カミュ

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【共感は欺瞞】小説「異邦人」カミュ 評価:3点【海外文学】

ノーベル賞作家、アルベール・カミュの代表作です。面白いと思う人とつまらないと思う人が分かれる作品ですが、私は好みです。「共感」ばかりが重要視され、真実を客観的に見る視点を失った現代社会。「誰もがそう思っている」に過ぎない「常識」が、まるで「道徳・正義」のように扱われる今日。そのような風潮に疑問を投げかけ続ける古典の佳作です。あらすじ主人公、ムルソーの母が養老院で亡くなるところから物語は始まる。葬儀に参加するために養老院へ向かうも、涙一つ見せず、母の死体も見ず、ミルクコーヒーを楽しむムルソー。その翌日には恋人のマリィと海水浴に行き、映画を見て笑う。何事にも動じず、淡々と過ごす彼だが、頼まれれば友人を助け、話を聞き、遊びに誘われればついてゆく。その理由は「それをしない理由がないから」だとムルソーは言う。理性・感情を持ちながら、一切の「人間らしさ」がないように見えるムルソー。ある日、彼はビーチでアラビア人を殺し、裁判にかけられることになったのだが......。感想味のある良い作品だと思います。母の死に涙を流し、我を忘れるほど思いつめること、その後しばらくは立ち直れないこと。そんな人物を、我々...
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