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「O・ヘンリ短編集」O・ヘンリ 評価:3点|短編の名手が贈る風格と哀愁の作品集【海外文学】

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O・ヘンリ短編集
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第一巻

19世紀に活躍した短編の名手、O・ヘンリの作品集。

アメリカの都会に生きる人々の哀愁と情緒あふれる生活がシニカルさと人情味をもって描かれている、そんな作品たちでした。

あらすじ

「緑の扉」

ルドルフ・スナイダーは街を歩いているとき、チラシ配りの男から「緑の扉」と書かれたチラシを受け取った。

不審に思いもう一度チラシ配りの前を通ってみるが、やはり他の人とは違い、自分にだけそのチラシは配られる。

周囲を見渡し、緑の扉のアパートを発見したスナイダー。

彼がドアを開けると、そこには女性が倒れていて.....。

「ハーグレイブズの一人二役」

ワシントンのある家に間借りしているのは、南部出身の堅物、トールボット少佐。

そのあまりに古風なふるまいを周囲は嗤うのだが、ただ一人、 ハーグレイブズ青年だけは彼の昔話を熱心に聞いていた。

感心するトールボット少佐だったが、ある日、トールボット少佐が劇を見に行くと、そこにはおもしろおかしく少佐の真似をする役者ハーグレイブズがいて......。

以上2編を含む16編を収録。

感想

どの話もウィットが効いていて非常に面白いです。

人間のちょっと間の抜けたところや勘違い、思わぬ行き違いなどをユーモラスに描いていて、ピリリとしたオチにもにやりとさせられます。

短い中に「アメリカンな笑い」がぎゅっと詰まっているような、そんな短編集です。

その中でも特にお気に入りなのは「あらすじ」で紹介した二編。

特に「ハーグレイブズの一人二役」は傑作です。

威張り散らすトールボット少佐も、豊かだったのは昔の話で、実はお金がない。

しかし、人気役者になるきっかけをくれたハーグレイブズがお金を渡そうとしても受け取らない。

そこでハーグレイブズが考えた作戦が少佐にうってつけのもので笑いを誘います。

「強引にでも恩返しする」という物語の構成自体が面白いうえ、その細部も笑わせるのですから珠玉の作品だと言えるでしょう。

一話一話が非常に短く、電車の中などでも気軽に読めます。

空いた時間にいつもとはちょっと違う雰囲気の物語を楽しみたい人にオススメです。

O・ヘンリ (著), 大久保 康雄 (翻訳)

第二巻

著名なアメリカの短編作家、O・ヘンリの作品集第二巻です。

温かく切ない作風は相変わらず良いものです。

特にこの第二巻には彼の最高傑作である「賢者の贈り物」が収録されており、それだけでも読む価値があります。

二十世紀初頭のアメリカを旅する気分にさせてくれる作品になっています。

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