第1位 「嫌われる勇気」岸見一郎
19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した心理学者、アルフレッド・アドラー。
その心理学理論を物語形式で紹介する自己啓発本です。。
心理学といえばフロイトやユングが有名ですが、アドラー心理学は彼らの理論と一線を画しており、良く言えば斬新、悪く言えば突飛な理論が連発されて幾度となく読者を驚かせます。
例えば、過去のトラウマが現在の感情及び行動の理由となっている、という心理学では定番の因果関係をアドラーは否定します。
それでは、現在の感情や行動を形作っているのは何なのか。
アドラーに言わせてみれば、それは「目的」です。
つまり、「怒っている人が怒っているのは『怒りたい』という目的(あるいは『怒る』ことによって得られる何らかの目的物)があるからであって、『怒り』を感じる以前に発生した出来事に原因があるわけではないというのです。
なかなか受け入れがたい主張かもしれませんが、このような主張の数々が説得的な理由づけと一緒に展開される点が本書の面白い部分となっております。
そんなアドラーですが、心理学者として異端扱いされているのかといえばそうではなく、欧米ではフロイトやユングと並ぶ三大心理学者の一人としてよく知られているそうです。
その証拠に、デール・カーネギーの「人を動かす」や「道は開ける」、スティーヴン・コヴィーの「7つの習慣」といった著名な自己啓発本もアドラーの思想に影響を受けていると本書は指摘します。
一風変わった主張ながら、現代での「生き方」指南に強く影響を与えている心理学理論。
「他人に嫌われる」ことは気にしなくてよいし、それは、「善く生きる」ことを放棄するということでもない。
なにより自分自身の感情と行動に向けた眼差しが変わる書籍です。
コメント