【現代純文学】おすすめ現代純文学小説ランキングベスト5【オールタイムベスト】
1518! イチゴーイチハチ!
【創作論】「1518! イチゴーイチハチ!」の設定から考える、現代の学園漫画において生徒の多様性を描く困難
「1518! イチゴーイチハチ!」という漫画が好きです。王道の青春学園漫画であり、真摯に楽しく高校生活を謳歌する登場人物たちの姿に胸をうたれる作品になっております。そんな「1518! イチゴーイチハチ!」の舞台になっているのが「松栢学院大付属武蔵第一高校」という埼玉県の私立高校。コースが偏差値順に「選抜」「特進」「情報」の3つに別れており、それぞれのコース内でクラスが組まれています。「情報」にはスポーツ推薦で入学した生徒も多いため、スポーツコースと茶化されたりもするという設定。本作は生徒会活動を中心に描いた作品ですので、それぞれのコースから集まった生徒会役員たちが友情を深めていく物語になっております。読んでいるあいだは夢中になって気づかなかったのですが、あらためてこの設定を眺めると、上手く考えたなと思います。現実問題として、都市部であればあるほど一つの高校には同質な生徒が集まりやすい傾向があります。普通科の高校は偏差値ごとに階層が細かく区切られているため、知能や家庭環境の似通った生徒が集まりやすくなっており、工業や商業、情報系や芸術系といった特色ある学科にはその学科に惹きつけられるよう...
漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第7巻 相田裕 星3つ
1. 1518! イチゴーイチハチ! 第7巻いやはや愕然といたしました。第6巻の感想を辛めに書いたとはいえ、1巻ごとに感想記事を上げるくらいに思い入れのあった本作。驚くべきことに、この第7巻が最終巻となってしまいました。作者あとがきにも無念の思いが滲み出ている通り打ち切り感も漂っているのですが、この名作が打ち切られる(くらいの売り上げ)など信じられません。第1巻と前巻である第6巻の感想は上の通りです。特に第1巻~第3巻の出来栄えは漫画史に残るといってもよいくらいなので是非読んで頂きたいところ。さて、本題となる第7巻の感想に入りますと、前半の生徒会役員選挙の話は悪くないのですが、もう少し話を膨らませて盛り上げられたのではないかと感じました。後半は完結に向けての舵取りですね。野球を再開するため髪を切った会長の姿にはぐっとくるものがある一方、世代交代の話はやや唐突感と駆け足感があり、無理やり完結させたのだなぁという印象でした。2. あらすじ冬休み明け、晴れて恋人となった幸と烏谷を待ち受けていたのは生徒会役員選挙。非常に個性的だった前会長の後を襲う人物を決める選挙なのだが、二年生以下の生徒会役...
漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第6巻 相田裕 星2つ
1. 1518! イチゴーイチハチ! 第6巻本ブログで唯一、新刊発売のたびに感想を書いている漫画である「1518!」。夏休み編だった5巻から季節は移り変わり、秋の話が描かれます。5巻の感想はこちらから。1巻から星の数は☆4→☆5→☆5→☆3→☆3と推移させてきましたが、この6巻はさすがに星2つをつけざるを得ないという印象。これまでの筋書きや登場人物への愛着があったのでなんとか読めましたが、これが第1巻であれば次の巻は買わなかったでしょう。現実的なキャラクター造形と心理描写、そして人間ドラマの深堀りという魅力が薄くなり、少年誌で週刊連載されていそうなごく普通のラブコメになってしまっている印象があります。1518! イチゴーイチハチ! (6) (ビッグコミックス)posted with ヨメレバ相田 裕 小学館 2018-09-28AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo2. あらすじ幸と烏谷の関係が進展した夏休みも終わり、学校も再開。生徒たちは文化祭に向けて汗を流していた。そんな中で様子がおかしい人物が一人。ナカナツこと仲里なつみである。吹奏楽部に所属する彼女はコンクール出場チー...
漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第5巻 相田裕 星3つ
1. 1518! イチゴーイチハチ! 第5巻挫折と葛藤を抱えた高校生たちの再生を描く青春生徒会物語の第5巻。「元野球少年が過ごす、野球のない夏」がこの第5巻の帯キャッチコピーでして、甲子園の応援から夏祭りまで、全編夏休みの生活が描かれています。第4巻の感想はこちら。ぎりぎり星3つをつけましたが、「このままベタなラブコメに成り下がらないで欲しい」というのが本音のところ。やや登場人物が物語の道具になっている(いわゆる「キャラクター」になってしまっている)ところがあり、この作品らしさが徐々に失われてきているのではないかと危惧しています。1518! イチゴーイチハチ! 5 (ビッグコミックス)posted with ヨメレバ相田 裕 小学館 2018-03-30AmazonKindle楽天ブックス楽天2. あらすじ松武(※)野球部の夏は甲子園埼玉予選決勝で幕を閉じ、同時に、生徒会執行部として応援部会をサポートする活動も終了する。そんな中、応援の片付けのため段ボールを運んでいた烏谷は、スタンドの奥で泣き腫らす一人の女子生徒を発見する。彼女の名前は仲里なつみ。通称ナカナツ。烏谷と同じ情報コースの...
漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第4巻 相田裕 星3つ
1. 1518! イチゴーイチハチ! 第4巻ビッグコミックスピリッツで月刊連載されている漫画、「1518!(イチゴーイチハチ)」。私がいま一番新刊発売を楽しみにしている漫画で、特に3巻は近年刊行された漫画単行本の中でも黄金の1冊といえる出来だったと思います。3巻の感想はこちら。そしてこの4巻、相変わらず高クオリティを保っているのですが、やや心配な要素が出てきた巻でもありました。「諦めた夢に折り合いをつける」という当初の軸が概ね解決してからの展開、連載開始当初の問題設定をひとまず消化したここからが見せ場だと思うのですが......。1518! イチゴーイチハチ! 4 (ビッグコミックス)posted with ヨメレバ相田 裕 小学館 2017-08-30AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第3巻 相田裕 星5つ
1. 1518! イチゴーイチハチ! 第3巻挫折を経験した生徒たちが生徒会活動を一生懸命に楽しむ学園青春物語、「1518!(イチゴーイチハチ)」。私がいま最も注目している作品の一つであり、特にこの3巻は珠玉の出来栄えです。第1巻、第2巻の感想はこちら。生徒会の2年生役員であり、難関国公立を目指す「選抜」コースに所属する三春英子(みはる えいこ)と東慧汰(あずま けいた)にもスポットが当たるほか、烏谷の野球との訣別にも一区切りがつき、ミニクライマックスといった様相。正直、「ミニクライマックス」でこれほどまでに感動できる漫画はなかなか目にできないでしょう。1518! イチゴーイチハチ! 3 (ビッグコミックス)posted with ヨメレバ相田 裕 小学館 2016-11-30AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第2巻 相田裕 星4つ
1. 1518! イチゴーイチハチ! 第2巻高校生たちのささやかな青春をきめ細かいタッチで描く名作(予定)漫画、「1518!」の第2巻です。第1巻の感想はこちら。登場人物紹介兼プロローグだった第1巻に対し、第2巻では怪我により野球を諦めた少年、烏谷公志郎の心の再生にスポットが当たっています。折り合いをつけるということ、目の前のことを楽しむということ、自分との戦いを意識すること。決して説教臭くなく、むしろ一貫したエンターテイメント性に支えられた作品ながら、通底するメッセージが深く切なく染みわたります。1518! イチゴーイチハチ! 2 (ビッグコミックス)posted with ヨメレバ相田 裕 小学館 2015-11-30AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第1巻 相田裕 星4つ
1. 1518! イチゴーイチハチ! 第1巻前作「GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガーガール)」によりニッチな漫画界隈で有名になった相田裕さん。イタリアの対テロ秘密結社が舞台だった前作とうって変わって、現在連載中の本作は日本の高校を舞台にした青春ものです。突飛で唐突な物語ばかりが溢れた現代漫画界の中で、繊細かつ丁寧に高校生活を描く稀有な作品となっており、私が新刊を追っている数少ない漫画の一つです。通底するテーマの深さは文学的で普遍的と言えるにも関わらず、エンターテイメントとしても一級品。是非、メジャーになって欲しい作品です。イチゴーイチハチ!(1) (ビッグ コミックス〔スピリッツ〕) (ビッグコミックス)posted with ヨメレバ相田 裕 小学館 2015-03-30AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo