1. タッチ
どんな世代も一度は耳にしたことのあるタイトルなのではないでしょうか。特徴的な主題歌と「南を甲子園に連れてって」などの印象深い台詞で有名な作品です。
往年の名作ということで期待して読んだのですが、あまり楽しめませんでした。恋愛を絡めた切なさ重視のスポーツもの、というジャンルは当時斬新だったのでしょうが、ストーリーもキャラクターもいまいちです。
2. あらすじ
私立明青学園高等部に通う上杉和也(うえすぎ かずや)と上杉達也(たつや)は一卵性双生児。見た目こそ似ているものの、和也はしっかりもので野球部のエース。一方、達也は運動神経こそ良いものの、ぐうたら者で三枚目の役割。
そんな二人の幼馴染である浅倉南(あさくら みなみ)。南を甲子園に連れて行くため、和也はひたむきに努力していた。夏を迎え、一年生エースである和也を擁する明青学園は甲子園の地区予選決勝戦に進出。しかし、和也は試合会場に向かう道中、交通事故死してしまう。
「南を甲子園に連れて行く」
その夢を和也から引き継ぎ、叶えるため、達也は野球部に入部する。
達也と南、そして亡き和也。
三人の夢は叶えらるのか。
そして、南の真意とは......。
3. 感想
21世紀の、平成の感想なのかもしれませんが、達也を主人公として受け入れることが難しいと感じました。潜在能力は抜群だけれど普段は飄々としていて、しかし、野球を始めればたちどころにエースとなり、女子生徒にも実はモテモテ。
この他にも、全ての事象・登場人物が達也の「スゴさ」を盛り立てるためだけにあるような展開が多発します。
そのうえ、「和也が褒められること」「南の笑顔を見ること」が最上の喜びで自らはそのために道化を演じていた、という設定はには胸やけがします。実のところ聖人君主万能無欠キャラクターであり、普通の人間が感情移入できるところなどないでしょう。
良くて流行りの「俺TSUEEモノ」的な、無為な陶酔感を得るだけです。
私は「H2」の大ファンということもあり期待は大きかったのですが、裏切られました。部分部分には面白い点もあったため、星1つは避けましたが、それに近い評価です。
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