小川洋子

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小説 「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子 星2つ

1. 猫を抱いて象と泳ぐ 不思議な世界観と優しく繊細な文体で人気を博す純文学作家、小川洋子さんの作品。小川さんの個性が前面に押し出されており、ファンの間で評価が高いことも頷けます。 しかし、そこが却って普遍性を損なっているような、万民への説得力に欠けているような作品だったと思います。 2. あらすじ 生まれつき唇の上下がくっついていたために、手術により切開し、脛の皮膚を唇に移植した少年。そのため、少年の唇には成長と共に産毛が生えてくるようになってきていた。 学校にも上手く馴染めない少年を惹きつけたのはチェスという競技。廃バスの中で生活するマスターにチェスを教わり、少年はぐんぐんと腕前を上げていく。 そんな少年を変えたのはマスターの死だった。肥満しきった不健康な身体でバスの中を狭苦しそうに生活していたマスター。それは、少年が幼少期に出会ったインディラという象を思い出させる。デパートの屋上で見世物となっていたインディラは成長とともに身体が大きくなり、デパートの屋上から降ろすことができなくなってしまっていたのだ。 少年は「大きくなること」に絶望し、身体の成長を止め...
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【心温まる純文学】小説 「博士の愛した数式」 小川洋子 星3つ

1. 博士の愛した数式 第1回本屋大賞を受賞したミリオンセラーです。 数々の文学賞を受賞されている小川洋子さんの作品の中でも、間違いなく最も知名度が高い作品でしょう。 温かさ、柔らかさの中に、人間の哀しみをほんの一滴だけ混ぜたような、決して明るい設定ではないながらも読者を素直にさせてくれるような、そんな佳作に仕上がっています。 2. あらすじ 「あけぼの家政婦紹介組合」で働く「私」は組合の紹介を受け、ある家庭に派遣されることになる。 義弟の世話をして欲しい、依頼主の老婦人はそう言って、離れに住む老人のところで働くよう「私」に要請する。 その老人こそ、数学の天才である「博士」であった。 「博士」のところへ派遣されるのは「私」で九人目。 多くの家政婦が続かなかったのには訳がある。 それは、「博士」の記憶が80分しか維持されないから。 記憶は80分しか維持されず、常に数学に熱をあげている。 そんな変わり者の「博士」に最初は戸惑う「私」だったが、「私」の息子である「ルート」と「博士」との交流をきっかけに、「私」は...
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