第3位 「スペクトラルウィザード 」模造クリスタル
【生きがいって何だろう】
・あらすじ
危険な魔術書の研究により魔術師ギルドがテロ組織として認定され、科学技術集団である騎士団によって多くの魔術師が逮捕・処刑された。
魔術師ギルドは解散を余儀なくされ、離散した魔術師たちも危険人物として追われている。
そんな中、魔術師の生き残りであるスペクトラルウィザードは孤独な日々を過ごしていた。
身体を「ゴースト化」する魔術により騎士団からの逃亡はたやすいものの、指名手配されている手前、孤独を言葉でしか知らなかった頃の生活には戻れない。
そんなある日、魔導書のコピーが見つかったという話を耳にしたスペクトラルウィザード。
かつての充実していた自分の生活を取り戻すべく、騎士団のアジトに乗り込むスペクトラルウィザードだったが.......。
・短評
強力な魔術を使えるにも関わらず、魔術師ギルドという故郷を失ったことで生きがいをも失ってしまった魔術師たち。
在りし日の楽しさをどうにか取り戻そうと奮闘するも、決して「力」では取り戻せない何かを手に入れることができず、魔術師たちは人生の悲哀に押し潰されていく。
関係性の中でこそ育まれる「生きがい」、倫理と反倫理のあいだにあるかけがえのない何か、魔法より冷たくて暖かい人間心理。
静謐な雰囲気の中で展開される、どこか切なく愛おしい物語。
マイナーな漫画ではありますが、静かで柔らかい感動に包まれることができる作品です。
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