マイノリティ

社会問題

【メディア論】NIKEの差別をテーマにしたCMがなぜ放映されたのかを考える

NIKEといえばスポーツ関連製品やスニーカーで有名なグローバル企業ですが、2020年の11月末、NIKEが製作した自社製品のコマーシャル映像がSNSで話題となりました。 YouTubeでも公開されておりますので、リンクを貼っておきます。 ご覧の通り、CMのテーマは「差別(に立ち向かって自分らしく生きる)」であり、在日韓国・朝鮮人や黒人、あるいは女性全体に対する、とりわけ日本における差別が少女たちの視点を通じて表現されています。 「差別」は様々な意味で世論を二分する繊細なテーマであり、SNS上でも「マイノリティに対する差別を告発し、それに立ち向かう勇気を貰える良いCMだ」のような書き込みもあれば「まるで日本に不合理な差別があるかのような表現であり、NIKEは嘘を放映している」「(マイノリティを過度に優遇する)逆差別のほうが酷いのに」のような書き込みもあり、論争の種になっておりました。 本稿では、このCMが日本における差別の実態を反映しているか否か、あるいは、このCMが道徳的・倫理的に正しいか否には立ち入りません。 その代わり、なぜ、いまこのタイ...
ジョゼと虎と魚たち

【青春恋愛】アニメ映画 「ジョゼと虎と魚たち」 監督:タムラコータロー 星2つ

1. ジョゼと虎と魚たち 2020年12月25日に公開されたアニメーション作品。 1984年に著された田辺聖子さんの短編小説が原作で、映画通のあいだでは2003年の実写映画版が名作として知られているようです。 とはいえ、印象的なベッドシーンやヒロインが抱える障がいに独特の焦点を当てたことで評判になった実写版とは異なり、アニメ映画はクリスマスに相応しい清らかな純愛ものに仕上がっています。 加えて、主人公とヒロインの声を俳優の中川大志さんと清原果耶さんが務め、お笑い芸人である「見取り図」の二人もチョイ役で参加しているところからも、大衆受けを狙ったのだろうなという感じは拭えません。 そして、そういった大衆受け純愛路線が結果的に奏功していたかと問われれば、かなり失敗していたのではないかと感じました。 著しく退屈というわけではないけれども、どうにも底の浅い凡庸な映画に仕上がってしまっていたというのが感想の大枠です。 2. あらすじ 主人公は男子大学生の恒夫(つねお)。 大学では海洋生物学を専攻しており、趣味は海に潜ること。 メ...
さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」永田カビ 評価:2点|自分に自信がない状態を克服する再生物語【コミックエッセイ】

pixivで連載されていたコミックエッセイの書籍化作品。 「寂しさのあまり性体験をしたこともないのにレズ風俗に行く」というセンセーショナルな煽り文句と、その切実な内容のコントラストが魅力です。 あらすじ 大学中退後、精神的な病気を患い、アルバイトも長く続かなかった著者、永田カビ。 親との関係も上手くいかず、頭には「死」がよぎる。 「なにくそ、立ち直ってやる」。 そう意気込み、息苦しさから自分を解放するために選んだ手段。 それはレズビアン風俗に行くことだった。 生きづらい現代で自分に自信を持つとはどういうことか。 レズ風俗での体験を通じ、著者が自分として生きていく方法を掴んでいく物語。 感想 共感できる人とできない人が真っ二つに分かれる作品でしょう。 真っ二つになる基準は「自分に自信を持っているか否か」です。 非常に個人的な観点ですが、現代を生きる人々を敢えて二つに切り分けるならば、その基準として「自分に自信を持っているか否か」を使うのはかなり良いアイデアなのではないかと感じます。 そこには、個人の性格...
街の灯

「街の灯」チャールズ・チャップリン 評価:2点|切ないラストシーンが印象的なチャップリンの代表作【コメディ映画】

1931年に発表された映画で、映画好きの間では定番の作品だそうです。 チャップリンの代表作の一つということで見てみました。 筋書きは面白いのですが、やはり全体的に表現が冗長だと感じます。 あらすじ チャップリン扮する浮浪者の男は、おふざけばかりの生活で日常を過ごしていた。 そんな男はある日、花売りの少女に一目惚れしてしまう。 本来ならば見込みがない恋だが、花売りの少女は盲目であり、ひょんなことから男のことを別の大金持ちと取り違えてしまう。 貧しい盲目の女性に献身しようと男は身を粉にして働くようになるのだが、男は大富豪の家に入った強盗として逮捕されてしまい....... 感想 もうちょっと圧縮できるのに、というのが正直な感想です。 テンポの良い現代の作品と比べてしまうとかなり冗長に感じてしまいます。 各コメディシーンも、当時は斬新だったのかもしれませんが、いまとなってはややグダグダ感があり、一般の視聴には堪えないでしょう。 映画好きは細かいところをいろいろ褒めるのかもしれませんが、フィクション作品である以上、気づか...
乙一

【暗いところで待ち合わせ】視覚障がい者の住む家に身を潜めた殺人容疑者の運命やいかに 評価:4点【乙一】

人気作家、乙一さんの文庫書き下ろし作品です。 類を見ない斬新な設定と普遍的で温かな感情を共存させたこの作品。 私としては乙一さんの最高傑作だと思っています。 あらすじ 視力を失い、保険金で日々を静かに暮らすミチル。 そんなミチルは、最近、自宅で奇妙な感覚に襲われていた。 擦れるような小さな音が頻繁に聞こえ、誰もいないはずの空間から空気の揺らぎを感じる。 一方、とある殺人事件の犯人として追われていたアキヒロは、ミチルの家に逃げ込み、部屋の一角を居場所としていた。 偶然が起こした不思議な同居。 それぞれが異なる理由で怯える両者だったが、やがてその関係にも変化が訪れる。 死んだように暮らしているミチルと、孤独に生きてきたアキヒロ。 二人の運命やいかに......。 感想 素晴らしい作品、傑作です。 人との関りが苦手、という二人が出会う物語なのですが、まず、その「孤独」描写が秀逸。 ただ単に「暗いと呼ばれていた」「人を避けがちだった」と描写するだけでなく、馬鹿にされたときの心理や、悔し...
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