映画 「本能寺ホテル」 監督:鈴木雅之 星1つ

本能寺ホテル
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1. 本能寺ホテル

監督は「プリンセストヨトミ」を手掛けた鈴木雅之さん、主演は綾瀬はるかさんという映画。歴史モノです。

全体としてはそこそこ楽しめたのですが、ややぼやけた印象がありました。

2. あらすじ

結婚を控え、彼氏である吉岡恭一(平山浩行)の実家がある京都を訪れた倉本繭子(綾瀬はるか)。しかし、予約に手違いがあり繭子は当初予定していたホテルに泊まれなくなってしまう。そこで、偶然目についたホテルに泊まることにする。その名は「本能寺ホテル」。

繭子がそのホテルのエレベーターに乗ると、そこはなんと戦国時代の本能寺であった。しかも、日時は「本能寺の変」の前日。森蘭丸(濱田岳)や織田信長(堤真一)との交流を経て、次第に彼らの価値観に惹かれていく繭子。

「やりたいことはない」、「できることなんてない」そんな繭子に、信長は自らの夢に対する想いを打ち明ける。一方、「家臣がちっとも楽しそうではない」という繭子の言葉をきっかけに、信長も変わってゆく。

そしてついに「本能寺の変」が迫る。信長、そして繭子が選択した未来とは…….。

3. 感想

自分に自信がなく、惰性で結婚を選びかけている若い女性が信長との交流を通じて変わっていく、というのがこの作品のおおまかな流れです。

「できることではなく、やりたいこと」

作中、恭一の父である征次郎(近藤正臣)が発するこの言葉が映画のテーマとなっております。近年の映画のテーマではベタですが魅力的であり、自分がどのように生きるべきか漠としてつかめていない現代の若者の心情に訴えかけるものには間違いありません。

とはいえ、残念なのは作中でこの言葉を代弁するような行動が出てこないこと。ぐっとくるシーンは多いのですが、それがテーマに結びついていない。例えば、「鬼のような方」と家臣に恐れられていた信長が繭子の言葉や態度から影響を受け、家臣と交わって童遊びをするシーンは心動かされます。

しかしこれはどちらかというと「天下泰平」「世の人々の笑顔が見たい」を目標とするあまり信長が近くの者の幸せを考えられていなかったということを表現しているもので、単体では良いシーンですが作中では浮いています。

また、征次郎が「料亭 吉岡」を畳み、「大衆食堂 吉岡」を開くことを表明する場面もなかなか感慨深いものがあります。とはいえ、大衆食堂から料亭へと料理界を駆け上ってきた征次郎が「たらふく食べて笑顔になってもらう」という原点に回帰するだけであり、決して「できることではなく、やりたいこと」に直結しているわけではありません。

また、ホテルにおけるコミカルなシーンにも意味があったかは微妙なところ。映画の主たる要素である「歴史」等に絡めたものではないため、その効果を適切に発揮できてはいませんでした。

最後、繭子は歴史の教員として採用されたいことをハローワークに伝えるのですが、ここにもまた疑念があります。たまたま信長に会ったから歴史というのでは、たまたま結婚を申し込まれたから結婚するのとそれほど変わりません。

良くなる要素は多くあったにも関わらず、それをほとんど活かしきれていない。

そんな映画だったように思います。

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