「赤い雪 勝又進作品集」 勝又進 評価1点|旧い東北の風俗を劇画風に描いただけの作品【青年漫画】
個性的な漫画家が集ったことで一部界隈では有名な週刊漫画誌「ガロ」。その執筆陣の一人であった、勝又進さんの作品集。第35回(2006年度)日本漫画家協会賞大賞を受賞した「赤い雪」が表題作です。絵柄はいわゆる「劇画」で、かつて存在した東北地方の旧い風俗がテーマとなっております。「遠野物語」に近いコンセプトと言えるかもしれません。もちろん、そういった旧い文化の描き方は素晴らしいのでしょうが、そういった旧い文化における人々の暮らしを描いた以上の価値があったかといえば、そうではないという結論です。テンプレートのような「起承転結」や「劇的なクライマックス」を支持しているわけではありませんが、やはり人々の心を動かすための意図を持った物語構成がなければフィクション作品として良い評価を与えることは難しいでしょう。あらすじ・「桑いちご」ドジョウ売りの男の子はある日、桑の木に登って桑いちごを盗み食いしている女の子を見つける。女の子は名前をトミ子といい、千寿館という宿の女中なのだが、妾の子であるため差別されていた。お互いに悪態をつき、喧嘩しながらも心のどこかでつながりを感じている二人。しかし、ある事をきっかけ...
2018.09.03
赤い雪 勝又進作品集作品の感想☆(漫画)