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小説 「親友」 川端康成 星1つ

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親友
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1. 親友

言わずと知れたノーベル賞作家、川端康成の少女小説です。「女学生の友」に載せられていただけあり、児童小説の趣が濃くなっております。

本当に良い児童小説は大人にも深い感銘を与えるものですが、残念ながら、本書からそのような薫風を感じることはできませんでした。

2. あらすじ

中学一年生の春、めぐみは自分と瓜二つの同級生、かすみと出会う。すぐに打ち解けた二人だったが、温かい家庭で育っためぐみに比べ、父親のいないかすみの家庭にはどこか翳りが漂っていた。

似ているようで対照的な二人。

川辺で盗まれた服、かすみの叔父が住む鵠沼の家での出来事。ハイカラで不良な上級生容子への憧憬、そして今度は魔法瓶が盗まれる。

1950年代の雰囲気に包まれた二人の少女の、ささやかな友情の物語。

3. 感想

オチなし、ヤマなし、といったところ。

一応の伏線や物語的な展開もあるのですが、少女たちの日常や心理が断片的に綴られているだけという印象が否めません。

その「断片性」もいい効果を出しているとはいえず、現代においては連載や出版のレベルではないでしょう。

ちらつく戦争の影が当時の空気の陰鬱な側面を醸し出しているのだけは評価でき、ときにはっとするような場面もあるのですが、それは作家の技というより時代背景の力です。

登場人物たちもどこかステレオタイプで辟易します。

いいところなしな小説でした。

☆(小説)川端康成
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明日も物語に魅せられて

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