「絵草紙 源氏物語」田辺聖子 評価:3点|美貌の貴公子に篭絡されていく女性たちを描いた平安女流文学【古典文学】
芥川賞作家である田辺聖子さんが訳し、絵草子画家として著名な岡田嘉夫さんの美麗な挿絵が多数掲載された作品。ダイジェスト版の源氏物語が読みやすい訳で収録されており、手に取りやすい日本文学の古典となっております。1984年の出版ですが、むしろ現代語訳としても全く古びておらず、近年の過度に崩した訳などよりはよほど読書に値するもので、源氏物語の耽美な世界を気軽に堪能するにはうってつけでしょう。あらすじ帝は妻の一人である桐壺更衣を溺愛するが、更衣がそれほど高い身分の出身でなかったために、生まれてきた息子は臣籍降下させられてしまう。その息子の名前は光源氏。世の人が賛美するほど美しい青年に育った源氏だが、妻として迎えた葵の上は堅物の貴婦人で満足できない。世の魅力的な女性たちへの恋心を抑えられない源氏は、今日も閨へと忍び込む......。感想古文の授業では文法を理解する必要があって小難しい印象がある作品ですが、小説家が現代語訳しただけあって、本書はさらさらと読みやすく楽しめる商品になっております。いかにも「平安時代」な挿絵もふんだんに収録されており、時代の雰囲気を味わうことができます。ライトノベル感覚で...
2018.08.17
☆☆☆(小説)作品の感想田辺聖子