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経済・金融・経営・会計・統計
新書 「中国経済講義」 梶谷懐 星3つ 第4章・第5章
1. 中国経済講義 前稿である「第2章・第3章」の続きです。前稿はこちら。 2. 目次序章 中国の経済統計は信頼できるか第1章 金融リスクを乗り越えられるか第2章 不動産バブルを止められるか第3章 経済格差のゆくえ第4章 農民工はどこへ行くのか第5章 国有企業改革のゆくえ第6章 共産党体制での成長は持続可能か終章 国際社会のなかの中国と日中経済関係本記事で感想を述べるのは第4章と第5章です。第6章以下は次稿に続きます。第4章 農民工はどこへ行くのか 中国の労働・貧困問題の象徴として取り上げられることの多い「農民工」と呼ばれる人々。低賃金で3K的な労働を行う都市の貧困層、という切り口はステレオタイプ的な分かりやすさもあってドキュメンタリーなんかでもテーマとして採用されることが多いような気がします。日本の高度経済成長期に出稼ぎのため東京や大阪に出てきた人々の姿と被るという点も、文脈を把握できている気になる要因なのかもしれません。この第4章はそんな「農民工」にまつわる様々な問題が列挙されているため、一言で結論を述べることは難しいのですが、①中国の労働市場は「ルイスの転換点」を迎えつつある、...
新書 「中国経済講義」 梶谷懐 星3つ 第2章・第3章
1. 中国経済講義 前稿である「序章・第1章」の続きです。前稿はこちら。2. 目次序章 中国の経済統計は信頼できるか第1章 金融リスクを乗り越えられるか 第2章 不動産バブルを止められるか 第3章 経済格差のゆくえ 第4章 農民工はどこへ行くのか 第5章 国有企業改革のゆくえ 第6章 共産党体制での成長は持続可能か 終章 国際社会のなかの中国と日中経済関係 本記事で感想を述べるのは第2章と第3章です。第4章以下は次稿に続きます。 第2章 不動産バブルを止められるか 最近の「中国崩壊論」の主流といえばこれではないでしょうか。投機にだけ使われる居住者のいない集合住宅。いわゆる「幽霊マンション」などがいかにも悪質なバブルを象徴しているように描かれることが多い気がします。不動産の値上がりのせいで住居をなかなか見つけられない都市部の庶民が抱える不満という切り口もありますね。 もちろん、「幽霊マンション」や「鬱憤を溜める庶民」の実在を否定するつもりなど毛頭ありませんが、本書の良いところは「そもそも不動産市場への過度な投資が行われるのはなぜなのか」から出発する点です。それは、「中国人が馬鹿だ...
新書 「中国経済講義」 梶谷懐 星3つ 序章・第1章
1. 中国経済講義既に中国のGDPが日本のGDPを抜いて久しく、世界の名目GDPの16%を占めるまでになった中国経済。インバウンドで観光客として来日する姿を見ると、立場は明確に逆転したのだなぁと感じてしまいます。中国経済の存在感は外交の舞台でも強く発揮されておりまして、現在進行中の米中貿易協議などはまさに象徴的。アメリカに負けず劣らずの存在感を見せるIT企業群の動向やそれに対する西側諸国の反応、一帯一路を合言葉として世界中にばら撒かれる投資マネーなど、中国経済ニュースを目にしない日はありません。しかしながら、他の国の経済が好調とあらば粗探しをしたくなるのが人間の性というもの。隣国であればなおさらという訳なのか、インターネット上では中国を一方的に見下す論調の記事が溢れかえっておりますし、書店でも中国経済「崩壊」などの文字が躍る本が平積みされています。そんな中、中国経済の「現在」について、特に世間的注目が高い分野を中心にそつなく説明しているのが本書の特徴。極端な理論にのめり込んでしまっている人にとっては「一顧だにする価値もない」書籍でしょうし、極端に触れないよう心掛けながら過ごしている人に...
新書 「現代経済学」 瀧澤弘和 星4つ
1. 現代経済学古くは傾斜生産方式や所得倍増計画、最近ではアベノミクスなど、どの政権でも経済政策は中心的な分野として扱われ、人々の生活に大きな影響を与えてきました。海外でも、例えば最近の米国における大幅減税と財政出動はトランプ大統領の目玉政策の一つです。そんな経済政策に理論的枠組みを与えてきたのが経済学という分野。共産主義退潮の後は(新)ケインズ主義と新古典派が主要な流派として語られることが多かったのですが、近年になって経済学の捉え方、経済に対する焦点の当て方が多様化しており、経済学の枠組み自体が決定的に変化しつつあります。本書の副題である「ゲーム理論・行動経済学・制度論」がまさにその変革を代表するキーワードと言えるでしょう。本書の序章でも触れられている通り、最近のノーベル経済学賞はこれらの分野の第一人者が次々と受賞しています。そして、入門レベルの経済学の知識を前提に、そういった「現代」の経済学をこれまでの経済学と対比させながら、古今の繋がりとブレイクスルーを過不足ない記述で分かりやすく伝えてくれているのが本書。新しい経済学の流れを概観するのにうってつけの新書です。2. 目次本書の目次...
教養書 「ウォール街のランダム・ウォーカー」 バートン・マルキール 星2つ
1. ウォール街のランダム・ウォーカー1973年の書版発行以来、投資界隈で読み続けられている本であり、2016年発売の日本語最新版が第11版の訳書になります。ネット証券が台頭し、NISAやiDECOといった個人向けの投資制度も充実してきた昨今、投資についての基礎を身に着けておいて損はないでしょう。年金がGPIFによって運用されるようになったことで、年金の現状について一家言持つにはGPIFのポートフォリオを語れる必要が出てきたため、政治学に興味がある立場としても面白いのではないかと手に取りました。評価としては微妙だった、というところですね。全般的に誤ったことが書いてあるとは思わないのですが、世界史や経済・金融の知識が全くない人向け(大学で学んでいない人)の説明が全般的に目立つ一方で、前半のほとんどを世界史上に起こったバブル事例の説明に消費してしまうなど、レベルの統一感がない構成になっており、どういった層を満足させられるのだろうという疑問を感じてしまいました。ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理posted with ヨメレババートン・マルキール 日本経...
実用書 「原価計算の本質と実務がわかる本」 関浩一郎 星3つ
1.原価計算の本質と実務がわかる本主に製造業をターゲットとし、原価計算のスタンダードな手法を紹介する実用書。「本質と実務」というタイトルの通り、「なぜその方法が良いとされているのか」を逐一記述しているところが優れています。簿記2級以上を取得しようと考えている方に、工業簿記の勉強と平行して是非、読んで頂きたい本です。図解&設例 原価計算の本質と実務がわかる本posted with ヨメレバ関 浩一郎,菅野 貴弘 中央経済社 2013-09-04AmazonKindle楽天ブックス
実用書 「キャッシュフローと損益分岐点の見方・活かし方」 本間建也 星3つ
1. キャッシュフローと損益分岐点の見方・活かし方タイトルの通り、会計関係の実用書で、売上・利益・変動費・固定費の関係と、営業利益・キャッシュフローのそれぞれでみた損益分岐点について、その計算方法と有用性が紹介されています。関係性の図表と計算式とが各ページに分かりやすく記載されており、辞書的に使用するのも効果的な本だと思います。さて、普段はそんな本をこのブログで紹介することはないのですが、読んでいて思うところがあったので書こうと思います。それは、初等・中等教育における算数・数学の話。「学校の勉強は役に立たないのか」についての話です。キャッシュフローと損益分岐点の見方・活かし方posted with ヨメレバ本間建也 アニモ出版 2010-12-14AmazonKindle楽天ブックス
新書 「稲盛和夫の実学 経営と会計」 稲盛和夫 星2つ
1. 稲盛和夫の実学 経営と会計アメーバ経営で有名な京セラの創業者であり、日本航空の再生でも力を振るった名経営者、稲盛和夫さんが会計について記した本になります。いかにも昔ながらの実務者が語るという内容で、精緻さや体系の美しさはありません。普遍的な理論を求めている人には不向きでしょう。ただ、行動経済学が注目を浴びているように、政治学や経済学ではどのような人物を「普通の人間」と想定するか、現実における「摩擦」をどう扱うかはホットなトピックです。この「摩擦」という点について示唆のある内容もちらほらあったため、そこを評価して星2つとしました。稲盛和夫の実学―経営と会計posted with ヨメレバ稲盛 和夫 日本経済新聞社 2000-11-07AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
教養書 「経済政策」 松原隆一郎 星1つ
1. 経済政策放送大学の教科書第2弾。東大教授である松原隆一郎氏の単著です。数式から逃げてしまったがために経済学の教科書としては理論的精緻さに欠け、内容としても著者の(半ば独りよがりな)思想が強く滲み出すぎている印象でした。経済政策―不確実性に取り組む (放送大学大学院教材)posted with ヨメレバ松原 隆一郎 放送大学教育振興会 2017-03-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
教養書 「岩波講座 日本経済の歴史 1中世」 中林真幸他 星3つ
1. 岩波講座 日本経済の歴史 1中世定評ある叢書シリーズの一つ、岩波講座の新しいシリーズです。中世以降の日本経済の歩みが最新の知見をふんだんに盛り込んで紹介されています。中世はあまり関心のある分野ではなかったのですが、それでも興味深い事象を多く知ることができました。中世 11世紀から16世紀後半 (岩波講座 日本経済の歴史 第1巻)posted with ヨメレバ中林 真幸 岩波書店 2017-07-12AmazonKindle楽天ブックス
新書 「組織の限界」 ケネス・J・アロー 星3つ
1. 組織の限界ノーベル経済学賞を受賞し、「アローの不可能性定理」等で著名な経済学者、ケネス・アロー氏の講演集です。もともと岩波から出ていたのですが、このたび筑摩書房から復刊ということで読んでみました。現代の政治・経済学が取り組んでいる論点について、従前から鋭い指摘を行っていたアロー氏の視点には驚くばかりです。組織の限界 (ちくま学芸文庫)posted with ヨメレバケネス・J. アロー 筑摩書房 2017-03-08AmazonKindle楽天ブックス
教養書 「資本主義が嫌いな人のための経済学」 ジョセフ・ヒース 星3つ
1. 資本主義が嫌いな人のための経済学カナダの哲学者、ジョセフ・ヒースによる経済学の本。刺激的なタイトルですが、内容の本質を表しているのは帯のコメント。「ヤバくない経済学」。経済学の主流王道基本の考えをもとに、右派そして左派にはびこる誤謬を指摘するという著作です。資本主義が嫌いな人のための経済学posted with ヨメレバジョセフ・ヒース エヌティティ出版 2012-02-09AmazonKindle楽天ブックス