2018-08

ミヒャエル・エンデ

小説 「はてしない物語」 ミヒャエル・エンデ 星2つ

1. はてしない物語 ドイツの児童文学者ミヒャエル・エンデの作品。「モモ」と共に彼の代表作として扱われることが多い著作です。児童文学といえど単行本で600ページを越える大作で、岩波少年文庫版では対象が「中学以上」となっている読み応えのある大作。「ネバーエンディング・ストーリー」という題で映画化もされています。 感想としては、読み手を選ぶ作品だなという印象を受けました。幻想的なファンタジー世界の造形は見事ですし、恵まれない環境で育った少年が力を手に入れて慢心し、やがてその慢心から身を滅ぼしかけるもののそれを克服して最後は真理に到達する、という物語も王道なりに楽しめます。ただ、こうした「ヨーロッパ的ファンタジー世界」を受け入れる心持ちが最初からある人以外には展開が唐突で突拍子もなく思えるでしょうし、主人公も万民に受け入れられる人物かといえばそうではないと感じました。 はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー) posted with ヨメレバ ミヒャエル・エンデ 岩波書店 1982-06-07 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo ...
夜をとめないで

漫画 「夜をとめないで」 ハルミチヒロ 星3つ

1. 夜をとめないで 「ベルベット・キス」が代表作の女性漫画家、ハルミチヒロさんの短編集。多作な作家さんではありませんが、独自の路線で人気を確立しています。 あまり期待せずに読んだのですが、思いのほか良い作品で面白かったです。女性主人公の話が多く、女性の心理を細かく描きながらも、設定や展開において男性読者に対する訴求力も強いという物語が多いように思われました。絵柄も少年漫画・少女漫画・青年漫画のどれとも区分しがたい筆致で、「性」を強く描きながらも中性的という不思議な作風は魅力的ですね。 夜をとめないで posted with ヨメレバ ハルミ チヒロ 白泉社 2014-11-28 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
ペンギン・ハイウェイ

アニメ映画 「ペンギン・ハイウェイ」 監督:石田祐康 星2つ

1. ペンギン・ハイウェイ 人気小説家である森見登美彦さんの同名小説を映画化した作品で、監督は「台風のノルダ」(文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞、2016年地上波放送)や「陽なたのアオシグレ」(第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品)で頭角を現してきた新進気鋭の石田監督が務めています。制作も2011年設立のスタジオコロリドが手がけるなど、インディーズ色の濃い布陣。こういった映画が大手から配給され、上映館数もそれなりに確保できるのは近年のアニメ映画ブームによるところが大きいのでしょう。 感想としては、イマイチだったが、そもそもジブリや人気版権もの(ポケモン、ドラえもん、コナン、クレしん、アンパンマン)ではないアニメ映画とはこんなものである、というところでしょうか。「時をかける少女」が当初ミニシアターでの上映のみだったということに以前触れましたが、そういったこれまでのアニメ映画が置かれていた環境ベースでは上出来の作品。 しかし、細田守や新海誠がメジャーになり、数々のヒット作が生まれる中でメインストリーム化していった現在では物足りなさが大きい...
☆☆☆☆(映像作品)

映画 「ローマの休日」 監督: ウィリアム・ワイラー 星4つ

1. ローマの休日 1953年の公開以来、世界的名作としてその名を轟かせているビッグタイトル。オードリー・ヘプバーンの初主演映画としても有名で、この作品でいきなりアカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得しています。その他にも最優秀衣装デザイン賞や最優秀原案賞も獲得するなど、当時においても大きなセンセーションをもたらしました。 「『ローマの休日』的設定」をつくり出した元祖作品ですので、いま観るとストーリー的にはある意味ベタに見えてしまいます。ただ、役者たちの演技は超一流。当時として前例のない斬新な脚本でここまでできるかと思わされてしまいます。現在も色褪せない「王道」を築いた輝かしい古典として、物語に興味のある人ならば必見の一作です。 ローマの休日 (字幕版) posted with カエレバ オードリー・ヘプバーン Paramount 2013-11-26 Amazon 楽天市場
政治制度・統治機構

【雑感まとめ】教養書 「福祉資本主義の三つの世界」 エスピン=アンデルセン 星4つ

1. 福祉資本主義の三つの世界 以前に紹介した教養書、エスピン・アンデルセンの「福祉資本主義の三つの世界」ですが、読みながらぼんやりと思ったことを備忘のために記事にしておこと思います。 福祉資本主義の三つの世界 (MINERVA福祉ライブラリー) posted with ヨメレバ イエスタ エスピン‐アンデルセン ミネルヴァ書房 2001-06-01 Amazon Kindle 楽天ブックス
☆☆☆☆(漫画)

漫画 「あずまんが大王」 あずまきよひこ 星4つ

1. あずまんが大王 「よつばと!」で有名なあずまきよひこさんの出世作。女子高生たちを主人公にした4コマギャグ漫画、というジャンルは1999年の連載開始当初において斬新であり、現在の日常系4コマの基礎となっている作品だといえるでしょう。 とはいえ、近年の粗製乱造な漫画群とは違います。主に男性読者に媚びた「萌え」に走りがちな漫画や、「メタ」「パロディ」でニッチな笑いばかりを狙いにいく漫画とは一線を画し、ギャグはいたって王道。むしろ、「よつばと!」に通じる普遍的な笑いと感動がある作品です。 あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX) posted with ヨメレバ あずま きよひこ メディアワークス 2000-02 Amazon Kindle 楽天ブックス
☆☆☆(小説)

小説 「絵草紙 源氏物語」 田辺聖子 星3つ

1. 絵草紙 源氏物語 芥川賞作家である田辺聖子さんが訳し、絵草子画家として著名な岡田嘉夫さんの美麗な挿絵が多数掲載された作品。ダイジェスト版の源氏物語が読みやすい訳で収録されており、手に取りやすい日本文学の古典となっております。 1984年の出版ですが、むしろ現代語訳としても全く古びておらず、近年の過度に崩した訳などよりはよほど読書に値するもので、源氏物語の特殊な世界を気軽に堪能するにはうってつけでしょう。 絵草紙 源氏物語 (角川文庫 (5594)) posted with ヨメレバ 田辺 聖子 角川書店 1984-01 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
政治制度・統治機構

教養書 「福祉資本主義の三つの世界」 エスピン=アンデルセン 星4つ

1. 福祉資本主義の三つの世界 アメリカやイギリスなどのアングロサクソン諸国、ドイツやフランスなどの大陸欧州、スウェーデンやフィンランドなどの北欧諸国。同じ先進国と呼ばれていても、これらの国がそれぞれ大きく異なる政策パッケージを実施していることは政治に関心のある人間ならばぼんやりとは感じているでしょう。しかし、それらの国々の特徴を厳密に区分する指標はいったい何なのでしょうか。もちろん、イメージ論で語ることはできましょうし、個別具体的な政策についてはそれぞれの専門及び関心ある分野で様々な議論があるのだとは思います。ただ、数理的にこれといった境界線を示せと言われるとなかなか困ってしまうことも多いのではないでしょうか。 そんな「先進国(=福祉国家)の分類」について論じた、現代の古典といえるのが本著であります。様々な分野の学術書で頻繁に引用されるため、題名を目にしたことはあるという人も多いと思います。 感想としては、これを引用するような文献を読む人は目を通すべきといったところでしょうか。福祉国家が変容していく中で永続的に古典であり続けるかどうかは分かりませんが、まだ決して色褪せてはいない著...
政治制度・統治機構

教養書 「有権者の選択」 平野浩 星2つ

1. 有権者の選択 以前に紹介した「二大政党制の崩壊と政権担当能力評価」と同じく、アンケート調査から日本の有権者の投票行動を研究する本です。「二大政党制の崩壊と政権担当能力評価」は「政権交代期における政治意識の全国的時系列的調査研究」というシリーズでまとめられているのに対し、本書は「変動期における投票行動の全国的・時系列的調査研究」シリーズの一つとして刊行されています。とはいえ、その二つの研究が看板を変えただけの続きものになっているのが実質らしく、むしろ継続性のある統計データとして双方の中で扱われているくらいです。 しかし、本書は星を一つ下げて星2つとしています。理由は「データや統計結果に驚きや新鮮さがないこと」と「論全体に有用で核心的な主張がないこと」です。データセットに近いという点では「二大政党制の崩壊と政権担当能力評価」と同じなのですが、それでも、投票行動についてうまく「説明している」とは言い難い、ピントを外した統計処理の当て方や文章での論証がされているように感じました。 有権者の選択―日本における政党政治と代表制民主主義の行方 posted with ヨメレバ ...
スペクトラル・ウィザード

漫画 「スペクトラルウィザード」 模造クリスタル 星2つ

1. スペクトラルウィザード 「ミッションちゃんの冒険」というweb漫画で有名になり、現在は「金魚王国の崩壊」などのweb漫画を連載するサークル、模造クリスタルの商業化作品。単巻で完結しております。 「金魚王国の崩壊」のファンなので手に取ってみたのですが、期待外れとまではいかないものの、ややインパクトに欠ける印象。模造クリスタルの特徴である独特のテンポや不思議な世界観もやや淡白に感じられました。 スペクトラルウィザード posted with ヨメレバ 模造クリスタル イースト・プレス 2017-08-11 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
めぞん一刻

漫画 「めぞん一刻」 高橋留美子 星5つ

1. めぞん一刻 「ラブコメの金字塔」とまで評されることもある、高橋留美子さんの代表作の一つ。「うる星やつら」や「らんま1/2」、「犬夜叉」など少年誌での活躍が多い漫画家ですが、青年誌で掲載されたこの作品こそ永年に渡って称えられるべき功績を残した作品だと個人的には感じております。 ここから先、この作品を超えるラブコメは現れるのか。そういった疑問を抱いてしまうくらいの大傑作であり、漫画を愛好する者ならば必ず読むべき現代の古典と言えるでしょう。 めぞん一刻 1 (ビッグコミックス) posted with ヨメレバ 高橋 留美子 小学館 2007-04-27 Amazon Kindle
ルイス・キャロル

小説 「鏡の国のアリス」 ルイス・キャロル 星2つ

1. 鏡の国のアリス 「不思議の国のアリス」に並ぶルイス・キャロルの代表作。「不思議の国のアリス」については以前に記事を書きましたが、その続編たる本作も面白おかしいナンセンスジョークに満ちています。 感想としてはほとんど「不思議の国のアリス」と同じなのですが、社会風刺が多かった印象の前作と比べ、こちらは純粋なジョークに特化している印象です。アリスと登場人物たちとの滑稽なやりとりはそれそのものの面白さもさることながら、数々の作品の「引用元」になっていることに思いを馳せながら読むと興味深いものです。 鏡の国のアリス (角川文庫) posted with ヨメレバ ルイス・キャロル 角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-25 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
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