2-3. 感想
女王暗殺を阻止するというのがオチになる今回は、「世界を救う」が目的だった前回と比べるとやや物足りなさがあります。
加えて、1巻では斬新さがあった「銃と戦闘機のファンタジー」という点も、2巻ともなれば慣れてきて、それを活かしたプラスアルファの要素もあまり見当たりません。
「偶然出会った重要人物をテロから救う」という展開は王道と言えば王道ですが、そこにオリジナルな捻りがないことで凡庸に成り下がってしまっている気がしました。
若者たちの知恵と勇気、そして腕前が光るという筋書きにもう何か一工夫あれば、と思う作品でした。
第3巻
3-1. アリソンⅢ ルトニを車窓から
アリソンシリーズの最終巻で、上下巻で刊行されています。
予想通りのラストでしたが、二人の仲や過去といった要素が入るぶん、前巻よりは面白かったです。
3-2. あらすじ
ルトニ河を挟んで対立していた両国が休戦してから月日が経ち、ついには河を渡る大陸横断列車が開通することに。そして、フィオナとベネディクトの心遣いによりそのチケットを手に入れたウィルとアリソン。
二人にとって楽しい列車旅になるはずだったが、道中、何者かによって車掌が殺されてしまう。
殺人犯の乗った列車で起こるバトルとサスペンス。死闘をくぐりぬけた先で出会う人物。
二人の運命やいかに。
3-3. 感想
列車内で起こる事件、ということで、大空が舞台だった前作までとは異なる趣向になっています。ミステリ的要素が絡み、狙撃で幕を引く戦闘も新鮮さがありました。
もちろん最終巻ですから、二人の恋模様も進展します。
アリソンの誘いにウィルが乗っていかない感じがかえって雰囲気を醸し出していていいですね。最後は予想通りの展開ですが、ラストシーンへの繋ぎ方は見事。素直な告白にしないところが憎らしいです。
スラスラ読めてそれなりに心に残る作品。まさに「ライトノベル」が読みたい人にはオススメです。
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