連載されていた少女漫画。 全十巻ながら発行部数は累計700万部を突破しており、2007年にはドラマ化、2008年には映画化されるなど、大ヒットした作品です。 とはいえ、個人的には凡庸な作品だったという印象。 序盤こそドキドキする恋愛展開が続きますが、その後は特筆すべき場面もなく、淡々と普通の少女漫画が続いていきました。 あらすじ 主人公は12歳の植草杏(うえくさ あん)。 両親の離婚をきっかけに、東京から島根へと引っ越してきた。 田舎の雰囲気に不安と緊張を感じていたちょうどそのとき、杏は同い年の北村大悟(きたむら だいご)と出会い、打ち解けていく。 地元の名家である月島家の子息と令嬢、月島藤(つきしま ふじ) と椎香(しいか)兄妹とも知り合い、杏はこの町に馴染んでいくのだった。 そんな折、杏のもとに凶報が届く。 杏の母、美和子(みわこ)が自殺を図ったのだ。 あまりの衝撃に、美和子に買ってもらった砂時計を遺影に投げつける杏。 そんな杏に対して、大悟...
ハチミツとクローバー

【ハチミツとクローバー】甘くて切ない「夢」と「片想い」の青春恋愛漫画 評価:4点【羽海野チカ】

1. ハチミツとクローバー 2000年代前半に一斉を風靡した少女漫画。 著者は羽海野チカさんで、現在は白泉社の月間漫画雑誌「ヤングアニマル」で青春将棋漫画「3月のライオン」を連載されています。 10巻完結ながら累計発行部数は800万部に達し、アニメ化と実写映画化も果たしているなど、名実ともに堂々たる人気作品である本作。 2度の掲載紙休刊を乗り越えて連載が続いた作品でもあり、マイナーな掲載紙出身ながら大ヒット作にまでのし上がった経緯にもドラマを感じさせます。 そんな本作を今更ながら読了したのですが、評判や販売実績に値するような、素晴らしい感動作でした。 多様な登場人物たちの恋模様と夢の探求、もがき続ける中で生まれる葛藤が濃密に描かれており、とにかく一話一話の盛り上がり度合いが著しく高い作品です。 中だるみや「捨て回」のような話が存在せず、まさに人生のハイライトを駆け抜けているような、甘くて苦い青春のひとときを自分自身が経験したかのように錯覚させられる名作です。 2. あらすじ 物語の主な舞台は浜田山美術大学。 東京に存...
ママレード・ボーイ

【青春恋愛】漫画 「ママレード・ボーイ」 吉住渉 星1つ

1. ママレード・ボーイ 1990年代、毎月250万部近い発行部数を誇っていた全盛期の「りぼん」で看板級の人気を持っていた少女漫画。 累計発行部数は1000万部以上、アニメ化及びドラマ化も果たしており、時代を代表した作品の一つだと言えるでしょう。 しかしながら、個人的な感想としては凡作を下回って駄作という印象。 物語として感動するポイントが全く見当たらず、やっつけ仕事のような展開ばかりが繰り返される光景に辟易としながらなんとか読み切った次第です。 2. あらすじ 主人公は女子高生の小石川光希(こいしがわ みき)。 ある日、両親である小石川仁(じん)と小石川留美(るみ)から、離婚してそれぞれが新しいパートナーと結婚するつもりなのだと告げられる。 その新しいパートナーというのも、松浦要士(まつうら ようじ)と松浦千弥子(ちやこ)という夫婦。 いわば、小石川夫婦と松浦夫婦でパートナーを取り換えるという話なのである。 しかも、新しい家族同士で同居したいとまで言うのだから、光希の頭は大混乱。 あまりに無茶苦茶な両親の行動...
☆☆(漫画)

【幼馴染が気になる】漫画「ご近所物語」矢沢あい 評価:2点【少女漫画】

「NANA」「天使なんかじゃない」「Paradise Kiss」など多くの代表作を持つ少女漫画家、矢沢あいさんの作品。 1990年代の中盤に「りぼん」で連載され、同時期にアニメが放映されていたことから、若手社会人世代にとって懐かしい作品だといえるのではないでしょうか。 「天使なんかじゃない」からゲスト出演しているキャラクターがいたり、「Paradise Kiss」が同舞台での数年後の話になっているなど、他の矢沢あい作品とのリンクが楽しめるのも特徴です。 そんな本作ですが、総合的な評価としては凡作だと感じました。 少女漫画の肝である恋愛面、そして、デザイン系の高校を舞台にしているというところから発される夢を追う若者という面。 その両面においてやや盛り上がりに欠けてしまった印象です。 あらすじ 幸田実果子(こうだ みかこ)は矢沢藝術学院に通う高校一年生。 夢はファッションデザイナーとして自分のブランドを立ち上げることで、服のデザインについてはその才能と熱意が学院内でも認められている。 そんな実果子には同学年の幼馴染、山口ツトム...
orange

「orange」高野苺 評価:2点|素敵な友情が炸裂するハイテンポな”リア充文学”【少女漫画】

2015~2016年における大ヒット漫画の一つで、名前くらいは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。 「このマンガがすごい!」などでランキング上位入りを果たし、累計発行部数は500万部近くに到達。 アニメ化はもちろん、土屋太鳳さんと山崎賢人さん主演で実写映画にもなっています。 高野苺さんが漫画家としてジャパニーズドリームを掴んだ作品ともいえるでしょう。 おおまかな感想としては、「未来から手紙が届く」というSF要素と王道少女漫画展開を合わるという手法が斬新で(意外にもこれまでなかったんですね)、画力も高く、双葉社版の装丁も魅力的で大ヒットしたのは頷けます。 ただ、主人公二人の魅力と、物語の作り込みという点ではイマイチな点が多く、じっくり読んで味わうには不十分だと感じました。 後世に残る作品というよりはカジュアルに消費されていく作品の成功作という印象です。 あらすじ 舞台は長野県松本市。高校二年生に進級した高宮菜穂(たかみや なほ)は、始業式の日の朝に奇妙な手紙を家の郵便ポストに発見する。 差出人は10年後の自分で、自...
天人唐草

【幻想怪奇譚】漫画「天人唐草」山岸凉子 評価:1点【漫画短編集】

「日出処の天子」等の作品がある山岸凉子さんの自選作品集。 表題作にもなっている「天人唐草」は彼女の代表作に数えられることが多いようです。 ただ、少女漫画界の古豪的な地位にある著者の作品ということでしたが、私には合いませんでした。 読解力が足りないからか、起伏のない凡庸なストーリーラインに投げっぱなしのオチが付いているだけのように感じてしまいます。 あらすじ 幼いころから厳格で旧い価値観の父に育てられてきた岡村響子。 その教育のせいもあって自分を過度に抑制するようになってしまい、学生時代、そして社会人になっても男性とうまくコミュニケーションをとることができない。 そしてついに、職場で憧れていた男性が自分とは真逆の気質をもつ女性と結婚してしまう。 そんな響子のもとに、父親が倒れたとの一報が飛び込んでくる。 慌てて父のもとへ向かう響子。 しかし、呼ばれた先で響子が目にしたのは、あの表面上は厳格だった父の意外な素顔だった......。(表題作「天人唐草」) その他4つの短編を収録。 感想 全体的に「ベタ」過...
櫻の園

漫画 「櫻の園」 吉田秋生 星2つ

1.櫻の園 「カリフォルニア物語」や「BANANA FISH」、最近だと「海街diary」で有名な吉田秋生さんの1巻完結オムニバス漫画。以前に紹介した映画「櫻の園」の原作でもあります。 表現方法や空気感は良いものがありますが、80年代の価値観を基軸に思春期の女性の葛藤を描く、というベタな内容に終始してしまっているのが辛いところです。 櫻の園 白泉社文庫 posted with ヨメレバ 吉田 秋生 白泉社 1994-12-01 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
坂道のアポロン

【青春・恋愛・ジャズ】漫画「坂道のアポロン」小玉ユキ 評価2点【青年漫画】 

「このマンガがすごい! 2009」オンナ編で1位となり、アニメ化もされた本作。 ジャズという珍しいテーマと、1960年代という時代設定は確かに面白いと思いました。 ただ、ストーリーに捻りがないのは非常に残念。 ベタ展開に次ぐベタ展開で起伏がなく、最後も高校生活の枠内で納めきれずに駆け足で大学→社会人としてしまったところに作者の力量不足を感じてしまいました。 あらすじ 主人公、西見薫(にしみ かおる)は父の都合で横須賀から佐世保の高校へと転校することになった。 幼いころから転校ばかりだった西見は秀才だが人見知り。 そんな西見がひょんなことから出会ったのが不良として知られる川渕千太郎(かわぶち せんたろう)。 正反対の二人だが、千太郎の趣味であるジャズに薫が惹かれ始めたことをきっかけに、二人はかけがえのない友人となっていく。 しかし、二人を巡る恋模様は複雑。 薫は千太郎の幼馴染である迎律子(むかえ りつこ)が好きだが、律子は千太郎に想いを寄せており、その千太郎は上級生の深堀百合香(ふかほり ゆりか)に恋をしている。 ...
カードキャプターさくら

【萌え漫画の古典】漫画 「カードキャプターさくら」 CLAMP 星2つ

1.カードキャプターさくら 「なかよし」に連載されていた漫画ですが、タイトルを聞けば98年から2000年までNHK教育で放送されていたアニメの方を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。 「魔法騎士レイアース」や「xxxHOLiC」などの人気作を持つ漫画家集団CLAMPの代表作の一つで、原作・アニメ完結後も根強いファンを持つ作品です。 原作20周年記念として今年から新連載を「なかよし」誌上で開始していることもあり、読んでみようと思い立ったのですが、色々な意味で「なるほど」と思わされる作品でした。 2. あらすじ 主人公、木之本さくらは友枝小学校に通う小学四年生。 ある日、研究者である父の書庫から奇妙な本を発見する。 さくらがその本に触れると、封印されていた魔物、ケルベロスが姿を現した。 しかし、その本は魔術師クロウ・リードが作った魔法のカード、クロウカードが封印されていた本でもあり、さくらが触れたことによってカードは町じゅう散ってしまう。 カードを回収しなければ「災い」が起こる。 その災いを回避するため、さくらは「...
天使なんかじゃない

【理想的な高校生活】漫画「天使なんかじゃない」矢沢あい 評価:2点【少女漫画】

「NANA」で大ブレイクした矢沢あいさんの出世作。 若者の恋愛事情を描く作者得意のスタイルで、芸能人のファンなども多いのだとか。 しかし、私としてはそこまで高く評価はできませんでした。 そこそこ読めるのですが、一般的な人間が共感できる作品なのか、という点で大きく欠けるところのある作品だと思います。 あらすじ 舞台は創立したばかりの私立高校である聖学園。 一期生として入学した冴島翠(さえじま みどり)は、二学期から結成される生徒会の役員候補として、クラス推薦で立候補することになってしまった。 何とか演説を終えた翠だったが、マイクの線に足を引っかけて転倒。 そこをフォローしたのが、不良風の容姿をした男子生徒、須藤晃(すどう あきら)だった。 二人の運命の出会いとともに旗揚げされた生徒会。 少し堅くて高飛車なお嬢さまである麻宮裕子(まみや ゆうこ)。 長身で生徒会のなだめ役、瀧川秀一(たきがわ しゅういち)。 お調子者のラグビー部員、河野文太(こうの ぶんた)。 五人が過ごす、切なくて激情的で、そしてなに...
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